中間テストですよ
待たせたな。(柴を)
「遅い。待ったぞ」
俺がな。
言えるわけがないツッコミを飲み込み、頷いて「はあ…すいません」と返す。
中に入ってきたのは、天井の明かりを受けてキラキラと輝く天然のブロンドの髪をオールバックにセットして、彫りの深い顔には海色の瞳とそれを囲うように長い睫毛、薄い唇は石膏のように固く結んでいる、ひと目見て分かる"上に立つ側の人"だった。
ただの制服さえ俺と同じとは思えない程に高そうに見えた。
成る程。小森が鉄製のうちわを作って騒ぎ立てるのも無理はない話だ。
ただ、動作を行う度に花が舞いそうなその人に抱いた、間近で見た感想は、全身うるさいなこの人。というものだったが。
残念な話。
美に対して関心がねぇとこうなる。
スタスタと3人の横を長い脚が花を散らして(俺の幻覚だ。)通り過ぎ、会長に用意された席に尊大に座った。
「早速だが話に移ろう。貴様はAクラスの柴柚木、で間違い無いな?」
「はい」
頷く俺を見て、片肘を机につき、指を交差させて話を続ける。
「俺は3年Sクラスの氷室で生徒会長を務めている。知っているな?よし」
自己紹介をする会長を意外に思いつつ、またも頷いた俺に、会長が満足げな顔を見せた。
「では話を続けよう。残念なことに、俺は今忙しい身にある」
どこがやねん。と言って睨む木雨を全く反応する事なく続ける。
「そこでだ。そこの主席のデグーに"誰かまともな頭の奴はいるか?"と聞くとお前の名前が挙がった」
デグー?????
……。
齧歯類の??????
呼ばれ慣れているのか、主席の宗は会長が部屋に入った時からの眉が下がったまま変わらなかった。俺の話になった途端しおしおの顔になったが。ごめん…。と小声で言うのが聞こえた。
「調べると貴様は特待生だそうな。
先日の試験においても順位は7位。
そして、主席で生徒会補佐のデグーの友人」
「……それで?」
嫌な考えが頭に浮かんだ。
会長が指を組み直し、こちらに不遜な笑みを浮かべた。
「…そこでだ。俺が忙しい期間のみ、貴様には特別に補佐についてもらうことにした」
断言。
いやいや。
「あの。話を無碍にするようで申し訳ないのですが、俺には生徒会の補佐なんて身に余るものです。誰か別の適任の方がいらっしゃるのでは?」
手を挙げて意見する俺を芸術品のような瞳で一瞥した。
「俺は意見など求めていない。これは決定事項だ。貴様をここに呼んだのは、それを知らせるために過ぎん」
なんつー横暴な。
「せやせや。そんな話あるかいな」
合いの手をどうも。
納得のいってない顔を見て、会長は仕方なさそうに引き出しを開け出した。一枚の紙を取り出し、2本の長い指で挟んでそれをこちらに見せ付ける。
少し遠くて目を凝らして見る。
赤い判子が2つ押してあるのが見えた。
1番上に書いてんのは……"生徒会補佐任命書"………。
は?
