我爱你

ちょっと遊ぶ(ネタ書留)

2024/06/06 08:12


※前の日記(3/18)に書いた夏油夢・悲恋「偽りの睡蓮花」の冒頭をさらさらと書いてみる遊び(笑)



【ある補助監督の手記】

一人の少女が処刑された。

呪詛師・夏油傑に心酔していた彼女は、百鬼夜行にて何人もの呪術師を手に掛けた。

「呪術師100人殺したら、彼が迎えに来てくれる約束なの」

高専に捕縛された後の取り調べに、可憐な笑みを浮かべてそう答えた少女。医師・家入硝子による問診と診察から、その身に夏油傑の子を宿していることが発覚する。

御三家……特に五条家の温情により死刑を保留としたが、少女が我が子との対面を果たした翌日に刑は執行された。

死を迎えるその瞬間、彼女は死刑執行人の背中に悪寒が走るほどに美しい微笑みを浮かべた。血に塗れながらも、幸福に満ちた顔をして何かに手を伸ばし、そのまま事切れた。

高専の調査では、一般家庭に生まれ、近所の学校に通う普通の女子高生だった。

一体、どこで道を踏み外したのか。

夏油一派の残党の足取りを追跡し、彼女との関係性を調べて報告書を上げるよう上層からお達しがあった。

聞き取りや独自の調査で分かったのは、夏油と彼女は「恋人同士だった」と簡単に言い切ってしまうには、実に奇妙な関係だった。

これは、呪詛師となることで初めて生きる意味を見出した少女の、幸せに満ちた呪いの記録である。



END.

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