第一章
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『うわぁ……初めてのバッチだ』
キラキラと輝く草バッチ
全てを集めると円状になるのだろう
先はまだまだ長いのは分かっていたが自分達の強さと努力の結晶とも思えるバッチが宝物のようでナマエは大事そうに手の中でそれを撫で何やらペンで書き込み顔を明るくさせる
次はバウタウンの水バッチだ
『(もう夜だし…今日はここで泊まろうかな)』
ジムチャレンジでの旅は野宿が殆どだ、町に泊まれるのは貴重であり女の子のトレーナーにとっては何よりも助かる
今夜泊まる宿を探そうとジムから出るとサルノリが突然走り出し
『あ、サルノリ!』
また何処かへ迷子になるのかと思えば彼は数歩走っては振り返り上機嫌にこっちに来てくれと言っているようだった
初めてのジムチャレンジに興奮したのは人間だけではないのかもしれない
『まったく、ヒトカゲ追いかけようっか』
足元にいたヒトカゲに声をかけると彼女は頷きサルノリの後ろを追いかけ夜の町を散歩する
街灯の少ない町だったがヒトカゲのお陰で夜道も怖くない
畑から香る優しい土の匂いを嗅ぎながら暫く歩けば見えてきたのは観光名所でもある地上絵の前だった
『………大きいなぁ』
夜のせいか昼間よりも人は疎らで少なく、邪魔な人混みもなく柵の真ん前に立つことができる
草原地帯に広がる大きなポケモンのようなものと渦巻が特徴的な地上絵は知識がなくても目を引く程神秘的だった
三千年前の物らしいが…先人達が伝えたかったものはなんだろうか
『これは…………何の絵だろう?』
「ブラックナイトだ」
突然聞こえた声に振り返ると音もなく隣に彼が…ダンデが立っていた
彼は一度ナマエをみて微笑むとまた地上絵へと視線を向け自分の知っている範囲の事を教えてくれた
「大昔黒い渦がガラル地方を覆い巨大なポケモンが暴れ回った…これはブラックナイトと呼ばれた黒い渦についての絵らしいが俺にも詳しくは分からない」
『…ブラックナイト…ですか』
「本当ならカッコよく説明したいところだが…こういうのは俺よりソニアの方が詳しいんだ、君もいつか聞いてみるといい」
『ソニアさん?ソニアさんってポケモン図鑑をくれた?』
旅に出る前の事だ
ジムチャレンジをするならポケモン図鑑も必要になるとの事でダンデに引っ張っられ連れて行かれた場所で会った女性がソニアだった
オレンジ色の長い髪と長い睫毛から覗く緑色の瞳が印象的な美人だ
相棒はワンパチで活発で人懐っこいところが彼女にそっくりだったと記憶していた
「ああ、博士の助手でもあるがソニア自身も歴史を調べるのが好きでな?俺よりもガラルの歴史について沢山知っているぜ」
『凄い人なんですね、ソニアさんって』
「ああ!自慢の幼馴染みだ」
ダンデが認めた人という事だろう
自信満々にソニアについて語る姿を見るとナマエの胸の中でチクリと小さなトゲが疼いた気がした
『(なんだろ?変な感じがしたけど…気のせいかな?)』
胸の辺りを撫でぼんやりと遠くを見つめていると隣にいたダンデが視界に割り込むように前に現れる
「それより…君に言いたい事があったんだが」
『はい?なんですか?』
なんだろう?と彼を見上げ金色の瞳と視線がぶつかる、彼が今見ているのは自分なのだと感じると何故か胸のトゲが消えた気がした
「改めて、初めてのジムバッチおめでとう!」
彼の口から出たのは何よりも言われたかった祝いの言葉だった
『っ!!ありがとうございます!あたしもすっごく嬉しくて、ヒトカゲもサルノリも頑張ってくれてっ緊張したけど本当に楽しかったです!』
他の誰でもない
推薦してくれた本人から言われたおめでとうは特別な物であり、ナマエは喜びを溢れさせ心からの笑顔を浮かべた
ダンデにとっても漸く見ることのできた笑顔だった、辺りはすっかり暗くなったというのに彼女の周りだけ明るくなったように眩しく見えダンデは瞳を優しく細めた
「分かるぜ、俺も初めての試合は緊張してドキドキがなかなか止まらなかった」
『へへっ、一緒ですね!あんまり嬉しくてバッチに今日の日付書いちゃいましたよ!』
ほら、と見せてくれた草バッチには本当に小さく今日の日付が書かれていた
彼女の手の中にあるバッチを一緒に見つめているとダンデはふと近くなったナマエの横顔を見つめ呟くように言葉を続けた
「……ヤローとも随分仲良くなったようだな?」
『ヤローさんと?』
「ああ…アップされた画像を見たが、随分親しげだったじゃないか」
