パパとたまごっちと、取り返しのつかない成長
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進化という罪──坂田銀時、土下座の刻
朝。
かぶき町の空はやけに青く、そして妙に静かだった。嵐の前の静けさ、というやつかもしれない。
「パパ、これ! お願いね!」
ランドセルを背負った娘──銀時の一人娘、燈(あかり・7歳)が、小さな卵型のデバイスを銀時に差し出した。
「んぁ? なにこれ、懐かし……え、たまごっち? 令和でもまだこれ生き残ってたんか」
「生き残ってるもん。あのね、学校には持ってっちゃダメなの。だから、パパが代わりにお世話してて。帰ってきたら見るからね! ぜったい、進化はさせちゃだめだよ!? 今、おにぎりちゃんがいい感じなの!」
「……わかった、わかったよ。進化させなきゃいいんだな? はいはい、じゃあ気をつけて行けよ〜」
ぱたぱたと元気に駆けていく娘を見送りながら、銀時は手元のたまごっちを眺めた。
「……いや、言うて俺だって子どもの頃ちょっと触った世代だからな。まかせろっつーの」
──その一時間後。
「おなかがすいたぁ? ……よーしよし、たんとお食べ! 焼き魚もつけちゃう!」
ピピッ
「え? うんちした? まかせろっ、尻ふき三段!」
ピピピピピッ
「病気!? 待て、どした!? これ風邪か!? ダメだ、ちょっと一旦病院、いや薬……薬草とか……いや、ハーブ……ハーブティーはどうだ!?」
──さらに一時間後。
「おお、なんかハート飛ばしてる……え? これ告白? うお、プロポーズ!? ちょ、早くね!? まだ子どもだろ……!!」
ピロン♪
「進化した……だと……?」
銀時、顔面蒼白。
そして──放課後。
「ただいま〜〜〜! おにぎりちゃん、元気してた〜!?」
ぱっ、とたまごっちを手に取る燈。
そこには、ぷくぷくの愛らしい「おにぎりちゃん」の姿ではなく──
堂々たる「たいこもち様」(※最終進化系)が君臨していた。
「……な゛ん゛で゛せ゛い゛ち゛ょ゛う゛し゛て゛る゛の゛!!!!」
「ご、ごめん! マジごめんって!! 俺、ほんのちょっと目ェ離したら進化してて!!」
「成長させないでって言ったじゃん!! おにぎりちゃん、まだ……まだ……!」
娘、泣く。
銀時、土下座。
たまごっち、にこにこ。
「……お詫びに、今日の夜ごはん、オムライスに『あかりだいすき』ってケチャップで書いてくれたら許す」
「めちゃくちゃ重い罰だなそれ……」
「あと、たいこもち様、リセットして最初からやり直して」
「マジか……おにぎりちゃん、また最初から……」
たまごっちとの戦いは、まだまだ続く。
エンドロール:
土方「万事屋。お前の携帯、変な音鳴ってんぞ」
銀時「……ああ、娘のたまごっちだ。進化しないように頑張ってんだけどな」
土方「……育成ゲームで育てないとか、地獄かよ」
銀時「……子育てって、そういうとこあるよな……(遠い目)」
土方「知らんわ」
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