第一章
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毎夜行われるZAロワイヤル
最強のAランクを見事獲得すれば叶う範囲で願いが叶うという
それぞれが己の願いを叶える為にランクアップを目指しバトルを繰り広げているが、中には姑息な手を使う者もいる
「……はぁ……不覚」
今夜まんまと罠にハマったのはシローだった、正々堂々正面からバトルする事を好む彼はまさか不意を突かれ後方から狙われるとは思わなかった
正面の敵と向かい合いながらも後方から距離を取りつつ狙っている男のトレーナーを横目で睨み拳に力が入る
「姑息な…男ならば正面からぶつかって来てはどうです?」
「馬鹿正直にアンタと戦っても勝てねぇだろ?」
正面の男が不敵な笑みを浮かべ指先をシローへと向けポケモンに指示を出す準備をする、彼の狙いはバトルの勝利ではない
シロー本人だ
「前からアンタが気に入らなかったんでね…悪く思うなよ?」
合図と共に前後からポケモンがシロー本人に迫ってくる、ならばと彼は手持ちのカイリキーと構え自ら戦う決意をするが…
『ミニリュウ!ワニノコっ!ワイドブレイカーっ!!』
響いた声と同時に二匹のポケモンが尻尾を振り回し迫ってきていた男達のポケモンを弾き飛ばし、シローの前に一人の女性が飛び込んできた
髪を揺らし立つその後ろ姿は昔見た緑色の長い髪の誰かと重なりシローは目を見開いた
「貴女は…」
『挟み撃ちなんて卑怯です!そっちが二人ならあたしも戦います!』
瞬きを一つすれば緑色の髪の女性の残像は消え改めて一人の少女の姿が色濃く映る
「ちっ!邪魔しやがって!女だからって手加減しねぇからな!」
男達はまた人間を標的にするようにポケモンに指示をだし技を繰り出し始めるが、シローも今度は遅れを取る気はないと一歩前に出る
「カイリキー!その鍛え上げられた筋肉で卑怯者を成敗しましょう!」
結果はシローとナマエの勝利に終わりバトルゾーンを後にした二人はそれぞれホッと息をついた
『(なんか殆どこの人が倒してくれたな…手助けいらなかったっぽいし…あたし恥ずっ)』
「(随分汚してしまった、このまま帰るとムクに怒られますね…さてなんて言い訳をするか)」
服についた土汚れを手で叩くと側にいた彼女が遠慮がちに声をかけてくる
『あの、大丈夫ですか?怪我しているみたいですが…』
「あぁ、このくらい平気です!ほっとけば治りますよ」
いつ掠めたのか
腕に出来た切傷から僅かに血が滲み出ている
シローは問題ないと笑って返すがナマエから見れば大怪我なのだろう
『駄目です!あたしいい薬持ってますから!ちょっと見せてください!』
彼女の迫力に負け言葉を飲み込んだ彼は戸惑い動けずにいた、その隙にとナマエはポケットから塗り薬を取り出すと傷の手当てを開始した
「(……小さい手だ)」
太い腕を別の生き物のような白く細い手が触れ撫でてくる
その手と真剣に傷薬を塗る彼女の顔を見下ろしシローは柄にもなく気恥ずかしい気分になった
『はい終わりっと!でも近いうちに病院に行ってくださいね』
「あ……ありがとうございます!」
仄かに香る花の匂いがする薬
その上から巻かれたハンカチを軽く指先で撫で、自分の傷の為に汚してしまった事に内心罪悪感も感じたが今は彼女の善意を受け取ろうと静かに笑みを浮かべた
「何から何まで申し訳ない」
『いえ、この前の恩返しもありますから』
「ん?あぁっ!あの時落ちてきた方ですね!失礼気がつくのが遅れました!」
何処かで見たとは思っていたが
彼女は数日前に梯子から落ちてきたあの少女だった
思い出したシローはすぐに気がつけなかった事に謝るが彼女は少しも気にしていない
『ふふ、多分気がついてないだろうなって思ってたから大丈夫ですよ』
「貴女もZAロワイヤルに参加していたのですね」
『はい、まだまだAランクには程遠いですけど頑張って目指すつもりです!』
両手に拳を作り無邪気な笑みを浮かべる彼女はとても好ましく思えた
先程の正義感と戦いのセンス
そして優しさと可愛らしい笑顔
シローの中でナマエという存在が新しく生まれ、何とも言えない温かい気持ちが溢れた
