乙骨憂太
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「夢子ちゃん、これバレンタインデーのお返し」
そう言って同級生の憂太が差し出したのは、キャンディの入った瓶を抱えているウサギのぬいぐるみ。
手触りがいい、ふわっふわのソレに、思わず私も笑顔になった。
「カワイイー!ありがとう憂太!」
「そんなに喜んでもらえると思ってなかったから、僕も嬉しいよ」
憂太はプレゼントのセンスがいい。勿体無くて食べられないと私が冗談を言うと、憂太が首を傾けて微笑んだ。
「知ってる?ホワイトデーのお返しに選ぶお菓子には色々と意味があるんだって」
その言葉に、彼と同じ角度で私も首を傾げた。
「マシュマロは『嫌い』、マカロンは『特別』、クッキーは『友達でいたい』、それで、キャンディはね……」
そこまで言って、不意に体を屈めた憂太の声が耳元で響く。
「『あなたが好きです』」
固まる私の目の前で、彼の指がキュッと瓶の蓋を開けた。
おもむろにキャンディを一個取り出して、じわじわと頬が熱くなる私の口唇に押し当てる。
「僕の気持ち、夢子ちゃんに食べてもらいたいな」
彼の目と視線が合う。ほんの少し唇を開くと、隙間から甘い塊が侵入してくる。彼は楽しそうに目を細めて、キャンディを私の口に入れた後、いつものようににっこりと笑みを浮かべる。
カラン、とキャンディが口内で歯にぶつかった音が鳴る。同時にトクン、と上がる私の心拍数。
「今度、二人だけで出掛けない?」
甘く囁かれるデートのお誘いに、私は無言で頷くしかなかった。
END.