中間テストですよ
友達
「い……ぬじゃなくて………し、柴………。」
「…………はい」
面と向かって言葉を交わすのは随分と久しぶりだった。怪我を負っている柴の顔は、いつもの馬鹿面ではなく、無表情で読めなくて内心腰が引けた。
本当は。
実は。
………きっと怒ってる。
あのこと………、新入生の制裁の時に、巻き込まれていた柴を何もせずただ見ているだけだった、あの時のことがあってから。
…………もう3日も過ぎていた。
その間、僕は何もせず。出来ず。柴達を避けていた。
上野くん達にもう話したのか。
休み明けの日は何も無かったけど、原因を聞けば自ずと僕の話にもきっと繋がる。
いつ話すんだろう。
そう思ってずっと過ごしていた。
怖かった。
僕が止めなかったから柴はあんな怪我をしていたのに。
………保身ばかり考えている自分に嫌気がさした。
名前を呼んでからもずっと黙りこくる僕を柴は訝しんだ目で見て、周りをちらりと見回している。
それはそうだ。
いきなり教室から連れ出して黙りこくる裏切り者だ。
不信感を抱くに決まってる。
焦るまま僕は口を開いた。
「ぁ……その…………まだ勇気が、心の準備が出来てなくて。……ごめん」
「えっ………あ、はい…」
戸惑う表情の柴から目線を外して下を向き、下唇を噛んで心を固める。
ぽつりぽつりと僕が話すのを、黙って柴は聞いていた。
「…きっと、嫌なのについてきてくれてありがとう。さっき彼らにあぁは言ったけど本当、どの口がって話だよね。
違う……そうじゃなくて………。その、最低なのは分かってるけど今までもこんなことはあって、でも、自分でもこんな気持ちになるのは初めてで。
……こんな場を設けてもらうこともなくて………。
だからというわけじゃ無いんだけど
うまく………っい、言えないんだけど
しば……………。
っごめんなさい〜〜〜!!!!!!」
口から言葉を吐き出す程に目が熱くなって、ついに堪えきれずに最後は泣きながら謝ってしまった。自分でも何を言ったのか分かってないや。
「えっっっっっ!?!?な?!?!」
「ごめ、ごめんなさ…ッ!!!ぼくっっ、とも、友達とか今までいなくて、嫌だと思うんだけど、」
「えっなに?!?ちょっとまっ」
「友達のままいて欲しいよぅ……………ッ!!!!」
「なに?!??なんでこれ俺フラれてんの?!?!?!」
…………………………。
「は?」
「え?」
顔を見合わせる。
何か言いたげな柴に、言え、とジェスチャーする。
「……………これ、俺がいつの間にか告白しててフラれてる話?」
「はあ“”?????」
「待ってこわいってなんで泣きながらキレてんのお前!??!」
間
***
俺が渡したハンカチを「これ洗ってるの」とか失礼なことを宣ってから涙を拭き鼻水もチーンして、いつもの小森の調子に戻ったことを確認。
話を擦り合わせることにした。
そもそも、俺はガチな顔をして教室から連れ出されたことからして戦々恐々していた。
怪我をした俺の顔があまりにヤバかったからなのか?だから今まで全然顔も見ず話すこともなかったのか……?!被り物マスクを渡されてこれで顔を見せるな。なのか……!?!
というパターン1。
または
べ、ベタだが、天下の顔面愛妖怪小森がまさかだが、天地がひっくり返っても無さそうだが、…………こ、告白とか?
というパターン2。
あとは
所属してる親衛隊長に俺を。
……まあこれはいいか。
みたいなことを考えながら着いて行ってた。
そんなことを考えていたもんだから、普段呼ばれることのない、ちゃんとした名前呼びをされたら神妙な顔にもなるて。
なるほど。まさかのパターン2?
からの、しおらしくあんな思わせぶりなこと言われてる時なんて、
えっっマ?!
なんの冗談いや本気?!?
心の準備って何!?!?
俺も欲しいが??!?
ってなってた。
最後に何故か謝られてフラれたが。
「で?なんで謝ったんだよ」
「そっそれは…………」
「それは?」
「…………新入生歓迎会の時の制裁の時に見捨てたから………」
………………………………。
……………いたっけ。
やっぱいたのか………?ってかどれ?どっち?あっちではないな?
