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マドヴァリアの水晶


「世界秩序保安局」、そのは大小様々な約20個の世界が連なる世界列の「秩序」を守る場所。

16階建てのお城のようなその建物に入ると、まず目に入るのは巨大なロビーと行き交う多種多様の種族。

そして中央に佇む巨大な「女神セーリス」の像。

彼女は空を見上げ、天秤てんびんを右手には持ち、今にも羽ばたきそうに大きく羽を広げている。

ロビーの天井は全面ガラス張りで、夜や雨天時には天井窓が閉まり人工太陽によって常に明るくなる最新システム。

太陽の光をいっぱいに浴びて、セーリス像を見あげながら彼は胸いっぱいに息を吸い込んだ。


血のように赤い短髪を片方にかき上げ、セーリス像からその青く澄んだ色の瞳を落とす。彼は「ヘレティック・ヴィレッド」は、ここ世界秩序保安局の1年目の新人保安員だ。

そんな彼に近づく大きな影。

「よう、ヘレティック。今日も元気か?」

「あ、レオールさん。おはようございます」

ライオンのような頭を持つ屈強くっきょうな体型のこの男。彼は「レオール・アル」、ヘレティックの新人研修を受け持つベテラン保安員。

秩序保安局では1年目の新人には、ベテランとのコンビを組んで研修するという伝統があり、ヘレティックはその真っ最中なのだ。


「今日はどこ行くんですか?」

ヘレティックはレオールの後を追いかけながら、今日の研修内容を尋ねる。

レオールの研修は座学的なものではなく、任務について行き、実地で学ぶという実地主義。

中には研修時代はみっちり資料を読み込む方法や、様々な世界を渡り歩き旅をするなど、担当研修員によって多岐に渡る。

「今日は【砂の船サンドクルー】に行くぞ、護衛任務だ」

「【砂の船サンドクルー】!俺まだ行ったことないんですよね、どんな所なんですか?」

「あそこはだな…………中心に次ぐ大規模世界で、広大な砂海さかいに浮かぶ島々が特徴の世界だな。いや~、特に1番栄えているヴァッシュボルト島は中心のように多様な種族が暮らしているんだ」

「今回の任務地もそこですか?」

「そのように聞いているが、とりあえず司令室に向かうぞ」

そう言いながら2人は足を止めた。彼らの足元にあるのは、数十個横並びになっている円形の床に置かれた装置のようなもの。
通称«ポータル»と呼ばれているこの装置は、秩序保安局内の各所に設置されており任意の場所への転送が可能な便利なもの。

「ではヘレティック、司令室に行くぞ。場所は8階だ」

「わかってますよ」

レオールは額に指を当て光の柱に包まれて消えてゆく。それと同じように、ヘレティックもまた光に消えた。

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