ZA短編集
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
※恋人未満だった二人
「お前、クリスマスは何しとるん?」
『え?』
MZ団としてサビ組の依頼を終えたナマエは報告をすませ帰ろうとした、だがエレベーターに乗る前に後ろから聞こえたカラスバの問いに体がピタリと止まる
「暇なんか?って聞いとるんや」
さっさと答えろと言葉を強めに言えばナマエは素早くカラスバの元へと戻り何度も素早く頭を上下させた
『ひ、暇!暇です!はい!一日中空いてます!』
「そらよかったわ、ならその日は俺が予約させてもらうわ」
ニッコリと笑う彼は満足したのか机の上に置かれていた報告書へと視線を戻し話は終わりだという空気をだす
素っ気ない態度ではあるが、ナマエにとってはそんな事へっちゃらだ
何故なら……浮かれていたからだ
『(これってクリスマスデートのお誘いだよね!!やっったぁ!!)』
『あの…これって?』
クリスマス当日
お洒落をして待ち合わせ場所の河川敷につくとカラスバだけでなく他のサビ組もおりテキパキと何やら作業を開始している
長テーブルを何台も用意し汁物や大量のパンなどを用意する彼らに小首を傾げカラスバに問うと…
「今日のお仕事はボランティア活動の炊き出しや」
『っ、あ…仕事……そ…そうですか』
「なんや?」
『いえ、なんにも!(お仕事だったんだ、恥ずかしいっ!てっきりデートかと思っちゃった!)』
気持ちが先走りすぎたんだと反省し、肩を落としたままジプソ達と協力して炊き出しを手伝う
すると炊き出しを開始してから数分もしないうちに列が出来上がり食事を貰いに来る者達が溢れかえった
毎日の食事を用意するのがつらい者
理由があって親がいない者
家を無くした者
縄張り争いに負け腹をすかせたポケモン
様々な者が集まりナマエは内心驚きと複雑な気分に顔を暗くさせた
休憩時間を貰い流れる川をぼんやりと見つめていると煙草を咥えたカラスバが隣に並び
「どないしたん?疲れたんか?」
咥えていた煙草を指の間で挟み灰色の煙を空へと吹きながら問いかけてきた
ゆらゆらと上に伸びていた煙は風に揺られ散り散りになって消え、煙から視線を川へ戻すとナマエはぎこちなく思っていた事を口にした
『いえ…ミアレシティでも炊き出しを貰いにくる人って結構いたんですね』
差別するつもりはないが
知らなかった事に若干気不味さを感じる
誰もが当たり前の暮らしをできているわけではないのだ
そして…それは昔のカラスバも同じだった
彼女が何に暗い顔をしているのか気がついたカラスバはまた煙草を口に迎え吸い込むと、ふぅ…と重いため息ごと煙を空へと吐き出した
「せやなぁ…昔よりは随分減ったが、まだまだつらい奴らはおる…せやのに全員助けるにはまだ手が足りん」
カラスバは河川敷の向こうに見えるプリズムタワーを睨み目を細めだす
「表では芸術やら技術やらと輝かしい成果をだす街やけど…ちょいと裏を覗けばこんなもんや」
昔の自分を思い出し腰に下げたペンドラーの入ったボールをチラリと見た彼は鼻で笑い金色の瞳を細め彼女へと視線を向け直した
「俺も身寄りのいない子供やったけど…炊き出しなんてあらへんかったからいつも腹すかしててな、生きる為に盗みもようやったわ」
フラダリと会うまで
食事なんてない日の方が多いくらいだった
栄養が足りず空腹で動けず、ゴミを漁っては似たような者同士での縄張り争いで殴られた日々
それでも…自分は生き延びた
「今の俺は真っ当な大人やないけど、生きてればこっちのもんやろ?どんな形であれ困ってる奴らを一人でも多く助けたいんや」
『……カラスバさんは、ちゃんと人助けできてます!それにっ…とっても優しいってあたし知ってますから』
しんみりと彼の話を聞き泣きそうな顔を浮かべる彼女にカラスバは優しく微笑み
「なんやそれ?こないな仕事してる奴に優しいもなんもないやろ」
彼なりの照れ隠しなのか、一つ深呼吸をするとわざとらしく声を上げた
「あ〜あ、空気重っ!この話は終わりや!雪が降る前にさっさと仕事に戻るで」
『はいっ!』
切り替えようと先にサビ組メンバーのいる方向に歩き出す彼にナマエも置いてきぼりにされまいと駆け寄り炊き出しのボランティアへと戻った
沢山あった食料も夕方にはなくなり、炊き出しにきた人々やポケモンは嬉しそうに食事を楽しみ帰っていく
そんな光景を少しホッとしたように見ていたナマエは漸く肩から力が抜ける
『はぁ…なんとか終わった』
「ご苦労さん」
煙草ではない白い息をしながら近寄ってきたカラスバは缶コーヒーを一つナマエへと手渡した、気が付かなかったが手が随分冷えていたのだろう
