中間テストですよ

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「しつもんであってしつもんじゃない??」
はてなで顔中いっぱいの加賀屋に、ここからが私とあなたにとっての本題ですよ。と、にこりと笑う。

「さて……実は私としては柴君の証拠の写真ではなく、あなたとこうして話す機会をずっと待っていたんですよ」
「いやーん照れちゃう〜……なんで?」
「なんで?…ふふ、分かってらっしゃるでしょう?

"盗撮している写真売り捌いているのを見つけた時にすぐ逃げるから"

ではありませんか」
「え、えへへへ」
「ふふふふふ」
ブリザードの覇気を纏う塩島。
冷や汗が止まらなくなりだす加賀屋。

「…怒ってる?」
「怒ってませんよ。あなた方写真部の、まるでハイエナの様な足の速さに尊敬すらしています!」
盗撮写真を売って、まるで、貪欲で他人を食い物にするって言いたい…ってこと?!ひーん!と加賀屋は内心悲鳴をあげた。頑丈に縛られている身体は逃げることを許されない。実は何度も縄を解こうと身を動かしていたが、どういう縛り方をしているのか、全くびくともしなかったのだ。



「…で、そうやってボクをなぶるのが最後の質問…みたいなやつなの???」
諦め、不貞腐れた顔になる加賀屋。
「違います」
「じゃあなに」
「あなた方にとって、とても良いお話をしようかと」

ツカツカと加賀屋のすぐ目の前まで歩み寄った塩島。彼の耳元に顔を寄せた。

「取引をしませんか?」
「……………。」

2人は目を合わせた。
真意を探る様に加賀屋は目をジッと見つめる。

「…なんかこわぁい」
分からなかったらしい。
塩島が笑う。
「ははは。では早速。取引というのは、

"写真を売った収益の3割を風紀に収めて頂く"
"風紀は黙認する"

……というお話です。簡単でしょう?」
「…ふぅん…?」
損得勘定を脳内で始める。

つまり…ボクらはこれまで通りに動くことができる。風紀公認だから、写真を売っている所を見つかっても鬼ごっこする必要が無くなる。売上の3割を納めれば。
………うんうん。

「…悪くないね!鬼ごっこしなくていいならむしろ良い話!!」
「では、あなた方写真部はこれからアドバイザーという形で風紀に協力して頂きます。それと、もし制裁を目撃した時は私に知らせて頂いてもよろしいですか?人手が足りてませんので」
「それくらいならお安い御用サ!」

片方が縛られてさえいなければ2人はがっちり手を握っていたであろう場面だった。

そして、この場に他の観客がいれば
"会ってはいけない2人が会ってしまった…!"
と思う瞬間でもあった。


「そういえば否定しなかったけどぉ、彼より塩島くん弱いんだネ!」

空気がピシッと固まる。

会ってはいけないし、合わない2人だった。




「…………そういえば柴君が飲んでいたコップ、古くなってきたので新調しようかと思ってたんですよね…。このまま捨ててしまいましょうか」
「エッッッ捨てるの?!?ままま待って待って待って頂戴頂戴頂戴頂戴ちょうだい!!!!!ねえ!!!!!!」
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