中間テストですよ
チアボーイズ
手負いの俺はすぐに捕まって弁慶を小突かれた。鬼の所業。
さっきまでのしおらしさを3割ほど戻せ。
教室に戻る時に「足が痛くて動けないんだがー」と言った俺を睨むも、負い目を感じていたのか肩に体重をかけても何も言われなかった。
心なしか態度がマイルドになりました?
教室の前辺りに来ると、中が少し騒がしい。
またなんかあったぽい。もういいって。
野次馬が何人か扉の前にいて邪魔だ。
覗くと担任と上野と遠坂が委員長達と話し込んでいるみたいだった。
なんだなんだ。
小森と顔を見合わせる。小森も流石に分からないらしい。
この空気でここから声をかける勇気はない。
ごく自然に教室に入って、1番扉から近くにいた骨川に声をかけた。
「なぁ骨川、」
「し!」
「し?」
「柴くん!!」
その声に弾かれた様に3人がこっちを向いた。
から反射的に小森を盾にした。
や、小さいな。この盾。
「なっ何して…!」
「今だけ大きくなってくれ」
「何を言ってるんだ貴様。僕だって好きで小さ……この身長なわけなんかじゃないからな!」
差分だけ柴の足削るぞ。と脅された。
こっわ。
本当は怖いシンデレラ小森。
「柴!大丈夫なの?!」
「柴君〜ワンワンの戦いって何があったの?」
「おい、柴。ワンワンの戦いって小森とだったのか?」
「ただいま上野。あと2人は何言ってるんすかガチで」
小森と縮ませ合いに発展しかけたところに上野と遠坂と先生が声をかけてきた。
内容が全然分からなかったが。
ワンワンの戦いって何。
ちなみに歴史用語豆知識だが、"乱"はその時の権力者による反乱の制圧、"変"は政治的な変革を伴う戦いのことを言うんだぞ。みんなは知ってたかな?死んだ目キラッ。
委員長と骨川は、俺が突然教室からいなくなったことに心配して委員長は担任に。骨川は上野にそれぞれ連絡してくれたらしい。
委員長は普通に、騒ぎがあるから早く来て欲しい。と送ったらしいが、骨川がワンワンの乱が!!と上野に送り、それを教室に同時刻に着いた時先生は聞いたらしい。
骨川は弁解するように、慌ててたから変な文になっちゃった。と言った。
ありがたいけど、慌てるにしたってどういう伝え方だよ。
「ワンワンの戦いは柴の勝利か?」
つい先程まで泣いていた跡が残る小森の目元を見て担任が言った。
「…まぁそんなとこです」
「違うだろ」
雑に肯定しておいた俺の横腹を小森が小刻みに肘打ち。
いてっいて、いた、ちょっ、リズミカルバイオレンス!?!!
プチ騒ぎが有耶無耶になったのが分かったのか、廊下にいた野次馬もいつの間にか消え、5限目のチャイムが鳴った。
HRの時間だからか、担任もそのままグダっている。いやちゃんとしろよ。
周りの生徒にちょっとしたちょっかいをかけた後、やっと号令をしてHRを始めた。
内容はこれから先の係を決める事だった。
確蟹。そういやもうすぐ中間テストなのに、まだ提出物集める係とか決まってなかった。
委員は2年になって1ヶ月あたりで決めてたからすっかり忘れてた。
何があるのか覚えてないから、委員長が黒板に丁寧に書いていく文字を追う。
学習係
体育係
掲示係
クラス美化
体育祭チアボーイ係
修学旅行係
文化祭係
もしやるなら
………………………………。
チアボーイ?
クラスも謎の単語に気付いてざわざわしている。
「センセー、チアボーイって何?去年なかったくねー?」
ナイス陽キャ。
「いやそれが俺も良く知らん。生徒会が唐突に発案したらしいぞー。体育祭を盛り上げて欲しいらしい」
なんだそれ。
応援団とはまた違うらしい。
生贄投票も交えつつ順調に各係が決まっていく。
かく言う俺は学習係という生贄になった。
学習係、主に試験時における提出物回収その他。
定員が2名だから遠坂も道連れにしたった。
上野は委員に入ってるから自動的に係を免除。
委員は予想つくだろ?
