秘密の先輩
1
後輩side
「あれ?またサボり?」
そう言って先輩は煙を吐いた。
ここで先輩に見つかってからひと月ほど経ったが先輩の見た目に反するその仕草には正直、慣れなかった。
先輩の見た目は一口で括ると【地味】。
顔も普通。
クラスにぱっと見2人はいる顔だろ。
髪は染めたことがないとすぐ分かる黒。
服だって俺みたいに着崩したりしてない。
そんなアイツの見た目に反するもの。
煙草。
アイツが煙草の煙をくねらせてる絵面のあまりのアンバランスさに、思わず溜息が漏れた。
名前も知らない仲なのに、先輩が見つかったらという心配をしてしまう、自分への馬鹿らしさに。
声をかけられてから突っ立ってたままの俺を不思議そうに見た先輩は、興味をなくしたのかスマホに構い始めた。
恐らく、最近ハマったというゲームだろう。
スマホ横にしてるし。
変に気が抜けた俺は先輩の側へ行き、
先輩side
外でせみが鳴き、あまりの蒸し暑さに備え付けの扇風機の前を陣取っていたある日。
いごしょうぎ部だった、っていごしょうぎとか書ける?
全然思い出せねー、いや、先輩達は、ジェンガをしながら俺に言った。
「おい、唯一の後輩よ。」
「なんすか、結構いる先輩?」
「今年で潰れる。」
「は?」
「今年で囲碁将棋部は潰れる。」
そりゃそうだった。たとえ幽霊部員がほとんどとはいえ、3年の代が多かっただけで、2年はおらず、1年は俺だけだった。
避難場所が無くなると嘆く俺に同情してくれた先輩は卒業前に、
「周りに言うなよ、池がある方の中庭あるだろ?あの木がいっぱい生えてるとこのコンクリ側が実は丁度校舎側から全然見えないようになってていーい穴場なんだよ、」と少し笑いながら教えてくれた。
卒業後、いつも馬鹿にしてロクでもない遊びばっかりしてた先輩を、例のこの穴場を見つけた時少し寂しくなったのはあの人達には秘密だ。
今日も、全くソリの合わない教師の授業で気分が悪いと保健室行き。
もうセミが鳴いてるってのにクーラーの付けない教室のせいで苛立ちは倍。
保健室なんて入学してからこの方行ったことねぇわ。
そう鼻で笑って方向転換。
さ、いつもの場所に行こうかね。
薄暗い緑を見ながらゆっくりと灰色を肺に満たす。はいだけに。くっだんねぇーと思いながら最近流行っているというアプリをダウンロードしてみる。
遅い。
やっぱりWi-Fiつながってるとこですれば良かったか。
そう思ったが、半分程まで来てたし、ツイッター見て暇を潰すことにした。
短くなったタバコを地面で潰しながらあっちーなー、と呟いた時、すぐ近くで枝を踏んだような音が聞こえた。
これは、やばい、絶対、やばい……!!
同期でも教師でもやばいこれは学生生活終了のお知らせです〜!
と思いながらも力は入らず、脱力状態のまま我が楽園への侵入者を迎え入れた。
あゝさらば楽園と学生生活…….。
と、思ったら、
銀髪で毛先に青のメッシュを入れたイケメン。見るからにヤンキーだった。制服すごい着崩してるし。パンツ見えてんぞ。
なんだよ、ただの不良かよ。焦って損した。しかもあんな見た目のやつ校内で見たことな
は??ただの?不良か?よ???
深い溜息を吐いた俺はその溜息をそのまま肺へおかえりいただいた。ただいま灰。だがどうやら肺は望んでいなかったようで思いっきりむせた。不良の前で。
そんなこんななキャッハート、な出会いをした俺達でした。
あの後、やばい不良だ〜〜金欠なのに〜〜と思ってたらドン引きした顔しながら(解せぬ)介抱してくれました。
やばい不良と思ったけど、話してみるとクラスメイトからヤンキー指導をしてもらったようであの見た目らしかった。
とりあえずパンチラもはやパンツドンッはださくねえか?って思ったから直してあげた。
あれからもう1ヶ月くらいか?あの時は恥ずかしかったな〜。
周りに漂う煙をぼんやり見て思い返してると視界に影が。
「あれ?またサボり?」
煙を吐きながら言う俺をなんとも言えない顔で見る後輩クン。
話をすれば?想えばだっけ?なんちゃらすればってやつ。
タイミングばっちぐー。
後輩クンとソーシソーアイかもね。俺ソッチじゃないけどっ!て心の中で華麗にウインク。
それよりなんで俺のことずっと見てんのあいつ。
ため息つくてなんぞ。全く失礼な奴め。
構ってやろうと思ったけど最近ハマってるゲームの通知が来たからそっち優先。
(よーーーしこてんぱんにしてやるぞぅー)
(…すげー真剣……でもクラス相性悪、)
(ま、負けた……?)
