土器土器体育祭

in風紀室



「はーい、今週の売り上げだゾっ」
「…どうもありがとうございます」
風紀室に入ってきた加賀屋が塩島の机の上に軽く置いた紙袋。小さく殴り書きしてある額に軽くない。これで売り上げの3割か。そう思った塩島は5割にしとけば良かったな、と若干の後悔をした。

売り上げに思考を寄らした拍子に、売り上げといえば、と思い当たった塩島。
「そういえば最近1年生の目立つ方がいらっしゃるようで」
人が出払った風紀室にて勝手知ったると冷蔵庫から飲み物を物色する加賀屋に声を掛けた。臨時収入は先程得たのもあり、別段問題もない塩島は咎める事もしなかった。
「あーやっぱ天下の塩島くんの耳にも入ってんのね」
一度赤っぽい紫色のペットボトルを手に取り、不審そうにまた冷蔵庫に仕舞い、再度手にしたのはいちごミルク。見覚えのないそれに塩島は、また誰か知らないうちに入荷したのか…。と独りごちた。

コップに注いで、いちごミルクを仕舞うと、来客用のソファーの背もたれに腰掛け、加賀屋が塩島を見て楽しそうに笑っていた。

「あれだけ学年を越えて校舎を練り歩いているんですから、誰の耳にも入るでしょう」
「だねぇ。ふふん、今年の体育祭は色々と撮れそうで…売り上げに期待できちゃう!」
片手で軽くコップを握り、コップの縁に口を付け、ゴクリと一口喉を鳴らして飲んだ。

楽しそうな彼に呆れる塩島。
「全く…。そういえば、計画やら何か探っていらっしゃいますが…。」
「ん?まだ分かってないけど?」
「…そうですか」

当然とでも言うようにあっけらかんと返ってきたそれを受け、眼鏡の位置を直した。まだ仕舞っていなかった紙袋に目をやり、鍵付きの引き出しを開けながら、ふと湧いた疑問を口に出す塩島。

「体育祭といえば、写真部は保護者用に販売する写真を撮る必要がありますが、そちらも大丈夫なんですか?」
「ノーープログレム!計画を探ってるのも、盗撮写真を売ってるのもボクと数名だけで、ちゃあんと他のみんなは普通に部活動に励んでるからねん」
携帯に目を落として何やらタップしながら加賀屋はなんでもないように答えた。

部長のお前も多少はまともに部活動しろよ。加賀屋を白い目で一瞥したが、臨時収入には期待を寄せている塩島がそれを口に出すことはなかった。



「去年はまだうーたんを知らない無能なボクだったからね…今年はメモリ1つ丸々使い切れちゃうな………アッその分買い足しておかないと!」
「…柴さんに今度会う時は、先に労わることにするか」
6/76ページ