父性、ログインしました
役職:鬼
節分の夜。
かぶき町某所。
畳の上に、三人の父親が並んで座っている。
その前──
小さな手に豆を握った、燈・小春・紫苑。
「いくよー!」
燈が叫ぶ。
「おにはーそとー!」
バラバラバラッ!!
銀時「いででででで!! ちょ、待て待て!!」
坂田銀時、本気で被弾中。
「なんで俺らが鬼役なんだァ!?」
すぐ横で、銀時の妻が首を傾げる。
「え? だって……」
一拍。
「白『夜叉』」
銀時「鬼じゃねェ!!」
土方の妻、さらっと続ける。
「『鬼』の副長」
土方「……」
土方十四郎、無言で豆を受ける。
高杉の妻、一切の躊躇なし。
「『鬼』兵隊総督」
高杉「………………」
高杉晋助、反論を諦めた顔。
紫苑、静かに一言。
「……おには、そと」
小春「……ちゃんと、まいてるよ」
燈「福はーうちー!」
(※父親には一切当たらない)
銀時「差別だろこれ!!」
土方、ぽつり。
「……諦めろ」
銀時「お前、味方だろ!?」
土方は、銀時の肩に手を置く。
ポン。
「……肩書きに勝てると思うな」
銀時「現実的すぎるわ!!」
豆まき終了後。
三人の父親は、なぜか達成感のない顔。
一方。
燈「パパ、おにはでてった?」
銀時「……多分な」
小春「これで、いい年になるね」
土方「……ああ」
紫苑「……ありがとう」
高杉「……礼を言われる筋はねェ」
妻たちは満足そう。
「役割分担、完璧だったわね」
「毎年これでいけるわ」
「来年もお願いね」
三人の父親、同時にため息。
その夜。
豆を拾いながら、銀時がぼやく。
「……なァ。俺たち、一生鬼役じゃね?」
土方「……多分な」
高杉「……それでいい」
なぜなら。
三人の『鬼』がいる限り、子どもたちの福はちゃんと守られる。
肩書きは鬼。
中身は完全に『パパ』。
節分は、今年も無事終了した。
