土器土器体育祭

昼飯



テントに戻るべきか、教室に向かうべきか悩み、生きてる携帯を操作すると(防水万歳。)、小森から教室に向かってると連絡が来ていたのを確認。
それを遠坂に見せ、教室に向かうことにした。

廊下を歩く生徒を見て、さっきまでの誰も居なかった光景の違和感を自覚していると教室が見え、開いた扉から入ろうとして立ち止まる。

入ってすぐの所で腕組みをしたまま仁王立ちする綺麗な顔をした大男。

の、横をすり抜けて中に入った。

「あっ!柴〜〜?」
机に向かうと、後ろから駆け寄ってくるのが分かった。
「入り口いたら邪魔だろ、特にお前の身長だと」
「ひどい…じゃなくて!」
「上野くんの体積の分世界は幸せだよ!」

小さい奴の声を無視して振り返らずに鞄に手を突っ込み、弁当を手探りしていると、机がバン!と音を立てた。
目だけで上を見る。
怒ってます。と言うように頬を膨らませた上野が俺の机に手をついていた。

「…………。」
「………。」
「………………。」
「……分かったって、悪かったよお前の勇姿見てなくて。トイレにこもってた」
「柴ぁ〜?」
「なぁ小森」

俺達の問答を見ていた小森に話を振った。
無表情で頷いた。

「ソウダネ。盛大な下痢ダッタネ」
おま、お前!!
「どちらかというと僕達はトイレに流される側だったね〜」
ちょっと。
遠坂お前。マジで。やめろって。

席に着いた遠坂が弁当を机に置いて朗らかに言うから焦る。
お前まで。

視線を感じて見回すと、何事かと見てくるクラスメイトが。
分かった。
一旦落ち着こう。
上野に座らせるように伝えた。
渋々着席する上野。
前のめりで俺の方を見る上野に口を開く。

「…俺はな」
「うん」
「……盛大な下痢を安心してできるように安寧の地を求めてトイレを三千里してたんだ」

「うん?」

「だってお前も分かるだろ?そんな、盛大な下痢の音を他の人に聞かれたくない気持ち」
「柴、汚い」
すいません。
買った弁当の蓋を開けた小森に叱られた。

な?と上野を見る。
「……うそだぁ…。」

負けるな俺!
上野さえ騙せなくなったら人狼ゲームで真っ先に吊るされる人間になるぞ!

「じゃあ見てみろよ、別にどこも怪我してねえだろ」

ほら、と両手を広げて見せる。
俺を上から下までジッと見ていく上野。
何も異常がないのが分かったらしいが、納得いかないように唇を噛んだ。

「危ないこと、してないんだよね」
「してねえって」
ちょっと水ポチャアトラクションあったが。

チラッと遠坂を見ると、あの発言以降口出しする気はないのか、小森同様弁当を広げていた。
切り札が効いたのか、他に言葉が出ない上野を見て弁当を机に置いた。

「ほら、それより午後からもお前は活躍あるんだからはやく食おうぜ」
「……はーい」

ようやく弁当を机にセットした上野。律儀に待ってくれていた小森と遠坂と共に手を合わせ、やっと昼飯にありついた。



「にしても小森の弁当豪華だな。2段って」
「あげないから」
「昨日も思ったけど、遠坂くんの弁当おいしそうだねぇ」
「ありがと〜。同室の人が作ってくれたんだ」
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