さっきまで優しく細められていた瞳は何か探るように鋭い物へと変わっており後ろめたい事なんてないのにドキッとナマエの胸を鳴らした
『そんな事ないですよ、たまたま試合前にヤローさんのお手伝いする機会があって少しお話ししただけですよ』
「………そうか」
少し間を取ってから返事をした彼は自分なりに何か納得しようとし頷くと思い出したようにああ、と話を切り出した
「今日はここの宿に泊まるのか?」
『ええ、今夜はせっかくなので宿を使いたいなと思って』
「なら宿まで送ろう、ヒトカゲの炎もいいがリザードンの炎の方が足元もよく見えるだろ?」
道案内をリザードンに頼めば彼は任せろと言わんばかりに鳴き声を上げ先頭を歩き出す
その後ろをヒトカゲとサルノリが追いかけ、数歩離れてダンデとナマエも歩き出す
前を歩くポケモン達の足音と自分達の靴が土の道を踏む音を聞きながらゆっくりと歩く
ジムチャレンジで熱くなっていた体はいつの間にか汗が冷え体を冷やしてしまったのか、夜風が肌を撫でた瞬間ぷるりと震えてしまった
「ナマエ、こっちへ」
『え?』
マントを軽く摘み、片腕を上げた彼は隣に来いとジェスチャーしてみせた
「夜は冷える、マントの中なら少しは温かいだろ?」
『ぁ……ありがとうございます』
いつもなら断っただろう
だが今は確かに体が冷えて寒くて…だから仕方ないのだと言い聞かせ
遠慮がちにナマエはダンデの側に近寄り肩に回された腕を受け入れた
『(大きくて筋肉のがっちりした腕…あたしとは全然違う……男の人の体なんだな…って何考えてるんだろ!)』
腕の中にすっぽりと入る小柄な少女
チラリと見下ろすと頬をほんのりと赤めダンデの顔を見ないように視線を泳がせているのがバレバレだった
「(君は無防備すぎる、俺でさえこんなに簡単に君に触れてしまった…悪い男だったらどうするつもりだったんだ?ヤローだってもしその気になれば…)」
ヤローがどんな男か勿論知っている
女性の嫌がる事は絶対にしないだろうし己の欲に溺れる事もないだろう
だが…つい考えてしまうのだ
自分以外の誰かが彼女を狙ったら……と
『ふふ、ヒトカゲったらリザードンにすっかり甘えてる』
彼女の声にハッとし前を見ればリザードンの背中にヒトカゲが飛び乗り何やら楽しげに話しているようだった
「……ずっと、会いたがっていたからな」
リザードンも気に入ったのだ小柄な彼女を
「(………俺と同じように…な)」
今腕の中にいる彼女を確かめるように肩に回していた腕に少し力が入り、さり気なくコチラへと引き寄せる
ふわりと香るナマエの匂いはオレンの実のように爽やかな甘さを帯びており、意識するなりダンデの胸が早鐘をうつ
手の中に汗が滲み首の辺りが熱くなるのを感じ戸惑っていると宿の灯りが見えてきた
「(もうすぐ着いてしまう…何か言いたいのに言葉が見つからない!こういう時キバナなら気の利いた事を言えるのだろうが…)」
キバナのように女性の扱いに慣れていれば…と、自分の経験値不足を嘆き歩くスピードをわざとゆっくりとさせ時間稼ぎをするが腕の中にいたナマエはダンデの気持ちなど知らず彼の腕から抜け出ようとした
『あ、そろそろ離れましょう?皆から変な目で見られますから』
肩に回された手に触れマントの中から抜けようとすると、その手は逆に掴まれ
「待ってくれ」
少し体が離れた事により彼女を包んでいたマントがはらりと落ち離れていく
それだけで冷たい空気がナマエの熱をとり、掴んで来たダンデの手の熱さを意識してしまう
『ダンデさん?あのっ離して?他の人が見たらきっと誤解するし…そしたらダンデさんに迷惑が…』
夜の闇の中、チャンピオンと密着するチャレンジャーなんて…知らぬ者が見たらきっと面白がって良からぬ噂を流すだろう
ガラルの至宝でもあるダンデにそんな噂は似合わない、気を利かせて言ったつもりだったが
自分と噂になるのが嫌なのかと感じたダンデは掴んだ手に力を少し込め、その手をそっと引き寄せ自分の胸に押し当てさせた
「君となら迷惑じゃない…と、言ったら?」
『え!……あっ、ぁ、あの…』
服の上からも分かる厚い胸板、手のひらから感じるドクドクと早鐘をうつ心臓の響きに気が付き驚くも真っ直ぐにコチラを見るダンデの顔に緊張し何も言い返せなくなる
「リザードンだけじゃないんだ」
『え?』
「俺も…………っ、俺も君に会いたかった!」
するりと胸を撫でさせる手を横へずらし心臓の上に誘導される
それだけど先程よりも感じやすくなった心音の響きを手のひらに感じナマエは耳まで顔を赤くしてしまう
これは…そういう意味だろうか?