体育委員。
残す係は、チアボーイ(笑)……。
面倒になってきたのか委員長が、この際委員に入ってる人でも係決まった人も兼任していいよ。と言っている。
なんだと……?学習係決まったからいいや素材集め〜。などとゲームしてる場合ではない。さっさと誰か生贄を。
生贄………。
前で話をしている人が目に留まる。
ある考えが閃いてしまった。
皆に注目されるのは避けたいが、この際しょうがねえ。
万一にでも適当に押し付けられてしまう前に俺が……!キメる……!!
「柴……?」
「ん?柴くん?」
上野と委員長が俺を見た。
斜め下を見ながらも、俺の腕は真っ直ぐ上に挙げられていた。
「まさか、柴くんやってくれるの…?!」
「お?」
委員長の声に反応して、クラスメイトの視線と担任の意外そうな、驚いた声があがる。
だが、俺は肯定しない。
あげていた腕をそのまま前に倒し、前方を指差した。
差しているのは
「なっ!?犬?!!!?!」
「えっっ」
「なに、まさか、えっ」
そのまさかだ。喜べ。
「岸、泉、谷、の3人がいいと思います」
俺が差し出した生贄は、先程の休み時間に絡んできた、ワンワン3人組だった。
「お前ーー!!」
音を立てて立ち上がる3人。コント集団みたいだな。わろた。
注目は俺から3人に移り、まぁいいんじゃね?という空気に。委員長も頷く。
「うん。そうだね。丁度、定員も3人以上だったし、3人とも委員にも係にもなってないようだし……決定っと」
「委員長!?」
「ウソだー!!」
「うわーん!!!」
わははは。
ほくそ笑む俺に遠坂が「わぁ悪い顔〜」とにこにこしている。笑ってるお前もだろが。
手を上げた時からこっちを振り向いていた小森も、俺と目が合うと、ニッと口の端をあげて笑った。
我ながら名案だろ?
無事決まったところでチャイムが鳴り、各自に行動を始めた。
部活にバタバタと向かうやつが多い中、小さい奴等がこっちに一直線に向かってきた。
おーおー来たか。
「ちょっと!!?!どういうつもり?!」
「仕返しのつもりか?!」
「うん」
「あんな………何?」
固まる3人。
帰る準備をしながら、目線だけ3人に向けて改めて言う。
「だから、仕返し。」
「なっっっ!!子供か?!!!」
「俺らはまだ子供だろ」
「屁理屈返すなー!!」
一旦手を止める。
興奮気味な3人に顔を向けた。
「あのさ、俺」
「なに!!」
「許すって言ってなかったろ」
その一言に3人は息を呑んだ。
そう。
俺はあの時、「うん、わかった」って言っただけ。"許す"や"いいよ"とは一言も言ってなかった。
「…だから、これで俺は"許す"。今までのはチャラ」
「………。」
3人が目を合わせて、おずおずと口を開いた。
「……いいの?」
「いいよ」
「今までのことも…?」
「いいよ
だから頑張れよ、ブッ、チアボーイズ……ッッ!」
「「「……お前ーーーーっっ!!!!」」」
「クソッいいよ!!見てろよ!!!」
「どのクラスにも負けないチア見せてやるからな!!」
「今笑ったこと後悔させてやる!!」
そう言って各々の机に帰っていった。
なんそれ?!?捨て台詞?!なに?!?
ポスッ。
鞄に顔を埋めて笑い声を押し殺していると、頭に軽く衝撃が。
何かと思い、顔をあげようとすると、また同じような感触。
ポフッ。
なに?なんだ?
ポスポス。
ポフッ。
ワシャッ。
一体全体何が起こってんの?!衝撃の発生源を見ようと振り返ると、クラスメイト達が扉から出ていくのが見えた。
ポンッ。
「んあっ」
「また来週〜」
委員長…?