(…こてんぱんにされてる)
後輩side
「あれ?またサボり?」
そう言って先輩は煙を吐いた。
ここで先輩に見つかってからひと月ほど経ったが先輩の見た目に反するその仕草には正直、慣れなかった。
先輩の見た目は一口で括ると【地味】。
顔も普通。
クラスにぱっと見2人はいる顔だろ。
髪は染めたことがないとすぐ分かる黒。
服だって俺みたいに着崩したりしてない。
そんなアイツの見た目に反するもの。
煙草。
アイツが煙草の煙をくねらせてる絵面のあまりのアンバランスさに、思わず溜息が漏れた。
名前も知らない仲なのに、先輩が見つかったらという心配をしてしまう、自分への馬鹿らしさに。
声をかけられてから突っ立ってたままの俺を不思議そうに見た先輩は、興味をなくしたのかスマホに構い始めた。
恐らく、最近ハマったというゲームだろう。
スマホ横にしてるし。
変に気が抜けた俺は先輩の側へ行き、
先輩side
外でせみが鳴き、あまりの蒸し暑さに備え付けの扇風機の前を陣取っていたある日。
いごしょうぎ部だった、っていごしょうぎとか書ける?
全然思い出せねー、いや、先輩達は、ジェンガをしながら俺に言った。
「おい、唯一の後輩よ。」
「なんすか、結構いる先輩?」
「今年で潰れる。」
「は?」
「今年で囲碁将棋部は潰れる。」
そりゃそうだった。たとえ幽霊部員がほとんどとはいえ、3年の代が多かっただけで、2年はおらず、1年は俺だけだった。
避難場所が無くなると嘆く俺に同情してくれた先輩は卒業前に、
「周りに言うなよ、池がある方の中庭あるだろ?あの木がいっぱい生えてるとこのコンクリ側が実は丁度校舎側から全然見えないようになってていーい穴場なんだよ、」と少し笑いながら教えてくれた。
卒業後、いつも馬鹿にしてロクでもない遊びばっかりしてた先輩を、例のこの穴場を見つけた時少し寂しくなったのはあの人達には秘密だ。
今日も、全くソリの合わない教師の授業で気分が悪いと保健室行き。
もうセミが鳴いてるってのにクーラーの付けない教室のせいで苛立ちは倍。
保健室なんて入学してからこの方行ったことねぇわ。
そう鼻で笑って方向転換。
さ、いつもの場所に行こうかね。
薄暗い緑を見ながらゆっくりと灰色を肺に満たす。はいだけに。くっだんねぇーと思いながら最近流行っているというアプリをダウンロードしてみる。
遅い。
やっぱりWi-Fiつながってるとこですれば良かったか。
そう思ったが、半分程まで来てたし、ツイッター見て暇を潰すことにした。
短くなったタバコを地面で潰しながらあっちーなー、と呟いた時、すぐ近くで枝を踏んだような音が聞こえた。
これは、やばい、絶対、やばい……!!
同期でも教師でもやばいこれは学生生活終了のお知らせです〜!
と思いながらも力は入らず、脱力状態のまま我が楽園への侵入者を迎え入れた。
あゝさらば楽園と学生生活…….。
と、思ったら、
銀髪で毛先に青のメッシュを入れたイケメン。見るからにヤンキーだった。制服すごい着崩してるし。パンツ見えてんぞ。
なんだよ、ただの不良かよ。焦って損した。しかもあんな見た目のやつ校内で見たことな
は??ただの?不良か?よ???
深い溜息を吐いた俺はその溜息をそのまま肺へおかえりいただいた。ただいま灰。だがどうやら肺は望んでいなかったようで思いっきりむせた。不良の前で。
そんなこんななキャッハート、な出会いをした俺達でした。
あの後、やばい不良だ〜〜金欠なのに〜〜と思ってたらドン引きした顔しながら(解せぬ)介抱してくれました。
やばい不良と思ったけど、話してみるとクラスメイトからヤンキー指導をしてもらったようであの見た目らしかった。
とりあえずパンチラもはやパンツドンッはださくねえか?って思ったから直してあげた。
あれからもう1ヶ月くらいか?あの時は恥ずかしかったな〜。
周りに漂う煙をぼんやり見て思い返してると視界に影が。
「あれ?またサボり?」
煙を吐きながら言う俺をなんとも言えない顔で見る後輩クン。
話をすれば?想えばだっけ?なんちゃらすればってやつ。
タイミングばっちぐー。
後輩クンとソーシソーアイかもね。俺ソッチじゃないけどっ!て心の中で華麗にウインク。
それよりなんで俺のことずっと見てんのあいつ。
ため息つくてなんぞ。全く失礼な奴め。
構ってやろうと思ったけど最近ハマってるゲームの通知が来たからそっち優先。
(よーーーしこてんぱんにしてやるぞぅー)
(…すげー真剣……でもクラス相性悪、)
(ま、負けた……?)
(…こてんぱんにされてる)