第一章
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街並みが茜色に染まる頃
『……よし、なんとかガイから逃れた!』
建物の影から姿を現したナマエはホッと胸を撫で下ろし、足元にいるワニノコにニッコリと笑みを見せた
『もー朝から特訓特訓って!せっかくミアレシティに来たんだもの、観光もしなきゃ!ね?ワニノコ』
スマホロトム片手に街の地図を見ながら歩き観光地を確認する、カロス地方でもっとも大きな街であるミアレシティ
円形の街ミアレは中央に見えるプリズムタワーを中心に建物が多く並び迷いやすい
土地勘のないナマエはどこへ行っても何を見ても感動し目を輝かせ歩いていた
そんな彼女に後ろからとある男性が声をかけた
「………君」
『え?……ぁ、貴方は昨日の』
振り返った先に見たのは昨日駅でぶつかった白髪の男性だった
「良かった、君を探していたのです」
彼はナマエが自分を覚えていた事に安心し数歩近づくと懐から小さな香水の瓶を取り出した
「これを…お忘れ物です」
『あ!無いと思ったらあの時落としちゃったんですね、わざわざありがとうございます!』
カバンの中身を地面に落としてしまった時、彼が拾ってくれたものだった
あの時は転んだ恥ずかしさもあり荷物の確認もせずに逃げてしまったせいで彼は返せずにいたのだろう
感謝の言葉を言い香水の瓶を受け取るナマエに彼は軽く左右に頭をふり申し訳なさそうに言葉を続けた
「いえ、元はと言えば私が貴女にぶつかったせいでしょう…それより怪我の方は大丈夫ですか?」
心配そうに彼女の手元を見つめるとナマエは彼の視線に気が付き咄嗟に手元を後ろへと隠し照れ笑いを浮かべた
治療はガイにしてもらったがすぐには治らない
瘡蓋だらけの手を見せられまいと後ろ手に揉み合わせるしかなかった
『っ、大丈夫です!怪我なんてかすり傷だしもう治ってますから!』
へへっ、と何でもないふりをするが彼はこのままでは納得できずせめてものお詫びにと一つの提案を口にする
「………良ければ、お詫びにお茶でもいかがですか?」
『え?いえいえっ!そんなっ』
「私の気が済まないのです」
じっと見つめてくるライトグレーの瞳
普段ならば知らない男性とお茶なんて警戒してしまうが、わざわざこんな小さな荷物を届けてくれた彼なら平気かもしれないと考え直し
『ぅ、うーん…じゃあ、お言葉に甘えて』
何かあってもワニノコがいるから大丈夫だろう…と、彼の提案を受ける事にした
『ん〜、いい香り!それにこのケーキも綺麗で美味しそうです!』
お洒落なカフェのオープンテラス
二人用の小さめのテーブルに並ぶ琥珀色の紅茶と飴細工で出来た花のデコレーションで飾られたケーキ
『食べるのが勿体ないくらいです!あ〜でも食べちゃいたいっ!』
この瞬間を味わいながら深呼吸しケーキをゆっくりと食べ始めると、一口ごとに幸せな甘さが口内に広がりナマエは頬を緩ませ言葉にならない不思議な声を漏らし恍惚としていた
『ふぁぁ……んっ、んん!……んぁ〜〜』
「君が気に入ったのならば良かった」
向かい側の席に腰掛けた彼は静かに微笑み変な声を出すナマエの幸せそうな顔を見ながら自分のコーヒーを楽しんだ
『(そう言えばこの人は何歳なんだろ?白髪だけど…そこまで年はとっていない気がする)』
ツギハギだらけのボロボロの服と白髪のせいで年老いた世捨て人のようにも見えるが、今目の前でお茶を飲む姿の一つ一つの動きが気品に満ちているようだった
立っていた時は曲がっていた背筋も真っ直ぐに戻りコーヒーの香りを楽しんでから飲む彼をじっと見つめていると視線に気がついたのかライトグレーの瞳と視線がぶつかりナマエは慌てて話題を口にした
『あっあたしカフェ巡りが元々好きなんです、ミアレに来たら絶対全部のお店回ろうと決めてたから今すっごく幸せです!』
「私もです…美しい景色を見ながらゆっくりと飲むこの時間がとても好ましい」
『ふふ、同じですね』
テーブルに取り付けられたお洒落なパラソル