ワシャワシャワシャ〜ッ!
「イッ!」
首がもげそうな強さで髪を撫でられた。
「やるな!柴!けど、チロルチョコの件は覚えてろよ!」
「岩田??は?」
それは俺だけじゃないだろ。
じゃない、
「な、んだよも〜〜〜……」
いつの間にかクラスメイトに見守られていたらしい。恥ずかしすぎる。なんだこれ。
チワワ3人組も、何人かに「チアボーイ頑張れよ〜!」等と煽られ、俺と同じようになっていた。
「柴……。」
「ん?」
名前を呼ばれ振り返ると、部活の準備を終えて教室から出たと思っていた上野だった。
「あれ、上野、部活は?」
「いく、けど」
口籠る上野を疑問に思う。
「上野ーー!!はやく!!」
他のクラスで同じバスケ部のやつが教室の前で焦るように上野を呼んでいる。
「先輩に怒られんだろ?行かねえの?」
「うん。…………。」
「…何、どうした?」
「……柴の1番って、おれだよね?」
ジャルタです。
と言える雰囲気ではない。流石に。
「うん、まぁ多分」
「多分?」
「…んあ〜〜この学校においては1番?!!」
1年からの付き合いだし、学外にもよく遊びにいったし、なんだかんだこの学校て1番俺を知ってるのはお前ぐらいでは?と思って言った。
「…だよね!!」
学校において、は蛇足か?と思ったが、何やら納得はしたらしい。大きく頷いた。
「行ってきまぁーす!!」
「頑張れ〜〜また明日ー」
「また明日〜!」
元気が戻った上野に手をひらひらと返した。
教室を出た後に廊下から、遅い馬鹿!遅い!と怒られているのが聞こえる。怒られてやんの。
いつの間にかクラスには俺だけが残っていて、他の皆は帰っていたらしい。
遠坂もかよ。薄情な。
「あ、そうだ、忘れてた。これ返さないと」
手負いの俺はすぐに捕まって弁慶を小突かれた。鬼の所業。
さっきまでのしおらしさを3割ほど戻せ。
教室に戻る時に「足が痛くて動けないんだがー」と言った俺を睨むも、負い目を感じていたのか肩に体重をかけても何も言われなかった。
心なしか態度がマイルドになりました?
教室の前辺りに来ると、中が少し騒がしい。
またなんかあったぽい。もういいって。
野次馬が何人か扉の前にいて邪魔だ。
覗くと担任と上野と遠坂が委員長達と話し込んでいるみたいだった。
なんだなんだ。
小森と顔を見合わせる。小森も流石に分からないらしい。
この空気でここから声をかける勇気はない。
ごく自然に教室に入って、1番扉から近くにいた骨川に声をかけた。
「なぁ骨川、」
「し!」
「し?」
「柴くん!!」
その声に弾かれた様に3人がこっちを向いた。
から反射的に小森を盾にした。
や、小さいな。この盾。
「なっ何して…!」
「今だけ大きくなってくれ」
「何を言ってるんだ貴様。僕だって好きで小さ……この身長なわけなんかじゃないからな!」
差分だけ柴の足削るぞ。と脅された。
こっわ。
本当は怖いシンデレラ小森。
「柴!大丈夫なの?!」
「柴君〜ワンワンの戦いって何があったの?」
「おい、柴。ワンワンの戦いって小森とだったのか?」
「ただいま上野。あと2人は何言ってるんすかガチで」
小森と縮ませ合いに発展しかけたところに上野と遠坂と先生が声をかけてきた。
内容が全然分からなかったが。
ワンワンの戦いって何。
ちなみに歴史用語豆知識だが、"乱"はその時の権力者による反乱の制圧、"変"は政治的な変革を伴う戦いのことを言うんだぞ。みんなは知ってたかな?死んだ目キラッ。
委員長と骨川は、俺が突然教室からいなくなったことに心配して委員長は担任に。骨川は上野にそれぞれ連絡してくれたらしい。
委員長は普通に、騒ぎがあるから早く来て欲しい。と送ったらしいが、骨川がワンワンの乱が!!と上野に送り、それを教室に同時刻に着いた時先生は聞いたらしい。
骨川は弁解するように、慌ててたから変な文になっちゃった。と言った。
ありがたいけど、慌てるにしたってどういう伝え方だよ。
「ワンワンの戦いは柴の勝利か?」
つい先程まで泣いていた跡が残る小森の目元を見て担任が言った。
「…まぁそんなとこです」
「違うだろ」
雑に肯定しておいた俺の横腹を小森が小刻みに肘打ち。
いてっいて、いた、ちょっ、リズミカルバイオレンス!?!!
