秘密の先輩

雨の日



土砂降り……。


天気予報では晴れだった。
珍しく昨日、アイツは初っ端から機嫌が悪そうだった。今日、嫌な授業があるらしい。散々愚痴を言って煙草を吸いまくっていた。

明日絶対あいつの授業サボる!!っつってたけど、どうするんだ。
あの先輩なら何がなんでもサボりそうな気もする。

「おはよ〜珍しいねぇ、朝からいるって。」
「こっち来んな。」

明るい茶髪に軽くウェーブのかかった髪でタレ目の如何にもチャラい男。
こいつは先輩に憐れまれたクソファッションスタイルを教えてきたクソ野郎。くたばれ。
四六時中いつ見ても隣には女がいる。マシな顔してるからってこいつとセックスするとかどう考えても女の趣味が悪すぎる。
だが、いつも人ん家で寝てるから遅刻するってよくクラスのグループラインに送ってくるこいつが1人?

「お前こそ珍しく女連れてねぇんだな、いい加減見限られたか?」
「やだなぁ、途中まで一緒だったに決まってる デ ショ」

語尾にハートでも付けているような声色に、向けていた視線を外に戻した。
雨の鬱陶しさも相まって苛々が溜まる。

アイツの「嫌な授業」は2限目だ

「そーいえばさぁ……今日はいつもみたいにどっか、行かないの?」
「あ?」

見てやがったのか。
クソ野郎はこっちを見てにやにやしている。頭の回転は幾分かマシな為会話は楽だが、こういう目敏い所は鬱陶しい。

「聞いたよ〜、誰かさんに会うためにどっかでアイビキしてるって噂ぁ。」
「はァ?うるせえな。そんな奴いねぇよ。」
サボる場所が偶々一緒なだけだ。
周りの女子の視線も鬱陶しい。
もし仮にいたとしても、"ここ"で話す訳が無いとこいつのことなら分かりきってる筈だ。何企んでやがる。

次第にそわそわし始める周りとこっちに向かってくる女子に苛々が耐え切れなくなり、授業開始2分前だが教室を出た。
1限目は嫌いじゃない授業だったがあれの所為でぶち壊しだ。

……まさかこれが狙いか。
何の為に俺を早めに教室から出したのかまだ分からないが……これからあそこに行く時は気を付けるようにしないにしないと。






(ん〜〜………面白くなってきたなぁ〜〜………せんせー!トイレー!)
(取り敢えず…………一応行くか。図書室に。)
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