雑草

よん 3人の容姿



昼休み。

屋上で菓子パンを食べてる菊池君の頭を見て思い出す。そういえば。
「目つきがちょっとこわいけど、それが良いー!金髪で、最近地毛の焦げ茶が見えてるのが可愛い!それな!」

「……………えっ」

類を見ない眉の寄りよう。人殺しを見るような目と目が合う。しかも口をあんぐり開けてるから、菓子パン口に入ってなくて良かったね。とか。
「あはっ棒読みすぎじゃね!」
「いやいやいや、そこじゃないっすよねツッコミどころ!えっ、おま、ソ「って言われてたよ、クラスの人に。菊池君。」…ッチ……?は?」
俺じゃないよ。
舌打ちをして紛らわしいなんて言ってるけど。
それは、「なぁに、言われたかったのトッシ〜?」
ピンクさんが俺の代弁をしてくれた。

トッシー…?菊池君か。

コンクリートに寝転んで、気持ちよさそうに日向ぼっこしていたピンクさんも会話を聞いていたみたいだ。寝転んでいるピンクさんの方から菊池君の方に目を移すと、顔を真っ赤にしていた。
おや。トッシー。
「へいトッシー、お前は褒められ慣れてねーもんなーー!かわいいかわいい!」
へぇ。意外と。
俺たちの反応に我慢の限界のようで、フォローになってないフォローをする赤さんの背中をぶん殴ろうと右手を振るった。けど、赤さんは察知してたかのように素早く避け、スカった。間。5秒程沈黙が流れ、赤さんと菊池君の2人が同時に立ち上がり、全力の鬼ごっこを始めた。

楽しそうだ。


寝転んだままのピンクさんがこっちを見ているのが視界に入る。なんでしょうか。座ったままピンクさんと目を合わせ、俺は首を傾げた。垂れ目の目がよりへにゃっと垂れる。
「おれはなんかいわれてた〜?」

なんか。なんか…………。下を向いてあまり良くない記憶力を頑張って稼働させてみる。なんか…、あ。
顔を上げ、また目を合わせて口を開く。
「"歩く18禁"」

「えぇ……………………」絶句。後ろからは大爆笑の声が2つ。振り返ると、肩を押さえた赤さんと腹を抑えた菊池君が遊び終えてこっちに来る途中だったみたい。ぎゃははと涙を浮かべてピンクさんを指差して笑ってる。
「やべーやべー!アイツモザイクかけなきゃ!」
「俺ら見ちゃダメっすもん!」
「イイコだもんな!」
「っすね!」


「あ、」「やべ、」
後ろで気配が動いたのと楽しそうな2人の表情が固まるのは同時だった。

振り返る間もなく髪が前に靡いて顔に掛かる。何度か瞬きをして顔を上げると、ピンクの髪が揺れる後ろ姿だけが見えた。全力鬼ごっこ。2回目。


3人とも足が速いのを見ると、運動神経が良さそうで、喧嘩が強いって話は本当なのかも。なんて。珍しく素早い動きで2人を追いかけ回すピンクさんを見ながら煙草に火をつけた。


ちなみに、確か赤さんはエグザイル系って言われてた。
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