プチ騒ぎが有耶無耶になったのが分かったのか、廊下にいた野次馬もいつの間にか消え、5限目のチャイムが鳴った。
HRの時間だからか、担任もそのままグダっている。いやちゃんとしろよ。
周りの生徒にちょっとしたちょっかいをかけた後、やっと号令をしてHRを始めた。
内容はこれから先の係を決める事だった。
確蟹。そういやもうすぐ中間テストなのに、まだ提出物集める係とか決まってなかった。
委員は2年になって1ヶ月あたりで決めてたからすっかり忘れてた。
何があるのか覚えてないから、委員長が黒板に丁寧に書いていく文字を追う。
学習係
体育係
掲示係
クラス美化
体育祭チアボーイ係
修学旅行係
文化祭係
もしやるなら
………………………………。
チアボーイ?
クラスも謎の単語に気付いてざわざわしている。
「センセー、チアボーイって何?去年なかったくねー?」
ナイス陽キャ。
「いやそれが俺も良く知らん。生徒会が唐突に発案したらしいぞー。体育祭を盛り上げて欲しいらしい」
なんだそれ。
応援団とはまた違うらしい。
生贄投票も交えつつ順調に各係が決まっていく。
かく言う俺は学習係という生贄になった。
学習係、主に試験時における提出物回収その他。
定員が2名だから遠坂も道連れにしたった。
上野は委員に入ってるから自動的に係を免除。
委員は予想つくだろ?
体育委員。
残す係は、チアボーイ(笑)……。
面倒になってきたのか委員長が、この際委員に入ってる人でも係決まった人も兼任していいよ。と言っている。
なんだと……?学習係決まったからいいや素材集め〜。などとゲームしてる場合ではない。さっさと誰か生贄を。
生贄………。
前で話をしている人が目に留まる。
ある考えが閃いてしまった。
皆に注目されるのは避けたいが、この際しょうがねえ。
万一にでも適当に押し付けられてしまう前に俺が……!キメる……!!
「柴……?」
「ん?柴くん?」
上野と委員長が俺を見た。
斜め下を見ながらも、俺の腕は真っ直ぐ上に挙げられていた。
「まさか、柴くんやってくれるの…?!」
「お?」
委員長の声に反応して、クラスメイトの視線と担任の意外そうな、驚いた声があがる。
だが、俺は肯定しない。
あげていた腕をそのまま前に倒し、前方を指差した。
差しているのは
「なっ!?犬?!!!?!」
「えっっ」
「なに、まさか、えっ」
そのまさかだ。喜べ。
「岸、泉、谷、の3人がいいと思います」
俺が差し出した生贄は、先程の休み時間に絡んできた、ワンワン3人組だった。
「お前ーー!!」
音を立てて立ち上がる3人。コント集団みたいだな。わろた。
注目は俺から3人に移り、まぁいいんじゃね?という空気に。委員長も頷く。
「うん。そうだね。丁度、定員も3人以上だったし、3人とも委員にも係にもなってないようだし……決定っと」
「委員長!?」
「ウソだー!!」
「うわーん!!!」
わははは。
ほくそ笑む俺に遠坂が「わぁ悪い顔〜」とにこにこしている。笑ってるお前もだろが。
手を上げた時からこっちを振り向いていた小森も、俺と目が合うと、ニッと口の端をあげて笑った。
我ながら名案だろ?
