秘密の先輩

2
先輩side



ね、

寝た

あの 隙を見せないような奴が

イヤホンしてがっつりゲームに集中してたから気付かなかったけど、

さっきから重くて鬱陶しいなーと、思って、右肩見たら

あの不良くんが 俺の 肩で 寝てる だと ?

結構な重量でクソ重いけど、なんかノラ猫に懐かれた気分でちょっとテンション上がる。
こいつの場合猫じゃなくて虎とか狼っぽいけど。

に、しても、ほんっときれーなお顔。
別にそこまで興味なかったし、顔よく見てなかったんだよな〜〜〜と折角だしゲームを中断してじっくり見てみることにした。

いや鼻たっか!まつ毛なっが!毛穴ねえ!!
これがクラスの女子が言ってたアップに耐えられる顔ってやつか……おそろしい…。

にしてもなぁ……。髪型から何までシャレーーってこいつが、去年まで中学生なんてありえんよなまじ。年齢詐欺かよ。
今だに中学生に間違われる俺と色々トレードして欲しい。
別に俺自身の見た目を変えたいって訳じゃなくて、こいつの見た目だと堂々と酒飲めそう。外でタバコ吸ってても違和感ないだろうし。
そう考えると裏山、ってやつ。

顔面観察の為にじっとしてたけど、そろそろ重い。無理。駄目。

えいっと肩を動かし頭を落とした。

「ふっ……。」
銀の毛玉がおっさん座りしてる俺の膝に落ちるの中々見た目がシュールぅ。思わず笑った。

「……なに……」
「何、じゃなくて重いの。俺の肩が陥没するでしょー。」

起きたようだが、不機嫌そうに眉を寄せ、目とぎゅっと閉じている。目を開けるつもりは無いようだ。生意気な。

「俺の膝枕は高いぞ、どけ。」
「…へぇ…何円?」
「5000円。」
「ふ、数字がリアルすぎ。」
「俺も思ったわそれ。」

話してるうちに目が覚めたようで、俺様の膝を枕にして、後輩がこっちを見上げて話す。

頭置き場変わっただけじゃねえか、どけ、こら、と文句、いやこれは正当な抗議だ。抗議をすると、薄く笑いながら話をすり替えて来た。

「なぁ、先輩、あんた男の割には太もも柔らかいな。」

「失礼しちゃうんだけどまじおこ。」

まじおこ。ちょっと運動してないだけだし。暑いからちょっと(?)アイス食べてるだけだし。
…………………………。
……………………………………そんなやばいか、なぁ……?
確かに風呂入った時、ちらっと鏡に映る俺の腹やら足やらちょーーーーっと前より肉付きいいかなーと思ってたけど、けど、やっぱ、あれは幻覚じゃなかったか…………。

「嫌いじゃない。」
「わっつ?」
「太もも、俺はこのままがいい。」

え、やだまさかこの子俺の身体が最初から目的だったの……!!?

じゃなくて

「やかましいわ、お前の好みなんて知らん。」

勢いよく立ち上がり、頭を落としてやった。草の上だけど多少痛かったようで、頭を抱えて小さく唸っている。ざまぁみろ。

ちょっ………………ぴり心にダメージを負った俺は、打倒!俺の贅肉!と頭にハチマキを巻くイメージをしてチャイムの鳴る校舎へと帰った。

後輩?しらん!放置!


(………………またアイツの太もも枕にしよう)
(あ、あといっこだけ…………まだ今日のアイス2個目だから!まだせーふ、まだ!せーふ!!)
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