「まっ!!…てください……。既に許可が降りていたってことですか?」
「そうだ。確定事項だと言っただろう」
「会長権限エグぅ…」
全くもって木雨と同意見。
フッ。と鼻で笑う会長。
褒めてるとでも思ってんのか。俺らはドン引きしてんだよ。
6つの視線程度、会長は意に介さないらしく、要は済んだとばかりに立ち上がった。
「さて。先程も言ったように俺は今忙しい。話は以上だ。あとはそこの木雨とデグーにでも聞いておけ。どうやら木雨とも顔見知りのようだからな。俺ほどまでとは行くまいが精々励むがいい、犬。」
犬って言うな。
腰に手を当て踏ん反り返りそう仰ると、再び来た時と同じように花を散らせて(俺の幻覚。)颯爽と部屋を出ていった。
思い思いの表情で顔を見合わせる俺達。
……色々、言いたいことはあるけども。
疲れ切った顔の宗と目を合わせる。
「…………なんでデグー?」
「……………僕もわかんない……。」
宗は目を伏せて絞り出すような声で答えた。
「今行くぞ、慧…!!(毛玉の名前)」
「はーやれやれやわ」
「また犬……。」
「会長様は動物のあだ名を付けるのが趣味らしいよ……。」
「遅い。待ったぞ」
俺がな。
言えるわけがないツッコミを飲み込み、頷いて「はあ…すいません」と返す。
中に入ってきたのは、天井の明かりを受けてキラキラと輝く天然のブロンドの髪をオールバックにセットして、彫りの深い顔には海色の瞳とそれを囲うように長い睫毛、薄い唇は石膏のように固く結んでいる、ひと目見て分かる"上に立つ側の人"だった。
ただの制服さえ俺と同じとは思えない程に高そうに見えた。
成る程。小森が鉄製のうちわを作って騒ぎ立てるのも無理はない話だ。
ただ、動作を行う度に花が舞いそうなその人に抱いた、間近で見た感想は、全身うるさいなこの人。というものだったが。
残念な話。
美に対して関心がねぇとこうなる。
スタスタと3人の横を長い脚が花を散らして(俺の幻覚だ。)通り過ぎ、会長に用意された席に尊大に座った。
「早速だが話に移ろう。貴様はAクラスの柴柚木、で間違い無いな?」
「はい」
頷く俺を見て、片肘を机につき、指を交差させて話を続ける。
「俺は3年Sクラスの氷室で生徒会長を務めている。知っているな?よし」
自己紹介をする会長を意外に思いつつ、またも頷いた俺に、会長が満足げな顔を見せた。
「では話を続けよう。残念なことに、俺は今忙しい身にある」
どこがやねん。と言って睨む木雨を全く反応する事なく続ける。
「そこでだ。そこの主席のデグーに"誰かまともな頭の奴はいるか?"と聞くとお前の名前が挙がった」
デグー?????
……。
齧歯類の??????
呼ばれ慣れているのか、主席の宗は会長が部屋に入った時からの眉が下がったまま変わらなかった。俺の話になった途端しおしおの顔になったが。ごめん…。と小声で言うのが聞こえた。
「調べると貴様は特待生だそうな。
先日の試験においても順位は7位。
そして、主席で生徒会補佐のデグーの友人」
「……それで?」
嫌な考えが頭に浮かんだ。
会長が指を組み直し、こちらに不遜な笑みを浮かべた。
「…そこでだ。俺が忙しい期間のみ、貴様には特別に補佐についてもらうことにした」
断言。
いやいや。
「あの。話を無碍にするようで申し訳ないのですが、俺には生徒会の補佐なんて身に余るものです。誰か別の適任の方がいらっしゃるのでは?」
手を挙げて意見する俺を芸術品のような瞳で一瞥した。
「俺は意見など求めていない。これは決定事項だ。貴様をここに呼んだのは、それを知らせるために過ぎん」
なんつー横暴な。
「せやせや。そんな話あるかいな」
合いの手をどうも。
納得のいってない顔を見て、会長は仕方なさそうに引き出しを開け出した。一枚の紙を取り出し、2本の長い指で挟んでそれをこちらに見せ付ける。
少し遠くて目を凝らして見る。
赤い判子が2つ押してあるのが見えた。
1番上に書いてんのは……"生徒会補佐任命書"………。
は?
「まっ!!…てください……。既に許可が降りていたってことですか?」
「そうだ。確定事項だと言っただろう」
「会長権限エグぅ…」
全くもって木雨と同意見。
フッ。と鼻で笑う会長。
褒めてるとでも思ってんのか。俺らはドン引きしてんだよ。
6つの視線程度、会長は意に介さないらしく、要は済んだとばかりに立ち上がった。
「さて。先程も言ったように俺は今忙しい。話は以上だ。あとはそこの木雨とデグーにでも聞いておけ。どうやら木雨とも顔見知りのようだからな。俺ほどまでとは行くまいが精々励むがいい、犬。」
犬って言うな。
腰に手を当て踏ん反り返りそう仰ると、再び来た時と同じように花を散らせて(俺の幻覚。)颯爽と部屋を出ていった。
思い思いの表情で顔を見合わせる俺達。
……色々、言いたいことはあるけども。
疲れ切った顔の宗と目を合わせる。
「…………なんでデグー?」
「……………僕もわかんない……。」
宗は目を伏せて絞り出すような声で答えた。
「今行くぞ、慧…!!(毛玉の名前)」
「はーやれやれやわ」
「また犬……。」
「会長様は動物のあだ名を付けるのが趣味らしいよ……。」