まさか…ありえない
でもこれは……?
彼女が心の中で自問自答を繰り返している間もダンデの手は手首からナマエの手の甲へと移り自分の手のひらで優しく覆い込み、ぎゅっと握りしめる
「すまない…自分でもよく分からないんだ、こんな気持ち初めてで!何故君をこんなに気にしているのかもハッキリとした答えが分からない」
静かに背中を丸め視線が近くなってくる
「でも君が他の男と仲良くするのが気に食わない、他の男が近づくのも気に入らない……変だろう?」
紫色の長い髪が垂れてくる
彼の香りが近いと感じ顔を恐る恐るあげると夜の灯りでも分かる程顔を赤めたダンデの顔がすぐ側に見え
「だから…この答えが分かるまで、俺は君を追いかけ回す」
コツンと額が合わさり紫色の前髪とプラチナブロンドの前髪が混ざり合う
「悪いが付き合ってもらうぜ?」
間近で見えた彼は頬を赤めつつも意地悪く笑っており、まるでバトル前のようにワクワクとしているようにも見えた
キラキラと輝く草バッチ
全てを集めると円状になるのだろう
先はまだまだ長いのは分かっていたが自分達の強さと努力の結晶とも思えるバッチが宝物のようでナマエは大事そうに手の中でそれを撫で何やらペンで書き込み顔を明るくさせる
次はバウタウンの水バッチだ
『(もう夜だし…今日はここで泊まろうかな)』
ジムチャレンジでの旅は野宿が殆どだ、町に泊まれるのは貴重であり女の子のトレーナーにとっては何よりも助かる
今夜泊まる宿を探そうとジムから出るとサルノリが突然走り出し
『あ、サルノリ!』
また何処かへ迷子になるのかと思えば彼は数歩走っては振り返り上機嫌にこっちに来てくれと言っているようだった
初めてのジムチャレンジに興奮したのは人間だけではないのかもしれない
『まったく、ヒトカゲ追いかけようっか』
足元にいたヒトカゲに声をかけると彼女は頷きサルノリの後ろを追いかけ夜の町を散歩する
街灯の少ない町だったがヒトカゲのお陰で夜道も怖くない
畑から香る優しい土の匂いを嗅ぎながら暫く歩けば見えてきたのは観光名所でもある地上絵の前だった
『………大きいなぁ』
夜のせいか昼間よりも人は疎らで少なく、邪魔な人混みもなく柵の真ん前に立つことができる
草原地帯に広がる大きなポケモンのようなものと渦巻が特徴的な地上絵は知識がなくても目を引く程神秘的だった
三千年前の物らしいが…先人達が伝えたかったものはなんだろうか
『これは…………何の絵だろう?』
「ブラックナイトだ」
突然聞こえた声に振り返ると音もなく隣に彼が…ダンデが立っていた
彼は一度ナマエをみて微笑むとまた地上絵へと視線を向け自分の知っている範囲の事を教えてくれた
「大昔黒い渦がガラル地方を覆い巨大なポケモンが暴れ回った…これはブラックナイトと呼ばれた黒い渦についての絵らしいが俺にも詳しくは分からない」
『…ブラックナイト…ですか』
「本当ならカッコよく説明したいところだが…こういうのは俺よりソニアの方が詳しいんだ、君もいつか聞いてみるといい」
『ソニアさん?ソニアさんってポケモン図鑑をくれた?』
旅に出る前の事だ
ジムチャレンジをするならポケモン図鑑も必要になるとの事でダンデに引っ張っられ連れて行かれた場所で会った女性がソニアだった
オレンジ色の長い髪と長い睫毛から覗く緑色の瞳が印象的な美人だ
相棒はワンパチで活発で人懐っこいところが彼女にそっくりだったと記憶していた
「ああ、博士の助手でもあるがソニア自身も歴史を調べるのが好きでな?俺よりもガラルの歴史について沢山知っているぜ」
『凄い人なんですね、ソニアさんって』
「ああ!自慢の幼馴染みだ」
ダンデが認めた人という事だろう