渡された缶コーヒーの温かさがじんわりと手のひらから腕へと伸び気持ちよさと安心感に包まれる
その温かさに浸っていると空からチラホラと白い物が音もなくゆっくりと降ってきた
『雪……降ってきちゃいましたね』
「珍しなぁ…ホワイトクリスマスやないか」
灰色の雲から降ってくる白い雪
右へ左へと揺らめきながら落ちてくるそれはキラキラと輝きながら肌に触れすぐに溶けていく
『………ふふ、冷たいや』
初雪の美しさに見惚れ寒さなんて二の次だ
雪を楽しみながら空を見ていると
「鼻んとこ雪ついとるで?」
自分の鼻の上を指差しジェスチャーするカラスバの声に視線を戻した
『ええ!うそ!』
カラスバに間抜けな姿は見せたくない
咄嗟に手の甲で鼻を強く擦ってしまった
「あー擦らんと、赤くなってまうやろ?」
『どうですか?取れましたか?』
どうだと鼻の上を赤くしカラスバに照れた笑みを見せると彼はじっと彼女を見つめ
「他のが取れとらんわ」
『そんな、どこです…か……』
どこだと聞いている最中に近寄ってきた彼の顔
ついついその整った顔に見惚れ言葉が詰まると影が落ち……
ちゅっ、と可愛らしいリップ音が聞こえた
「ん、取れたわ」
何でもなかったように顔を離したが、確かに唇の上に柔らかい感触を感じたナマエは戸惑い感触を確かめるように口元を手で覆い隠す
『…………ぁ………え?』
「なにぼさっとしとんの?はよ帰ろ」
彼に恋しているナマエからしたら一大事だ
なのにカラスバはいつも通りであり、背を向けて歩き出してしまう
『カラスバさんっ、今っ…え?なんで…』
何故キスをしたのか
理由を聞きたくて彼を後ろから呼び止めると彼は顔だけを振り向かせ
「答えが知りたいなら……ウチにおいで?」
優しく微笑んだその顔はサビ組のボスらしくなく、まるで一人の男が恋する相手に向けるほど優しいものだった
「あ〜〜さむっ!なんやこの寒さ!氷河期でも始まるんかっ!」
それも一瞬で終わり、彼はまたいつもの顔を戻ると今度こそ帰る為に歩きだしてしまいナマエをほっといて車へと向かった
『待って!今のって冗談ですか?それとも本気ですか?ねぇ!カラスバさんったら!』
その後、彼の元へ向かった彼女が何を知らされたのかは分からない
だがクリスマスの日からというもの、二人の関係が親密な物に変わったという事だけはサビ組全員が知っている
「お前、クリスマスは何しとるん?」
『え?』
MZ団としてサビ組の依頼を終えたナマエは報告をすませ帰ろうとした、だがエレベーターに乗る前に後ろから聞こえたカラスバの問いに体がピタリと止まる
「暇なんか?って聞いとるんや」
さっさと答えろと言葉を強めに言えばナマエは素早くカラスバの元へと戻り何度も素早く頭を上下させた
『ひ、暇!暇です!はい!一日中空いてます!』
「そらよかったわ、ならその日は俺が予約させてもらうわ」
ニッコリと笑う彼は満足したのか机の上に置かれていた報告書へと視線を戻し話は終わりだという空気をだす
素っ気ない態度ではあるが、ナマエにとってはそんな事へっちゃらだ
何故なら……浮かれていたからだ
『(これってクリスマスデートのお誘いだよね!!やっったぁ!!)』
『あの…これって?』
クリスマス当日
お洒落をして待ち合わせ場所の河川敷につくとカラスバだけでなく他のサビ組もおりテキパキと何やら作業を開始している
長テーブルを何台も用意し汁物や大量のパンなどを用意する彼らに小首を傾げカラスバに問うと…
「今日のお仕事はボランティア活動の炊き出しや」
『っ、あ…仕事……そ…そうですか』
「なんや?」
『いえ、なんにも!(お仕事だったんだ、恥ずかしいっ!てっきりデートかと思っちゃった!)』
気持ちが先走りすぎたんだと反省し、肩を落としたままジプソ達と協力して炊き出しを手伝う
すると炊き出しを開始してから数分もしないうちに列が出来上がり食事を貰いに来る者達が溢れかえった
毎日の食事を用意するのがつらい者
理由があって親がいない者
家を無くした者
縄張り争いに負け腹をすかせたポケモン
様々な者が集まりナマエは内心驚きと複雑な気分に顔を暗くさせた
休憩時間を貰い流れる川をぼんやりと見つめていると煙草を咥えたカラスバが隣に並び
「どないしたん?疲れたんか?」
咥えていた煙草を指の間で挟み灰色の煙を空へと吹きながら問いかけてきた
ゆらゆらと上に伸びていた煙は風に揺られ散り散りになって消え、煙から視線を川へ戻すとナマエはぎこちなく思っていた事を口にした
『いえ…ミアレシティでも炊き出しを貰いにくる人って結構いたんですね』
差別するつもりはないが