思い出そうとして黙った俺を、再び不安げに見上げるのを見て脳内再生を中断した。
だってまあ
「そんなことか」
「え…?」
そんなことだ。
進んで生贄にした訳でもない。
そもそもあれは俺の運が悪かった。ガチで。
「親衛隊なんだからしょうがないんじゃね。それが活動の基本なのはどうかと思うけども」
「それは…えっと………許してくれるの……?友達のままでも………?」
「いいよ」
小森おもしろいし。
とは言わずにおいた。
「というか友達だったの俺ら」
これは言った。
「はあ??!!?!」
「てかお前友達いなかったの?」(笑)
「はあああああ"?!?ッッッ殺す!!!柴!!おい逃げるな!!!!!」
「い……ぬじゃなくて………し、柴………。」
「…………はい」
面と向かって言葉を交わすのは随分と久しぶりだった。怪我を負っている柴の顔は、いつもの馬鹿面ではなく、無表情で読めなくて内心腰が引けた。
本当は。
実は。
………きっと怒ってる。
あのこと………、新入生の制裁の時に、巻き込まれていた柴を何もせずただ見ているだけだった、あの時のことがあってから。
…………もう3日も過ぎていた。
その間、僕は何もせず。出来ず。柴達を避けていた。
上野くん達にもう話したのか。
休み明けの日は何も無かったけど、原因を聞けば自ずと僕の話にもきっと繋がる。
いつ話すんだろう。
そう思ってずっと過ごしていた。
怖かった。
僕が止めなかったから柴はあんな怪我をしていたのに。
………保身ばかり考えている自分に嫌気がさした。
名前を呼んでからもずっと黙りこくる僕を柴は訝しんだ目で見て、周りをちらりと見回している。
それはそうだ。
いきなり教室から連れ出して黙りこくる裏切り者だ。
不信感を抱くに決まってる。
焦るまま僕は口を開いた。
「ぁ……その…………まだ勇気が、心の準備が出来てなくて。……ごめん」
「えっ………あ、はい…」
戸惑う表情の柴から目線を外して下を向き、下唇を噛んで心を固める。
ぽつりぽつりと僕が話すのを、黙って柴は聞いていた。
「…きっと、嫌なのについてきてくれてありがとう。さっき彼らにあぁは言ったけど本当、どの口がって話だよね。
違う……そうじゃなくて………。その、最低なのは分かってるけど今までもこんなことはあって、でも、自分でもこんな気持ちになるのは初めてで。
……こんな場を設けてもらうこともなくて………。
だからというわけじゃ無いんだけど
うまく………っい、言えないんだけど
しば……………。
っごめんなさい〜〜〜!!!!!!」
口から言葉を吐き出す程に目が熱くなって、ついに堪えきれずに最後は泣きながら謝ってしまった。自分でも何を言ったのか分かってないや。
「えっっっっっ!?!?な?!?!」
「ごめ、ごめんなさ…ッ!!!ぼくっっ、とも、友達とか今までいなくて、嫌だと思うんだけど、」
「えっなに?!?ちょっとまっ」
「友達のままいて欲しいよぅ……………ッ!!!!」
「なに?!??なんでこれ俺フラれてんの?!?!?!」
…………………………。
「は?」
「え?」
顔を見合わせる。
何か言いたげな柴に、言え、とジェスチャーする。
「……………これ、俺がいつの間にか告白しててフラれてる話?」
「はあ“”?????」
「待ってこわいってなんで泣きながらキレてんのお前!??!」
間
***
俺が渡したハンカチを「これ洗ってるの」とか失礼なことを宣ってから涙を拭き鼻水もチーンして、いつもの小森の調子に戻ったことを確認。
話を擦り合わせることにした。
そもそも、俺はガチな顔をして教室から連れ出されたことからして戦々恐々していた。
怪我をした俺の顔があまりにヤバかったからなのか?だから今まで全然顔も見ず話すこともなかったのか……?!被り物マスクを渡されてこれで顔を見せるな。なのか……!?!
というパターン1。
または
べ、ベタだが、天下の顔面愛妖怪小森がまさかだが、天地がひっくり返っても無さそうだが、…………こ、告白とか?
というパターン2。
あとは
所属してる親衛隊長に俺を。
……まあこれはいいか。
みたいなことを考えながら着いて行ってた。
そんなことを考えていたもんだから、普段呼ばれることのない、ちゃんとした名前呼びをされたら神妙な顔にもなるて。
なるほど。まさかのパターン2?
からの、しおらしくあんな思わせぶりなこと言われてる時なんて、
えっっマ?!
なんの冗談いや本気?!?
心の準備って何!?!?
俺も欲しいが??!?
ってなってた。
最後に何故か謝られてフラれたが。
「で?なんで謝ったんだよ」
「そっそれは…………」
「それは?」
「…………新入生歓迎会の時の制裁の時に見捨てたから………」
………………………………。
……………いたっけ。
やっぱいたのか………?ってかどれ?どっち?あっちではないな?
思い出そうとして黙った俺を、再び不安げに見上げるのを見て脳内再生を中断した。
だってまあ
「そんなことか」
「え…?」
そんなことだ。
進んで生贄にした訳でもない。
そもそもあれは俺の運が悪かった。ガチで。
「親衛隊なんだからしょうがないんじゃね。それが活動の基本なのはどうかと思うけども」
「それは…えっと………許してくれるの……?友達のままでも………?」
「いいよ」
小森おもしろいし。
とは言わずにおいた。
「というか友達だったの俺ら」
これは言った。
「はあ??!!?!」
「てかお前友達いなかったの?」(笑)
「はあああああ"?!?ッッッ殺す!!!柴!!おい逃げるな!!!!!」