無事決まったところでチャイムが鳴り、各自に行動を始めた。
部活にバタバタと向かうやつが多い中、小さい奴等がこっちに一直線に向かってきた。
おーおー来たか。
「ちょっと!!?!どういうつもり?!」
「仕返しのつもりか?!」
「うん」
「あんな………何?」
固まる3人。
帰る準備をしながら、目線だけ3人に向けて改めて言う。
「だから、仕返し。」
「なっっっ!!子供か?!!!」
「俺らはまだ子供だろ」
「屁理屈返すなー!!」
一旦手を止める。
興奮気味な3人に顔を向けた。
「あのさ、俺」
「なに!!」
「許すって言ってなかったろ」
その一言に3人は息を呑んだ。
そう。
俺はあの時、「うん、わかった」って言っただけ。"許す"や"いいよ"とは一言も言ってなかった。
「…だから、これで俺は"許す"。今までのはチャラ」
「………。」
3人が目を合わせて、おずおずと口を開いた。
「……いいの?」
「いいよ」
「今までのことも…?」
「いいよ
だから頑張れよ、ブッ、チアボーイズ……ッッ!」
「「「……お前ーーーーっっ!!!!」」」
「クソッいいよ!!見てろよ!!!」
「どのクラスにも負けないチア見せてやるからな!!」
「今笑ったこと後悔させてやる!!」
そう言って各々の机に帰っていった。
なんそれ?!?捨て台詞?!なに?!?
ポスッ。
鞄に顔を埋めて笑い声を押し殺していると、頭に軽く衝撃が。
何かと思い、顔をあげようとすると、また同じような感触。
ポフッ。
なに?なんだ?
ポスポス。
ポフッ。
ワシャッ。
一体全体何が起こってんの?!衝撃の発生源を見ようと振り返ると、クラスメイト達が扉から出ていくのが見えた。
ポンッ。
「んあっ」
「また来週〜」
委員長…?
ワシャワシャワシャ〜ッ!
「イッ!」
首がもげそうな強さで髪を撫でられた。
「やるな!柴!けど、チロルチョコの件は覚えてろよ!」
「岩田??は?」
それは俺だけじゃないだろ。
じゃない、
「な、んだよも〜〜〜……」
いつの間にかクラスメイトに見守られていたらしい。恥ずかしすぎる。なんだこれ。
チワワ3人組も、何人かに「チアボーイ頑張れよ〜!」等と煽られ、俺と同じようになっていた。
「柴……。」
「ん?」
名前を呼ばれ振り返ると、部活の準備を終えて教室から出たと思っていた上野だった。
「あれ、上野、部活は?」
「いく、けど」
口籠る上野を疑問に思う。
「上野ーー!!はやく!!」
他のクラスで同じバスケ部のやつが教室の前で焦るように上野を呼んでいる。
「先輩に怒られんだろ?行かねえの?」
「うん。…………。」
「…何、どうした?」
「……柴の1番って、おれだよね?」
ジャルタです。
と言える雰囲気ではない。流石に。
「うん、まぁ多分」
「多分?」
「…んあ〜〜この学校においては1番?!!」
1年からの付き合いだし、学外にもよく遊びにいったし、なんだかんだこの学校て1番俺を知ってるのはお前ぐらいでは?と思って言った。
「…だよね!!」
学校において、は蛇足か?と思ったが、何やら納得はしたらしい。大きく頷いた。
「行ってきまぁーす!!」
「頑張れ〜〜また明日ー」
「また明日〜!」
元気が戻った上野に手をひらひらと返した。
教室を出た後に廊下から、遅い馬鹿!遅い!と怒られているのが聞こえる。怒られてやんの。
いつの間にかクラスには俺だけが残っていて、他の皆は帰っていたらしい。
遠坂もかよ。薄情な。
「あ、そうだ、忘れてた。これ返さないと」