自信満々にソニアについて語る姿を見るとナマエの胸の中でチクリと小さなトゲが疼いた気がした
『(なんだろ?変な感じがしたけど…気のせいかな?)』
胸の辺りを撫でぼんやりと遠くを見つめていると隣にいたダンデが視界に割り込むように前に現れる
「それより…君に言いたい事があったんだが」
『はい?なんですか?』
なんだろう?と彼を見上げ金色の瞳と視線がぶつかる、彼が今見ているのは自分なのだと感じると何故か胸のトゲが消えた気がした
「改めて、初めてのジムバッチおめでとう!」
彼の口から出たのは何よりも言われたかった祝いの言葉だった
『っ!!ありがとうございます!あたしもすっごく嬉しくて、ヒトカゲもサルノリも頑張ってくれてっ緊張したけど本当に楽しかったです!』
他の誰でもない
推薦してくれた本人から言われたおめでとうは特別な物であり、ナマエは喜びを溢れさせ心からの笑顔を浮かべた
ダンデにとっても漸く見ることのできた笑顔だった、辺りはすっかり暗くなったというのに彼女の周りだけ明るくなったように眩しく見えダンデは瞳を優しく細めた
「分かるぜ、俺も初めての試合は緊張してドキドキがなかなか止まらなかった」
『へへっ、一緒ですね!あんまり嬉しくてバッチに今日の日付書いちゃいましたよ!』
ほら、と見せてくれた草バッチには本当に小さく今日の日付が書かれていた
彼女の手の中にあるバッチを一緒に見つめているとダンデはふと近くなったナマエの横顔を見つめ呟くように言葉を続けた
「……ヤローとも随分仲良くなったようだな?」
『ヤローさんと?』
「ああ…アップされた画像を見たが、随分親しげだったじゃないか」
さっきまで優しく細められていた瞳は何か探るように鋭い物へと変わっており後ろめたい事なんてないのにドキッとナマエの胸を鳴らした
『そんな事ないですよ、たまたま試合前にヤローさんのお手伝いする機会があって少しお話ししただけですよ』
「………そうか」
少し間を取ってから返事をした彼は自分なりに何か納得しようとし頷くと思い出したようにああ、と話を切り出した
「今日はここの宿に泊まるのか?」
『ええ、今夜はせっかくなので宿を使いたいなと思って』
「なら宿まで送ろう、ヒトカゲの炎もいいがリザードンの炎の方が足元もよく見えるだろ?」
道案内をリザードンに頼めば彼は任せろと言わんばかりに鳴き声を上げ先頭を歩き出す
その後ろをヒトカゲとサルノリが追いかけ、数歩離れてダンデとナマエも歩き出す
前を歩くポケモン達の足音と自分達の靴が土の道を踏む音を聞きながらゆっくりと歩く
ジムチャレンジで熱くなっていた体はいつの間にか汗が冷え体を冷やしてしまったのか、夜風が肌を撫でた瞬間ぷるりと震えてしまった
「ナマエ、こっちへ」
『え?』
マントを軽く摘み、片腕を上げた彼は隣に来いとジェスチャーしてみせた
「夜は冷える、マントの中なら少しは温かいだろ?」
『ぁ……ありがとうございます』
いつもなら断っただろう
だが今は確かに体が冷えて寒くて…だから仕方ないのだと言い聞かせ
遠慮がちにナマエはダンデの側に近寄り肩に回された腕を受け入れた
『(大きくて筋肉のがっちりした腕…あたしとは全然違う……男の人の体なんだな…って何考えてるんだろ!)』
腕の中にすっぽりと入る小柄な少女
チラリと見下ろすと頬をほんのりと赤めダンデの顔を見ないように視線を泳がせているのがバレバレだった
「(君は無防備すぎる、俺でさえこんなに簡単に君に触れてしまった…悪い男だったらどうするつもりだったんだ?ヤローだってもしその気になれば…)」
ヤローがどんな男か勿論知っている
女性の嫌がる事は絶対にしないだろうし己の欲に溺れる事もないだろう
