雑草

いち 将来の夢



小学生の頃の夢は薔薇になることだった。みんな振り向く程きれいで、それなのに棘があるから触れることのできないかっこよさが堪らなかった。登下校の道に花屋があって、毎日飽きもせず見ていた。たまに遅刻もしたくらい。
でもそれからは中学生になると登下校の道が変わり、態々行くなんてと思い薔薇を見に行くことをやめていた。

高校生になり、バイトをしている俺は薔薇を買いに行こうと思い立って店に行った。
店はタピオカ屋になっていた。
夏休みの給料のうちの2人の諭吉さんが財布の中で笑ってて、無性に憎かった。



今の俺の夢は、雑草になることだ。


「その為にはやっぱ早く死ぬことかなって」
「わけわからん」

立ち入り禁止のロープを乗り越えた屋上。煙草から橙色に灯る火を眺める。煙が臭い。

小学生の頃の俺、聞いてくれ、高校1年生の俺は夢に向かって一生懸命だよ。ちょっと夢グレードダウンしたけど。
なんだか変わった奴も友達?になった。煙草を吸ってる俺を見て煙そうにしてる見た目ヤンキーの菊池君。とその先輩達。短い髪の赤髪さんと、結べる位の長さのピンク髪さん。名前は覚えてないから髪の色で識別してる。
無邪気に、蝶々だ!素手で捕まえようぜ!とか言って蛾を追いかけ回している。今年受験生だよね先輩達。
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