夕方でも暖かい日差しと穏やかな風を感じながら楽しむティータイムは二人にとって有意義な時間となったようだった
「……君は旅行者のようですが、この街にはどのくらい滞在する予定なのですか?」
『それが色々あって、ZAロワイヤルっていうのに参加する事になって暫く滞在する予定です』
「ほう?」
ガイという少年に出会った事
彼の恩返しを手伝う代わりにホテルZに泊まりМZ団という人助けをするグループに入った事を彼に話し、目の前の彼も静かに頷き最後まで話を聞いてくれた
『でも最初はびっくりしましたよ、いきなりスマホロトムに連絡来てZAロワイヤルに登録されるなんて…なんで個人情報知ってるんだろ…って』
「それは確かに驚きますね、きっと運営側…クェーサー社が目をつける程貴女は昨晩のバトルで活躍したのでしょう…彼らは今最強のメガシンカ使いを求めているでしょうから」
『最強のメガシンカ使い?最強のトレーナーじゃなくてですか?』
「………もしかしたら君は、…いや…まだ決めつけるには早い」
『?』
意味深な事を告げるも彼はそれ以上は語らずコーヒーを喉へと流し込む
ナマエの皿とティーカップが空になる頃合いを見計らい全て飲み終えると彼はそろそろティータイムを終えようかと視線で合図した
彼の言いたい事を察したナマエも席を立つと二人は自然と並んで街を歩き、気がつけばホテルZの方向へと歩いていた
空は茜色から藍色へと変わろうとしている
土地に詳しくない彼女が夜道を迷わないように気を使ったのだろう
彼の然りげ無い気遣いにナマエはすっかり警戒心をなくし代わりに大人としての彼に憧れを感じていると
「少しいいですか?」
『はい?』
「これを」
足を止めポケットから取り出したそれは小さなそれでいて可愛らしい見た目の容れ物に入った塗り薬だった
恐る恐る受け取り蓋を回して中を確認するとふんわりと微かに花の香りがし薬にしては特別な物なのだと分かった
『いい匂いですけど…これって傷薬ですか?どうして…』
「女性の肌を傷付けたのですから…これくらいは受け取ってください」
『じょ、女性だなんて…あたしなんてそんな気にするような女じゃ!』
今まで女性扱いなんてあまりされた事がない
ましてや大人の男性に女性と言われたのがむず痒くて照れてしまい薬を返そうとするが、その手を大きな手が優しく抑え
「いいえ、今日の貴女は何処から見ても可愛らしい女性でしたよ」
静かに微笑み薬を彼女の元へと軽く押し返すとナマエは慣れない扱いに頬を真っ赤にさせてしまう
『〜〜っ!!』
「では…私はここで」
今度こそ別れようと彼が背を向けて歩き出すとナマエはハッとし慌てて呼び止めた
『あ!あの!あたしナマエって言います!貴方は?』
また会えるかは分からないが、せめて名前を知りたい
期待を込めて名前を聞くと彼はジャケットのふわふわとしたファーフード越しに顔を向け
「……………Fです」
短く…それだけを告げ街並みへと消えていってしまった
『Fって偽名?……本当の名前は教えてくれないって事かな?』
優しいと思えばいきなり突き返されたような気分だ、偽名を使われた事にショックを受け足元のワニノコを抱き上げると彼は小首を傾げつぶらな瞳を向けてくる
『Fさん…か、いつか本当の名前教えてくれるかな?』
ワニノコに問いかければ質問の意味を分かっているのか元気な鳴き声で返してくれた
「あぁっ!見つけたぞ!ナマエ!!」
『げっ!』
大声を上げてコチラに走ってくるのはガイだ
彼はナマエが時間になっても待ち合わせ場所に現れず逃げ出した事に腹を立てており険しい顔で迫ってくる
「今日はZAロワイヤルに行くから夜まで特訓って言っただろ!!何逃げてんだよ!」
『もぉ〜しつこい!!』
ワニノコを抱いたまま走り出せば後ろからガイが何やら文句を言いつつ追いかけてくる
他人からみれば仲の良い友人か姉弟のような二人
喧嘩をしながら追いかけっこをするそんな彼らに、とある人物の視線が向き
「…………あの女、何者や?」