知らなかった事に若干気不味さを感じる
誰もが当たり前の暮らしをできているわけではないのだ
そして…それは昔のカラスバも同じだった
彼女が何に暗い顔をしているのか気がついたカラスバはまた煙草を口に迎え吸い込むと、ふぅ…と重いため息ごと煙を空へと吐き出した
「せやなぁ…昔よりは随分減ったが、まだまだつらい奴らはおる…せやのに全員助けるにはまだ手が足りん」
カラスバは河川敷の向こうに見えるプリズムタワーを睨み目を細めだす
「表では芸術やら技術やらと輝かしい成果をだす街やけど…ちょいと裏を覗けばこんなもんや」
昔の自分を思い出し腰に下げたペンドラーの入ったボールをチラリと見た彼は鼻で笑い金色の瞳を細め彼女へと視線を向け直した
「俺も身寄りのいない子供やったけど…炊き出しなんてあらへんかったからいつも腹すかしててな、生きる為に盗みもようやったわ」
フラダリと会うまで
食事なんてない日の方が多いくらいだった
栄養が足りず空腹で動けず、ゴミを漁っては似たような者同士での縄張り争いで殴られた日々
それでも…自分は生き延びた
「今の俺は真っ当な大人やないけど、生きてればこっちのもんやろ?どんな形であれ困ってる奴らを一人でも多く助けたいんや」
『……カラスバさんは、ちゃんと人助けできてます!それにっ…とっても優しいってあたし知ってますから』
しんみりと彼の話を聞き泣きそうな顔を浮かべる彼女にカラスバは優しく微笑み
「なんやそれ?こないな仕事してる奴に優しいもなんもないやろ」
彼なりの照れ隠しなのか、一つ深呼吸をするとわざとらしく声を上げた
「あ〜あ、空気重っ!この話は終わりや!雪が降る前にさっさと仕事に戻るで」
『はいっ!』
切り替えようと先にサビ組メンバーのいる方向に歩き出す彼にナマエも置いてきぼりにされまいと駆け寄り炊き出しのボランティアへと戻った
沢山あった食料も夕方にはなくなり、炊き出しにきた人々やポケモンは嬉しそうに食事を楽しみ帰っていく
そんな光景を少しホッとしたように見ていたナマエは漸く肩から力が抜ける
『はぁ…なんとか終わった』
「ご苦労さん」
煙草ではない白い息をしながら近寄ってきたカラスバは缶コーヒーを一つナマエへと手渡した、気が付かなかったが手が随分冷えていたのだろう
渡された缶コーヒーの温かさがじんわりと手のひらから腕へと伸び気持ちよさと安心感に包まれる
その温かさに浸っていると空からチラホラと白い物が音もなくゆっくりと降ってきた
『雪……降ってきちゃいましたね』
「珍しなぁ…ホワイトクリスマスやないか」
灰色の雲から降ってくる白い雪
右へ左へと揺らめきながら落ちてくるそれはキラキラと輝きながら肌に触れすぐに溶けていく
『………ふふ、冷たいや』
初雪の美しさに見惚れ寒さなんて二の次だ
雪を楽しみながら空を見ていると
「鼻んとこ雪ついとるで?」
自分の鼻の上を指差しジェスチャーするカラスバの声に視線を戻した
『ええ!うそ!』
カラスバに間抜けな姿は見せたくない
咄嗟に手の甲で鼻を強く擦ってしまった
「あー擦らんと、赤くなってまうやろ?」
『どうですか?取れましたか?』
どうだと鼻の上を赤くしカラスバに照れた笑みを見せると彼はじっと彼女を見つめ
「他のが取れとらんわ」
『そんな、どこです…か……』
どこだと聞いている最中に近寄ってきた彼の顔
ついついその整った顔に見惚れ言葉が詰まると影が落ち……
ちゅっ、と可愛らしいリップ音が聞こえた
「ん、取れたわ」
何でもなかったように顔を離したが、確かに唇の上に柔らかい感触を感じたナマエは戸惑い感触を確かめるように口元を手で覆い隠す
『…………ぁ………え?』
「なにぼさっとしとんの?はよ帰ろ」
彼に恋しているナマエからしたら一大事だ
なのにカラスバはいつも通りであり、背を向けて歩き出してしまう
『カラスバさんっ、今っ…え?なんで…』
何故キスをしたのか
理由を聞きたくて彼を後ろから呼び止めると彼は顔だけを振り向かせ
「答えが知りたいなら……ウチにおいで?」
優しく微笑んだその顔はサビ組のボスらしくなく、まるで一人の男が恋する相手に向けるほど優しいものだった
「あ〜〜さむっ!なんやこの寒さ!氷河期でも始まるんかっ!」
それも一瞬で終わり、彼はまたいつもの顔を戻ると今度こそ帰る為に歩きだしてしまいナマエをほっといて車へと向かった
『待って!今のって冗談ですか?それとも本気ですか?ねぇ!カラスバさんったら!』
その後、彼の元へ向かった彼女が何を知らされたのかは分からない
だがクリスマスの日からというもの、二人の関係が親密な物に変わったという事だけはサビ組全員が知っている