「自分はシローと申します、良ければ貴女の名を伺っても?」
『ナマエです』
「ナマエさん、いつか貴女と戦える日を楽しみにしています」
心から出た素直な言葉だった
軽く挨拶を終え彼女と別れるとシローは家路へと向かい夜道を歩き、その間自分の腕に巻かれたハンカチを見ては瞳を優しく細め何処か上機嫌に見えた
その時だ
一人の男性がシローとすれ違うと僅かな匂いに気が付き顔だけを振り返らせた
「(………この匂いは)」
彼は香りの元となるシローの後ろ姿を見つめ足を止めると目元に自然と力を入れた
「(あの男は確か以前ナマエさんを助けた……偶然でしょうか?彼女に渡した薬と同じ匂いを彼がさせているなんて)」
女性ならば分かるが、シローのような男が使うには似合わない薬だ
あの薬は効能は勿論だが何よりも香りがナマエに似合いそうだと思い買った物
気に入って使ってくれているようだが他の男にも使ったのだろうか
「(……胃が、いやこれは胸だろうか?気分が悪い)」
唇をぎゅっと結び奥歯を強く噛み締めた彼…Fは自分の胸に手を当てるとシワが出来るのも気にせず強く服を掴み握りしめた
見てもいないというのに勝手に頭に浮かぶ二人の姿、彼女が男に触れ…微笑んだかと思うと不快感はより一層強く黒い靄となり体を重くする
小さく遠くに見えるシローを密かに見つめ首の筋肉を強張らせた彼は眉間に深いシワを作るとシローを視界から排除するように行こうとした方向に向き直った
「(……まだ近くにいるかもしれない)」
どうしても顔が見たい
この気持ちも彼女に会えれば分かるかもしれない
少しでも胸の不快感を軽くしたくて歩き出すと足元を黒いポケモンが走った
「ジガルデ?」
ジガルデと呼ばれたポケモンはFに振り返るとついて来いと言うように走り出した
だがスピードまでは合わせてくれないのか、方向が辛うじて分かる程度でありジガルデはFを置き去りにし先へ先へと走っていった
だんだんと見えてきた建物が密接した住宅街
その建物の一つ、屋上から何やら紫の光が闇夜でも輝いて目立っていた
「あれはっ」
その光は今ミアレで増え続けている暴走メガシンカの兆し、何かのポケモンが力を抑えきれず暴走しようとしているのだろう
ほっとけばポケモンは苦しみ人にも被害が及ぶ、何とかせねばとFが駆け寄ろうとすると一足先に誰かが建物の前に立っていた
ナマエだ
彼女もまたジガルデに導かれたのだろう
彼女が屋上の光を見あげているとFが辿り着く前にジガルデがナマエを咥え屋上へと飛び上がってしまった
「ナマエさんっ!!」
止めようと手を伸ばすも間に合わなかった
ZAロワイヤルに参加したばかりの彼女はまだメガリングを持っていない筈だ
メガシンカもできないトレーナーに暴走したポケモンを助ける事はできない
逆にトレーナーが大怪我をする事になるだろう
最悪の事態を想像し建物の中へ入ろうとすると誰かの足音に気が付きFは無意識に物陰へと姿を潜めた
マチエールとAZだ
会うのが面倒な者といつかは話をせねばならない者が同時に現れ出るに出られない
その間にも屋上では戦いが始まりそうだ
どうしたものかと悩んでいるとAZが自分のルカリオにリングを持たせ屋上の彼女と戦うように指示を出した
ルカリオと彼女はすぐに合流し
屋上では激しいバトルの音が聞こえマチエールもAZも真剣に屋上の光を見上げナマエの勝利を願う
それはFも同じであり、もしもの為にとポケットの奥に仕舞い込んだ一つの指輪を服の上から抑え上を見上げた
暫くすると屋上の紫色の光は湯気のように散り散りになって消えていき静かになった
どうやら勝利したようだ
ルカリオに抱かれ下へと降りてきた彼女はまだ興奮気味なのかマチエールやAZ…そして遅れてついたガイと交え何なら話し込んでいる
その顔は明るく、大きな怪我もなかったようだ
「……余計な心配でしたね」
無事な姿にホッと息をつけば
いつの間にか汗を浮かべていた手をポケットの上から離し背筋を戻し、強張っていた全身から力を抜き壁に後頭部を押しつけ目を閉じた
「(彼女はトレーナーとして成長している……私も私の使命をこなさなければ)」