眼鏡越しに光る鋭い視線が彼女を見つめていたが、この時のナマエは気がついていなかった
『……よし、なんとかガイから逃れた!』
建物の影から姿を現したナマエはホッと胸を撫で下ろし、足元にいるワニノコにニッコリと笑みを見せた
『もー朝から特訓特訓って!せっかくミアレシティに来たんだもの、観光もしなきゃ!ね?ワニノコ』
スマホロトム片手に街の地図を見ながら歩き観光地を確認する、カロス地方でもっとも大きな街であるミアレシティ
円形の街ミアレは中央に見えるプリズムタワーを中心に建物が多く並び迷いやすい
土地勘のないナマエはどこへ行っても何を見ても感動し目を輝かせ歩いていた
そんな彼女に後ろからとある男性が声をかけた
「………君」
『え?……ぁ、貴方は昨日の』
振り返った先に見たのは昨日駅でぶつかった白髪の男性だった
「良かった、君を探していたのです」
彼はナマエが自分を覚えていた事に安心し数歩近づくと懐から小さな香水の瓶を取り出した
「これを…お忘れ物です」
『あ!無いと思ったらあの時落としちゃったんですね、わざわざありがとうございます!』
カバンの中身を地面に落としてしまった時、彼が拾ってくれたものだった
あの時は転んだ恥ずかしさもあり荷物の確認もせずに逃げてしまったせいで彼は返せずにいたのだろう
感謝の言葉を言い香水の瓶を受け取るナマエに彼は軽く左右に頭をふり申し訳なさそうに言葉を続けた
「いえ、元はと言えば私が貴女にぶつかったせいでしょう…それより怪我の方は大丈夫ですか?」
心配そうに彼女の手元を見つめるとナマエは彼の視線に気が付き咄嗟に手元を後ろへと隠し照れ笑いを浮かべた
治療はガイにしてもらったがすぐには治らない
瘡蓋だらけの手を見せられまいと後ろ手に揉み合わせるしかなかった
『っ、大丈夫です!怪我なんてかすり傷だしもう治ってますから!』
へへっ、と何でもないふりをするが彼はこのままでは納得できずせめてものお詫びにと一つの提案を口にする
「………良ければ、お詫びにお茶でもいかがですか?」
『え?いえいえっ!そんなっ』
「私の気が済まないのです」
じっと見つめてくるライトグレーの瞳
普段ならば知らない男性とお茶なんて警戒してしまうが、わざわざこんな小さな荷物を届けてくれた彼なら平気かもしれないと考え直し
『ぅ、うーん…じゃあ、お言葉に甘えて』
何かあってもワニノコがいるから大丈夫だろう…と、彼の提案を受ける事にした
『ん〜、いい香り!それにこのケーキも綺麗で美味しそうです!』
お洒落なカフェのオープンテラス
二人用の小さめのテーブルに並ぶ琥珀色の紅茶と飴細工で出来た花のデコレーションで飾られたケーキ
『食べるのが勿体ないくらいです!あ〜でも食べちゃいたいっ!』
この瞬間を味わいながら深呼吸しケーキをゆっくりと食べ始めると、一口ごとに幸せな甘さが口内に広がりナマエは頬を緩ませ言葉にならない不思議な声を漏らし恍惚としていた
『ふぁぁ……んっ、んん!……んぁ〜〜』
「君が気に入ったのならば良かった」
向かい側の席に腰掛けた彼は静かに微笑み変な声を出すナマエの幸せそうな顔を見ながら自分のコーヒーを楽しんだ
『(そう言えばこの人は何歳なんだろ?白髪だけど…そこまで年はとっていない気がする)』
ツギハギだらけのボロボロの服と白髪のせいで年老いた世捨て人のようにも見えるが、今目の前でお茶を飲む姿の一つ一つの動きが気品に満ちているようだった
立っていた時は曲がっていた背筋も真っ直ぐに戻りコーヒーの香りを楽しんでから飲む彼をじっと見つめていると視線に気がついたのかライトグレーの瞳と視線がぶつかりナマエは慌てて話題を口にした
『あっあたしカフェ巡りが元々好きなんです、ミアレに来たら絶対全部のお店回ろうと決めてたから今すっごく幸せです!』
「私もです…美しい景色を見ながらゆっくりと飲むこの時間がとても好ましい」
『ふふ、同じですね』
テーブルに取り付けられたお洒落なパラソル
夕方でも暖かい日差しと穏やかな風を感じながら楽しむティータイムは二人にとって有意義な時間となったようだった
