夢短編集SS
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
土手には、春の風が吹いていた。
一面に広がる緑の絨毯に、白い花が咲き乱れている。
しゃがみこんだ幼い銀時が、真剣な顔でそれを摘んで編んでいる。
「……なにしてるの?」
「うるせェな、今大事なとこなんだよ」
指先で小さな花を器用に編み込む。
やがて、くるりと輪ができた。
「ほら」
「……わあ」
差し出されたのは、シロツメクサの花冠。
「いいの?」
「作ったんだからやるよ」
そっと頭に乗せてやると、ナマエの顔がぱっと明るくなる。
「……かわいい」
「おう」
ナマエは花冠に触れながら、少しだけ俯いた。
「……このまま、枯れないでいてくれたらいいのに」
春の風が白い花を揺らす。
銀時は少しだけ考えて、肩をすくめた。
「枯れたら、何度だって作ってやるよ」
「……ほんと?」
「俺を誰だと思ってんだ」
その言葉に、ナマエは笑った。
それから、ずっと後。
同じ季節。
白い花の中で、大人になった銀時がしゃがみこんでいる。
「……なにしてるの?」
「うるせェな、今大事なとこなんだよ」
昔と同じ台詞、昔と同じ手つきで花が編まれていく。
やがて、輪になった花を差し出す。
「ほら」
「……シロツメクサ」
銀時はナマエの頭に、そっと乗せる。
ナマエは花冠に触れて、指先で丁寧に花びらをなぞった。
「前に言ったろ」
銀時は少し照れたように、視線を逸らして言う。
「何度でも作ってやるってよ」
ナマエは一瞬きょとんとして、それからくすっと笑った。
「……覚えてたんだ」
「当たり前だろ」
白い花の海の中で、その冠だけが静かに揺れていた。
