中間テストですよ

結果発表のお時間



思わぬことを知ってしまい、目下のことより頭を悩ませた。予想していたのは、ストーカーしてるから。って答えだったのに…!!

いや、それを当然のように考えてる俺は毒されてんのか…?しかも全部ってなんだよ。どれだよ…名前統一しろよ!クソッ!

フレンドを一通りチェックしているとあっという間に風紀室に着いてしまった。
今はそれどころじゃないのによぉ…!!!


……それどころだけどな!?
脳内セルフツッコミしてしまった。やっと頭を切り替えてドアをノック。

「柴君?入って良いよ…!」
聞こえてきた声は宗だった。もしや委員長はまだ居ない?

中に入ると、宗と南部さんがソファーに座ってこっちを見ていた。机にはコップが置いてある。どうやら俺が最後で、結構遅れて来てしまっていたらしい。ソファーに近寄って鞄を下ろした。

「ごめん遅くなって、塩島委員長は?」
「ううんっ全然、ソワソワして早く着きすぎちゃっただけだから…!塩島委員長さんは、僕らを出迎えてくれた後に話をしに出て行ったよ」
そうか。じゃあ今頃権現寺先生を叩きのめしてくれてるところなんだな。

中を見回すと、風紀委員が誰も居なかった。委員長の配慮?流石にもう話は出回ってるし、今更だと思うが。
そう疑問に思っていると、南部さんが答えをくれた。

「他の風紀の人は柴さんが来る少し前に出て行きましたよ…。誰か問題を起こしたとかで」
「あっ、ありがとうございます」

思わず頭を下げると、向こうも軽く下げた。
久々に対面でのご挨拶。

「掲示板見てくれてて、その節はありがとうございました…!」
「…や、全然、なんの力にもなれなくて…」
「いやいや、ほんと、気持ちだけでもありがたかったので…!」

そうして2人してペコペコしていると、宗に笑われてしまった。

冷蔵庫に飲み物置いてるから好きに飲んで良いって言ってたよ。と宗から聞き、勝手ながら冷蔵庫を物色することに。ドキドキ風紀は何を飲んでいるんでしょうかタイム。

中には、2Lペットボトルで緑茶、水、コーヒー。紙パックでリンゴジュース、カルピス、牛乳、しそジュースだった。

しそジュース。

意外なセレクトだった。
一瞬手が止まってしまったが、何事もなかったようにそれをスルーして緑茶にした。コップに注いで2人の元に。



宗から今の生徒会の状況の話を聞いていると、ドアからノック音が聞こえた。
そして、
「ただいま〜」
と言って入って来たのは、久々に見た夏目副委員長だった。

ドアノブに手を置いたまま入室した副委員長。伏せていた視線が上がり、俺と目が合った。驚きで目を丸くした副委員長。スルリと肩から髪の毛が流れ落ちる。キョトンとした顔が可愛かった。

「あれぇ?君は、えっと、し、し、しそ」
「柴です」
もしや冷蔵庫のアレは副委員長用ですか。

そうそう、すってんころりんの柴くんだ!と、にこにこひとりで頷いた夏目副委員長。
すってんころりんて。

のんびりと俺らの方に向かって来た副委員長が宗と南部さんに挨拶をした。南部さんは知っていた様で、宗と副委員長の2人が自己紹介。生徒会の顔の良いメンバーに見慣れてると思いきや、また違った美人の副委員長に宗は顔を赤くしていた。

「そっかぁ〜、君達がここにいるってことは………退学騒動のあれか!」
副委員長は、合点がいったように手を合わせた。何も知らない様子に、宗と南部さんと顔を見合わせた。
塩島委員長は夏目副委員長に話してないらしい。

「ご存じ無かったんですか…?」
驚いた顔のまま宗が聞いた。
「うん!まあよくあることだけどねぇ〜。単独行動が好きみたいで困っちゃう」
ふんっと腕を組んで髪を揺らした。
ほんとに困ってんのかよ、と思ってしまう程に軽い。

そして、揺れた髪からふわっと香る花々しい良い匂いに勝手にダメージを受けた俺だった。

副委員長は男…!
副委員長は男…!!
副委員長は男……!!!!

すると、俺にとって良いタイミングでまたドアをノックする音が。
同時に「只今戻りました」と言う声は、塩島委員長のものだった。

ドアを開ける塩島委員長に、おかえり〜!と手を振って迎える夏目副委員長。
塩島委員長は器用に片眉をあげ、意外そうにそれを見た。

「おや、翠。帰って来てたんですか?今日は部長方の話を聞きに回っていたはずでは?」
「それが特に問題なくて、すぐ終わっちゃったんだ〜」
良いことの筈が残念そうだった。さては愉快犯だな?

いつものこと、と言わんばかりに相槌を打った塩島委員長の後に続いて中に入ってきたのは、美月先生だった。

「おー、ちゃんと3人揃ってお利口だな」
俺らをなんだと思ってんだこの人。

だが。副委員長と話した後に普段通り挨拶をしてきた塩島委員長と違い、若干疲れた表情をしている担任に忘れかけていたソワつきが帰ってきた。
それは宗と南部さんも同じ様で、揃って視線をうろうろさせる俺ら。

自身の席の前に戻った塩島委員長がそんな俺らを見てにこやかに笑い掛けた。口を開こうとする委員長を見て、その場の空気が少し緊張したのが分かった。


「では勿体ぶるのもどうかと思いますので早速、」
「なになに、何話す気なの??」
「………翠。」
「あっ、待って!そうだ、退学についてだね!」
「翠。」
「ん?何?」

額に手を当てた塩島委員長は、地を這うような低い声を出した。

「黙ってろ」

先生は呆れ顔で笑い、ソワソワしていた俺らは気が抜けてソファーの背にもたれ掛かった。

成る程?
風紀委員は総じて"空気クラッシャー"なのがよく分かった。





「分からなければ後で話しますから」
「フィーリングで理解するねぇ」
「ははは……一応聞くが、ここに灰皿とか置いてたりしないか?」
「なに一服しようとしてんですか」
「夏目先輩って変わっ…優しそうだね…!」
「…………。(結果的に勿体ぶってる…。)」
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