「……君は旅行者のようですが、この街にはどのくらい滞在する予定なのですか?」
『それが色々あって、ZAロワイヤルっていうのに参加する事になって暫く滞在する予定です』
「ほう?」
ガイという少年に出会った事
彼の恩返しを手伝う代わりにホテルZに泊まりМZ団という人助けをするグループに入った事を彼に話し、目の前の彼も静かに頷き最後まで話を聞いてくれた
『でも最初はびっくりしましたよ、いきなりスマホロトムに連絡来てZAロワイヤルに登録されるなんて…なんで個人情報知ってるんだろ…って』
「それは確かに驚きますね、きっと運営側…クェーサー社が目をつける程貴女は昨晩のバトルで活躍したのでしょう…彼らは今最強のメガシンカ使いを求めているでしょうから」
『最強のメガシンカ使い?最強のトレーナーじゃなくてですか?』
「………もしかしたら君は、…いや…まだ決めつけるには早い」
『?』
意味深な事を告げるも彼はそれ以上は語らずコーヒーを喉へと流し込む
ナマエの皿とティーカップが空になる頃合いを見計らい全て飲み終えると彼はそろそろティータイムを終えようかと視線で合図した
彼の言いたい事を察したナマエも席を立つと二人は自然と並んで街を歩き、気がつけばホテルZの方向へと歩いていた
空は茜色から藍色へと変わろうとしている
土地に詳しくない彼女が夜道を迷わないように気を使ったのだろう
彼の然りげ無い気遣いにナマエはすっかり警戒心をなくし代わりに大人としての彼に憧れを感じていると
「少しいいですか?」
『はい?』
「これを」
足を止めポケットから取り出したそれは小さなそれでいて可愛らしい見た目の容れ物に入った塗り薬だった
恐る恐る受け取り蓋を回して中を確認するとふんわりと微かに花の香りがし薬にしては特別な物なのだと分かった
『いい匂いですけど…これって傷薬ですか?どうして…』
「女性の肌を傷付けたのですから…これくらいは受け取ってください」
『じょ、女性だなんて…あたしなんてそんな気にするような女じゃ!』
今まで女性扱いなんてあまりされた事がない
ましてや大人の男性に女性と言われたのがむず痒くて照れてしまい薬を返そうとするが、その手を大きな手が優しく抑え
「いいえ、今日の貴女は何処から見ても可愛らしい女性でしたよ」
静かに微笑み薬を彼女の元へと軽く押し返すとナマエは慣れない扱いに頬を真っ赤にさせてしまう
『〜〜っ!!』
「では…私はここで」
今度こそ別れようと彼が背を向けて歩き出すとナマエはハッとし慌てて呼び止めた
『あ!あの!あたしナマエって言います!貴方は?』
また会えるかは分からないが、せめて名前を知りたい
期待を込めて名前を聞くと彼はジャケットのふわふわとしたファーフード越しに顔を向け
「……………Fです」
短く…それだけを告げ街並みへと消えていってしまった
『Fって偽名?……本当の名前は教えてくれないって事かな?』
優しいと思えばいきなり突き返されたような気分だ、偽名を使われた事にショックを受け足元のワニノコを抱き上げると彼は小首を傾げつぶらな瞳を向けてくる
『Fさん…か、いつか本当の名前教えてくれるかな?』
ワニノコに問いかければ質問の意味を分かっているのか元気な鳴き声で返してくれた
「あぁっ!見つけたぞ!ナマエ!!」
『げっ!』
大声を上げてコチラに走ってくるのはガイだ
彼はナマエが時間になっても待ち合わせ場所に現れず逃げ出した事に腹を立てており険しい顔で迫ってくる
「今日はZAロワイヤルに行くから夜まで特訓って言っただろ!!何逃げてんだよ!」
『もぉ〜しつこい!!』
ワニノコを抱いたまま走り出せば後ろからガイが何やら文句を言いつつ追いかけてくる
他人からみれば仲の良い友人か姉弟のような二人
喧嘩をしながら追いかけっこをするそんな彼らに、とある人物の視線が向き
「…………あの女、何者や?」
眼鏡越しに光る鋭い視線が彼女を見つめていたが、この時のナマエは気がついていなかった
