中間テストですよ

アーーーーーーーッ(ビーバー)



ひと騒ぎしてる間も一切視線をあげなかった器用な委員長だった。

そんな器用な委員長は作業が終わったらしく、ホワイトボードに向かった。演出の為だけに貼られた写真を一枚ずつ磁石から外していく。

「さて…これで3人の証拠が遂に集まったことですし、この後先生方と南部君の無罪の証言をしてくれる生徒に連絡を取って、話しをつけて参りますね」
「ありがとうご…ざい…ます?」

ん?
話をつけて参りますね?

塩島委員長が?!

「…えっ、あっ俺達はどうすれば?」
慌てて質問を投げかけた。
「柴君達は…そうですね、放課後にここに集まっていてください。」
「いや、でも」

何故委員長が?と疑問が頭を埋め尽くし、食い下がってしまう。

「うーたん、ここは天下の塩島委員長に任せて良いと思うYO」

加賀屋先輩が含みのある笑みを見せた。そのまま、写真を纏め終えた委員長の方を向く。
「まだ、何かやることあるんでっしゃろ?燕クン?」
そんな呼び方してたのか。
同学年だし実は仲良いとかか?
交互に見ると、委員長が顰めっ面になっていた。舌打ち2秒前。

「そんな呼び方初めてでしょう。気持ち悪いので金輪際やめてください。」
初めてかい。
勇者かよ。

「ですが……そうですね。それの言う通り、最後の仕上げはまだ残っています」委員長は間を置いて、考え込んだような顔でそう言った。
まだやることがある?

委員長を見ていたら、視線が合った。無表情からいつもの笑顔に変わる。

「ご安心ください。"品行方正な生徒代表の風紀"として、何をしてでも君達の無罪を証明致しますとも」
何をしてでも。
含みのある言葉に口元をひくつかせた。
一体何をするつもりで………?


んん…。
そこまで言ってくれるなら任せるしかないか。しょうがない。
諦めて、「よろしくお願いします。」と頭を下げた。

「それでは柴君、もうそろそろチャイムも鳴りますし、教室に戻っていただいて結構ですよ。…ああ、道中不安でしたら、今見回りをしている他の風紀を呼びましょう」
「いえいえいえ全然大丈夫なので!」

携帯を触り出す委員長を慌てて止めた。
立ち上がり、飲み物のお礼を伝えた。

ドアの前で、また放課後。と委員長に言われて会釈をすると、「うーたーん」と呼ばれた。
…………なんだよ。
ちらりと視線を向けた。
変わらない緩い笑み。口が動く。

「またね。うーたん」

微笑み、呟くように静かに言った。

意味ありげなそれに、俺は

「 嫌 だ 」

と語句を強めて言ってドアから出た。
直後、中から声が聞こえたがスルーした。




「かっっかっっっかわいいーーーーーッッッッ!!!!」
「データ」
「アーーーーーーーッ」
「(呪いの呪文かよ)」
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