中間テストですよ

「微生物もカウントに入れます」



どちらにせよここで分かれるつもりだった上野に手を払って体育館に行くのを促した。
しょんぼりした顔で何度もこちらを振り返るのに時間を告げると、ようやく慌てて走って行く後ろ姿を見送った。


「で、解散っつったでしょ俺」
「いいじゃあん〜結果発表楽しみだネ!」
「楽しくない」
「それと…」
なんだよ。
一旦言葉をためてこっちを上目遣いで見る加賀屋先輩。気持ち悪い。
「2人っきり………だね…。」
「くたばれ」

素早く距離を取って、可哀想なくらいに鳥肌が立った両腕を激しく摩った。

「それに2人っきりじゃないから!!!その、あの、さっき飛んでた虫も居たから!!」
「虫もカウントに入るんだあ〜…」
強引とも言われようが捻じ込んでやる!!なんなら植木の花も雑草もカウントしてやるからな!!!!

そのままストーキング変態犯罪者クソ野郎から距離をとって歩いていると、聞き覚えのある着信音が。

数十秒経っても収まらないので、渋々振り返った。シャッターを構えていた加賀屋先輩。ここ暫く耳に馴染んできてしまっているパシュッパシュッという音と携帯の着信音が廊下のBGMになった。うるさい。

「……鳴ってますけど」
「鳴ってるねぇ」
パシュッパシュッパシュッパシュッピロリロリンピロリロリン
「…………まだ鳴ってますけど」
「まだ鳴ってるねぇ」
「取れよ」

睨んだ俺に加賀屋先輩はカメラを下ろし、しょうがないなぁ〜!と何故かニマニマしながら携帯を操作して耳に当てた。

「もしも〜し、今良いところだったんだけど何〜??うん?うん、うん……。

え〜〜あ〜〜……分かったよぉ……ボクが行くから引き続きよろしくネ」

歩きながら耳を立てていると、要件は終わったらしく静かになった。

「うーたーん〜〜」
「何ですか」
「ボクこれから行くところができちゃって…」
「行ってらっしゃい!!!」
「え〜ん!!!もっと惜しんでよ〜!!!」
惜しむべきはお前といた時間だけだ。

今度は俺が笑顔になる番だった。満面の笑みで手を振る。さっさと去れ。

ヒドイ!かわいい!かわいい!!最高!!と言いながらシャッターを切って俺から離れていくのに、こいつどこまでも………。と呆れた。

あぁ、でも待った。
1つ聞きたいことがあったんだった。

「あの、消える前に1つ聞いても?」
「ボクはエネミーか何かなの?イイヨ!」
実はずっと聞きたかったこと。
それは、


「なんで俺のゲームの進捗状況知ってたんだよ」

加賀屋先輩はカメラを下ろしてはにかんだ。


「フレンドだからだよ!!!」




「どれだ!!!!?!クソッ!!フレンド解除してやる!!!!」
「ゲームぜーんぶっ(ハート)」
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