胸の中に残るモヤモヤを消すように拳を強く握りしめると、Fはゆっくりと瞳を開けフードを深く被り……その場を静かに後にした
最強のAランクを見事獲得すれば叶う範囲で願いが叶うという
それぞれが己の願いを叶える為にランクアップを目指しバトルを繰り広げているが、中には姑息な手を使う者もいる
「……はぁ……不覚」
今夜まんまと罠にハマったのはシローだった、正々堂々正面からバトルする事を好む彼はまさか不意を突かれ後方から狙われるとは思わなかった
正面の敵と向かい合いながらも後方から距離を取りつつ狙っている男のトレーナーを横目で睨み拳に力が入る
「姑息な…男ならば正面からぶつかって来てはどうです?」
「馬鹿正直にアンタと戦っても勝てねぇだろ?」
正面の男が不敵な笑みを浮かべ指先をシローへと向けポケモンに指示を出す準備をする、彼の狙いはバトルの勝利ではない
シロー本人だ
「前からアンタが気に入らなかったんでね…悪く思うなよ?」
合図と共に前後からポケモンがシロー本人に迫ってくる、ならばと彼は手持ちのカイリキーと構え自ら戦う決意をするが…
『ミニリュウ!ワニノコっ!ワイドブレイカーっ!!』
響いた声と同時に二匹のポケモンが尻尾を振り回し迫ってきていた男達のポケモンを弾き飛ばし、シローの前に一人の女性が飛び込んできた
髪を揺らし立つその後ろ姿は昔見た緑色の長い髪の誰かと重なりシローは目を見開いた
「貴女は…」
『挟み撃ちなんて卑怯です!そっちが二人ならあたしも戦います!』
瞬きを一つすれば緑色の髪の女性の残像は消え改めて一人の少女の姿が色濃く映る
「ちっ!邪魔しやがって!女だからって手加減しねぇからな!」
男達はまた人間を標的にするようにポケモンに指示をだし技を繰り出し始めるが、シローも今度は遅れを取る気はないと一歩前に出る
「カイリキー!その鍛え上げられた筋肉で卑怯者を成敗しましょう!」
結果はシローとナマエの勝利に終わりバトルゾーンを後にした二人はそれぞれホッと息をついた
『(なんか殆どこの人が倒してくれたな…手助けいらなかったっぽいし…あたし恥ずっ)』
「(随分汚してしまった、このまま帰るとムクに怒られますね…さてなんて言い訳をするか)」
服についた土汚れを手で叩くと側にいた彼女が遠慮がちに声をかけてくる
『あの、大丈夫ですか?怪我しているみたいですが…』
「あぁ、このくらい平気です!ほっとけば治りますよ」
いつ掠めたのか
腕に出来た切傷から僅かに血が滲み出ている
シローは問題ないと笑って返すがナマエから見れば大怪我なのだろう
『駄目です!あたしいい薬持ってますから!ちょっと見せてください!』
彼女の迫力に負け言葉を飲み込んだ彼は戸惑い動けずにいた、その隙にとナマエはポケットから塗り薬を取り出すと傷の手当てを開始した
「(……小さい手だ)」
太い腕を別の生き物のような白く細い手が触れ撫でてくる
その手と真剣に傷薬を塗る彼女の顔を見下ろしシローは柄にもなく気恥ずかしい気分になった
『はい終わりっと!でも近いうちに病院に行ってくださいね』
「あ……ありがとうございます!」
仄かに香る花の匂いがする薬
その上から巻かれたハンカチを軽く指先で撫で、自分の傷の為に汚してしまった事に内心罪悪感も感じたが今は彼女の善意を受け取ろうと静かに笑みを浮かべた
「何から何まで申し訳ない」
『いえ、この前の恩返しもありますから』
「ん?あぁっ!あの時落ちてきた方ですね!失礼気がつくのが遅れました!」
何処かで見たとは思っていたが
彼女は数日前に梯子から落ちてきたあの少女だった
思い出したシローはすぐに気がつけなかった事に謝るが彼女は少しも気にしていない
『ふふ、多分気がついてないだろうなって思ってたから大丈夫ですよ』
「貴女もZAロワイヤルに参加していたのですね」
『はい、まだまだAランクには程遠いですけど頑張って目指すつもりです!』
両手に拳を作り無邪気な笑みを浮かべる彼女はとても好ましく思えた
先程の正義感と戦いのセンス
そして優しさと可愛らしい笑顔
シローの中でナマエという存在が新しく生まれ、何とも言えない温かい気持ちが溢れた
「自分はシローと申します、良ければ貴女の名を伺っても?」
『ナマエです』