だが…つい考えてしまうのだ
自分以外の誰かが彼女を狙ったら……と
『ふふ、ヒトカゲったらリザードンにすっかり甘えてる』
彼女の声にハッとし前を見ればリザードンの背中にヒトカゲが飛び乗り何やら楽しげに話しているようだった
「……ずっと、会いたがっていたからな」
リザードンも気に入ったのだ小柄な彼女を
「(………俺と同じように…な)」
今腕の中にいる彼女を確かめるように肩に回していた腕に少し力が入り、さり気なくコチラへと引き寄せる
ふわりと香るナマエの匂いはオレンの実のように爽やかな甘さを帯びており、意識するなりダンデの胸が早鐘をうつ
手の中に汗が滲み首の辺りが熱くなるのを感じ戸惑っていると宿の灯りが見えてきた
「(もうすぐ着いてしまう…何か言いたいのに言葉が見つからない!こういう時キバナなら気の利いた事を言えるのだろうが…)」
キバナのように女性の扱いに慣れていれば…と、自分の経験値不足を嘆き歩くスピードをわざとゆっくりとさせ時間稼ぎをするが腕の中にいたナマエはダンデの気持ちなど知らず彼の腕から抜け出ようとした
『あ、そろそろ離れましょう?皆から変な目で見られますから』
肩に回された手に触れマントの中から抜けようとすると、その手は逆に掴まれ
「待ってくれ」
少し体が離れた事により彼女を包んでいたマントがはらりと落ち離れていく
それだけで冷たい空気がナマエの熱をとり、掴んで来たダンデの手の熱さを意識してしまう
『ダンデさん?あのっ離して?他の人が見たらきっと誤解するし…そしたらダンデさんに迷惑が…』
夜の闇の中、チャンピオンと密着するチャレンジャーなんて…知らぬ者が見たらきっと面白がって良からぬ噂を流すだろう
ガラルの至宝でもあるダンデにそんな噂は似合わない、気を利かせて言ったつもりだったが
自分と噂になるのが嫌なのかと感じたダンデは掴んだ手に力を少し込め、その手をそっと引き寄せ自分の胸に押し当てさせた
「君となら迷惑じゃない…と、言ったら?」
『え!……あっ、ぁ、あの…』
服の上からも分かる厚い胸板、手のひらから感じるドクドクと早鐘をうつ心臓の響きに気が付き驚くも真っ直ぐにコチラを見るダンデの顔に緊張し何も言い返せなくなる
「リザードンだけじゃないんだ」
『え?』
「俺も…………っ、俺も君に会いたかった!」
するりと胸を撫でさせる手を横へずらし心臓の上に誘導される
それだけど先程よりも感じやすくなった心音の響きを手のひらに感じナマエは耳まで顔を赤くしてしまう
これは…そういう意味だろうか?
まさか…ありえない
でもこれは……?
彼女が心の中で自問自答を繰り返している間もダンデの手は手首からナマエの手の甲へと移り自分の手のひらで優しく覆い込み、ぎゅっと握りしめる
「すまない…自分でもよく分からないんだ、こんな気持ち初めてで!何故君をこんなに気にしているのかもハッキリとした答えが分からない」
静かに背中を丸め視線が近くなってくる
「でも君が他の男と仲良くするのが気に食わない、他の男が近づくのも気に入らない……変だろう?」
紫色の長い髪が垂れてくる
彼の香りが近いと感じ顔を恐る恐るあげると夜の灯りでも分かる程顔を赤めたダンデの顔がすぐ側に見え
「だから…この答えが分かるまで、俺は君を追いかけ回す」
コツンと額が合わさり紫色の前髪とプラチナブロンドの前髪が混ざり合う
「悪いが付き合ってもらうぜ?」
間近で見えた彼は頬を赤めつつも意地悪く笑っており、まるでバトル前のようにワクワクとしているようにも見えた
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