雑草
ご 水泳の授業
「水泳の授業はサボれないから嫌い!」
そう言ったピンクさんに、カントリーマームを食べながら思わず大きく頷いてしまった。会話に入るつもりなんて毛頭無かったのに。最近ずっと考えていたことだったから、つい。
「ねー!もぉ〜〜〜〜分かってくれるのはアナタだけよ〜〜〜!」そう言ってわんわんと泣き真似をしながら、俺の腰に抱き着きピンクの頭を擦り付けて来た。カントリーマーム食べてる下によく来れますね、ピンクさん。そこにいると食べカス落ちますよ、等と、多少の罪悪感はあっても伝える義理はないから何も言わずそのまま食べ続けた。
「いやいやプールなんて祭りやて、祭り」
「それはないっす」
赤さんをバッサリと切り捨て肩パンを喰らいつつ、菊池君は言葉を続けた。
「けど、まだ暑いしスッキリしないすか?水浴びるの」綺麗な水とは言い難いすけど、と最後に締めた。
「え〜でもさぁ〜〜……」
言葉を投げかけられたピンクさんが俺の腰でモゾモゾしながら駄々を捏ねた。目下はピンク1色で目が痛い。地毛が少し見えてプリンになってるけど、色素が元々薄いのか、抜けたのか、全く気にならない薄茶色で感心。髪を高頻度で染める人にとっては羨ましく思うかもしれない。
ゴミを折り畳んでポケットに突っ込んだ。
駄々を捏ねるだけのピンクから俺へ目線が移っている事へげんなりしながら口を開く。
ピンクさんの援護や、庇護をするつもりは無いけど、巻き込まれたからにはこちらの主張も伝えさせてもらおうと思います。
「一意見として……通常の体育なら多少待ち時間があったりしますけど、水泳の授業は基本的にずっと泳ぎっぱなしじゃないですか」
「うんうんそーそー」
「…俺は、それが嫌です」
「そーだそーだ!」
相槌botと化したピンクのつむじ先輩が腰で動く。
もっと言え言え、とピンクのつむじ先輩は仰りますが、残念ながらもう無いです。
何か思い出したのか、赤さんがアッと声を上げた。
「俺も………嫌かもしれない…………」
「えっ…………なんでっすか………………」
意見を変えられ、裏切られた顔の菊池君がちょっと面白い。
「だって…………」
だって
「女子と合同じゃ無いから………………」
女子と合同じゃ無いから……?
「あ〜〜〜〜〜〜!」
「あぁ〜〜〜……」
あー…………?
俺1人だけピンと来なかった。泳ぐスペース狭くなるから嫌じゃない…?
この高校では、男女別々に時期をずらしてプールを使っている。夏休み前が女子、明けてからが男子。何かと問題が起きやすいから、トラブルが起きないように。と、対策したらしい。
俺としては1レーン丸々使って泳げるから有り難いこの上無い。
分かる〜!と、腰に抱きつくことを止めたピンクさん。あぐらをかいている俺の太腿に上半身を預けて寛ぎながら、俺も、と言わんばかりに手を挙げた。
健全な高校生。
菊池君は同意というより、納得の声だった。
おいおい大人ぶってんなおい、と菊池君が2人に絡まれかけ、露骨に嫌そうにした直後にチャイムが。
校内が一気に騒がしくなる。
俺は次の授業は出席しようと立ち上がり、校庭の方に目を向けると、クラスメイト達が各自柔軟をして解散していくのが見えた。
プールから。
足元で頭を抱えて騒ぐピンクさんをスルーして菊池君の方を見ると、こっちを見ていたようで、素知らぬようにふいっと顔を逸らされた。
水浴びできるのに、水着忘れて残念だったね。目を細めながら、そう思った。
「水泳の授業はサボれないから嫌い!」
そう言ったピンクさんに、カントリーマームを食べながら思わず大きく頷いてしまった。会話に入るつもりなんて毛頭無かったのに。最近ずっと考えていたことだったから、つい。
「ねー!もぉ〜〜〜〜分かってくれるのはアナタだけよ〜〜〜!」そう言ってわんわんと泣き真似をしながら、俺の腰に抱き着きピンクの頭を擦り付けて来た。カントリーマーム食べてる下によく来れますね、ピンクさん。そこにいると食べカス落ちますよ、等と、多少の罪悪感はあっても伝える義理はないから何も言わずそのまま食べ続けた。
「いやいやプールなんて祭りやて、祭り」
「それはないっす」
赤さんをバッサリと切り捨て肩パンを喰らいつつ、菊池君は言葉を続けた。
「けど、まだ暑いしスッキリしないすか?水浴びるの」綺麗な水とは言い難いすけど、と最後に締めた。
「え〜でもさぁ〜〜……」
言葉を投げかけられたピンクさんが俺の腰でモゾモゾしながら駄々を捏ねた。目下はピンク1色で目が痛い。地毛が少し見えてプリンになってるけど、色素が元々薄いのか、抜けたのか、全く気にならない薄茶色で感心。髪を高頻度で染める人にとっては羨ましく思うかもしれない。
ゴミを折り畳んでポケットに突っ込んだ。
駄々を捏ねるだけのピンクから俺へ目線が移っている事へげんなりしながら口を開く。
ピンクさんの援護や、庇護をするつもりは無いけど、巻き込まれたからにはこちらの主張も伝えさせてもらおうと思います。
「一意見として……通常の体育なら多少待ち時間があったりしますけど、水泳の授業は基本的にずっと泳ぎっぱなしじゃないですか」
「うんうんそーそー」
「…俺は、それが嫌です」
「そーだそーだ!」
相槌botと化したピンクのつむじ先輩が腰で動く。
もっと言え言え、とピンクのつむじ先輩は仰りますが、残念ながらもう無いです。
何か思い出したのか、赤さんがアッと声を上げた。
「俺も………嫌かもしれない…………」
「えっ…………なんでっすか………………」
意見を変えられ、裏切られた顔の菊池君がちょっと面白い。
「だって…………」
だって
「女子と合同じゃ無いから………………」
女子と合同じゃ無いから……?
「あ〜〜〜〜〜〜!」
「あぁ〜〜〜……」
あー…………?
俺1人だけピンと来なかった。泳ぐスペース狭くなるから嫌じゃない…?
この高校では、男女別々に時期をずらしてプールを使っている。夏休み前が女子、明けてからが男子。何かと問題が起きやすいから、トラブルが起きないように。と、対策したらしい。
俺としては1レーン丸々使って泳げるから有り難いこの上無い。
分かる〜!と、腰に抱きつくことを止めたピンクさん。あぐらをかいている俺の太腿に上半身を預けて寛ぎながら、俺も、と言わんばかりに手を挙げた。
健全な高校生。
菊池君は同意というより、納得の声だった。
おいおい大人ぶってんなおい、と菊池君が2人に絡まれかけ、露骨に嫌そうにした直後にチャイムが。
校内が一気に騒がしくなる。
俺は次の授業は出席しようと立ち上がり、校庭の方に目を向けると、クラスメイト達が各自柔軟をして解散していくのが見えた。
プールから。
足元で頭を抱えて騒ぐピンクさんをスルーして菊池君の方を見ると、こっちを見ていたようで、素知らぬようにふいっと顔を逸らされた。
水浴びできるのに、水着忘れて残念だったね。目を細めながら、そう思った。