「ナマエさん、いつか貴女と戦える日を楽しみにしています」
心から出た素直な言葉だった
軽く挨拶を終え彼女と別れるとシローは家路へと向かい夜道を歩き、その間自分の腕に巻かれたハンカチを見ては瞳を優しく細め何処か上機嫌に見えた
その時だ
一人の男性がシローとすれ違うと僅かな匂いに気が付き顔だけを振り返らせた
「(………この匂いは)」
彼は香りの元となるシローの後ろ姿を見つめ足を止めると目元に自然と力を入れた
「(あの男は確か以前ナマエさんを助けた……偶然でしょうか?彼女に渡した薬と同じ匂いを彼がさせているなんて)」
女性ならば分かるが、シローのような男が使うには似合わない薬だ
あの薬は効能は勿論だが何よりも香りがナマエに似合いそうだと思い買った物
気に入って使ってくれているようだが他の男にも使ったのだろうか
「(……胃が、いやこれは胸だろうか?気分が悪い)」
唇をぎゅっと結び奥歯を強く噛み締めた彼…Fは自分の胸に手を当てるとシワが出来るのも気にせず強く服を掴み握りしめた
見てもいないというのに勝手に頭に浮かぶ二人の姿、彼女が男に触れ…微笑んだかと思うと不快感はより一層強く黒い靄となり体を重くする
小さく遠くに見えるシローを密かに見つめ首の筋肉を強張らせた彼は眉間に深いシワを作るとシローを視界から排除するように行こうとした方向に向き直った
「(……まだ近くにいるかもしれない)」
どうしても顔が見たい
この気持ちも彼女に会えれば分かるかもしれない
少しでも胸の不快感を軽くしたくて歩き出すと足元を黒いポケモンが走った
「ジガルデ?」
ジガルデと呼ばれたポケモンはFに振り返るとついて来いと言うように走り出した
だがスピードまでは合わせてくれないのか、方向が辛うじて分かる程度でありジガルデはFを置き去りにし先へ先へと走っていった
だんだんと見えてきた建物が密接した住宅街
その建物の一つ、屋上から何やら紫の光が闇夜でも輝いて目立っていた
「あれはっ」
その光は今ミアレで増え続けている暴走メガシンカの兆し、何かのポケモンが力を抑えきれず暴走しようとしているのだろう
ほっとけばポケモンは苦しみ人にも被害が及ぶ、何とかせねばとFが駆け寄ろうとすると一足先に誰かが建物の前に立っていた
ナマエだ
彼女もまたジガルデに導かれたのだろう
彼女が屋上の光を見あげているとFが辿り着く前にジガルデがナマエを咥え屋上へと飛び上がってしまった
「ナマエさんっ!!」
止めようと手を伸ばすも間に合わなかった
ZAロワイヤルに参加したばかりの彼女はまだメガリングを持っていない筈だ
メガシンカもできないトレーナーに暴走したポケモンを助ける事はできない
逆にトレーナーが大怪我をする事になるだろう
最悪の事態を想像し建物の中へ入ろうとすると誰かの足音に気が付きFは無意識に物陰へと姿を潜めた
マチエールとAZだ
会うのが面倒な者といつかは話をせねばならない者が同時に現れ出るに出られない
その間にも屋上では戦いが始まりそうだ
どうしたものかと悩んでいるとAZが自分のルカリオにリングを持たせ屋上の彼女と戦うように指示を出した
ルカリオと彼女はすぐに合流し
屋上では激しいバトルの音が聞こえマチエールもAZも真剣に屋上の光を見上げナマエの勝利を願う
それはFも同じであり、もしもの為にとポケットの奥に仕舞い込んだ一つの指輪を服の上から抑え上を見上げた
暫くすると屋上の紫色の光は湯気のように散り散りになって消えていき静かになった
どうやら勝利したようだ
ルカリオに抱かれ下へと降りてきた彼女はまだ興奮気味なのかマチエールやAZ…そして遅れてついたガイと交え何なら話し込んでいる
その顔は明るく、大きな怪我もなかったようだ
「……余計な心配でしたね」
無事な姿にホッと息をつけば
いつの間にか汗を浮かべていた手をポケットの上から離し背筋を戻し、強張っていた全身から力を抜き壁に後頭部を押しつけ目を閉じた
「(彼女はトレーナーとして成長している……私も私の使命をこなさなければ)」
胸の中に残るモヤモヤを消すように拳を強く握りしめると、Fはゆっくりと瞳を開けフードを深く被り……その場を静かに後にした
