中間テストですよ

ご無沙汰しております



新入生歓迎会のあった次の日。
朝ご飯を共にしていると、惶から背中のアザを毛玉に見られてた可能性があるから気を付けろよ。とのご忠告を受けてビクついた朝を迎えたが、普通に明日まで休みだった。
校内の片付けが大変らしい。

流石に業者が来るみたいだ。

風紀も休みらしく、惶は昼から弟妹に会いに実家に帰ったし、全身重いが余裕綽々にアニメでも見るかとソファーの上でパソコンを触ろうとした時であった。


デーデーデー デーデッデーデーデッデー‼︎


携帯から重低音で不穏な着信音が。

3コール内で取れとの教えが身についてる俺はすぐ通話を押した。

後悔した。

電源落とせばよかった。


「よう愚弟」
「切っていいでしょうかお姉様」

姉貴だもん。

「随分なご挨拶じゃん…泣いちゃうぞ」
「俺が??」
「お前が」
DAYONE☆


通話は随分と久し振りだからか、ダラっとした前置きもそこそこに。


「ところで姉ちゃん何?元気そうだし、なんで急に電話?」
「あぁそうそう、ユズ2年になったじゃん」
「うん」
「後輩できたじゃん」
「うん」部活入ってねえけど。
「後輩先輩サンドイッチ(腐)の話聞かせて給う」


………………………。


「切っていいか姉貴」take2
「なんでよ!!!!いいじゃんあるでしょ!!!!!」
「ねえーーーよ!!!!!!」
仮にあっても話すかよ!!!!

「そもそも全然報告書更新してくれないお前が悪い!!!!!なんかあるだろなんか!!!!!クラスの美少年と美少年が付き合ったとか俺様生徒会長が風紀委員長と付き合ったとかさあほら!!!!!

こっちは飢えてんだよ推し作家の新刊でなくて!!!!!!」

知らねえーーーーーーーーーよ!!!!!!
早口で捲し立てやがって腐女子がよ!!!
支部でも漁ってろ!!!!


とはいえ、そういえば全然なんも言ってなかったなというか、送り付けられたDVD結局見てなかったわやべえというか、話逸らすのに丁度いいなこれ、みたいな。


ということで、食いつくであろう毛玉と遠坂のことから順に最近のことまで話すことにした。名案。



誰もが予測できると思うが、結果。


【発狂】

SAN値チェックしても?

それはもう良いリアクションだった。
録音してあとで聴かせたら弱みを握れたことを後悔する(その後泣くことになるのは自分)程度には凄かった。


転校生2人の話が始まってテンションが爆上がりして、毛玉の話になったらライブが開催。人語がまともに話せてなくて、そんなに腐の界隈には涎ものなんだなって思った。
何が良いのか知らねえけど。
ケイドロの話もした。クラスのやつから聞いたとかで、勿論俺のことは省いて制裁の話も。


「ハァ……やっべ…まじ…ここが2次元…」
3次元だわ。
「…香美脆味の過剰摂取………」

暫く興奮の収まってない荒い息の後に、狂った名言を残してくれた。

「満足した?」
「したした、もう半端ない。ヤバい…飲み物とってくるからちょっと電話変わっててノリ君」


ミ°ッッッッッッッッッッッッ


「…ガサッ…はーいもしもし柚木くん?」

待って

なんでお義兄さんがいんの?!!!!??!!!!馬鹿かよ!!!!?!!??!
ずっとあの発狂ライブ実況聴かせてたの姉貴!??!?!!!


「あれ?柚木くん??」
「っはいもしもし!はい、お久しぶりですお義兄さん!」
「ふふ、良かった、うん。久し振りだね、元気そうで良かったよ」
「はい、お陰様でいつもありがとうございます、元気です!」
気持ちは。

「あはは。いつも言ってるけど、気にしなくて良いからね?もう家族なんだから」


学校で生活する上でのお金を全部担ってくれてるのに流石に気にしないのは無理だ。
医者のお義兄さんは、優しげな美形顔によく合ういつもの柔らかい声。
付き合った時の話から何故こんな素晴らしい人が暴君と、なんて何回思ったことか。


「ところで、あのね、ちょっと理沙さん(リサ)さんが帰ってくる前に言っておこうと思って」
「?はい」
姉ちゃんに内緒?
珍しい。

「実は僕の甥が今年そこに入学したらしくてねぇ」
「エッ」
なんだと。誰だ。
「あぁ、お互い会ったことない筈なんだけど、理沙さんとは仲良くてね」
そんなやつこの世にいたのか。
「そのぉ……それで、…君を探そうとしてるらしくて…」


……なんだと?????

「まままま待ってください、なんで……?」
「それがねぇ…"理沙さんの弟?!絶対面白い話したい!"…って…」
「面白くないです俺!!!!」

置き手紙〜探さないでください〜のビジョンが頭に浮かんだ。

「僕も止め…てはないんだけど」
「なんで???!!」

なんで?!!!?

「ごめんね?ふふ、面白そうで」

アーーーッ愉快犯!!!!!

「名前は"天海 鮎"(アマミアユ)だよ。髪の内側が緑だからすぐ分かるかもしれないね」
「………あの、」
「ん?」
「彼はお顔が整っていらっしゃいますか」
「うーん、そうだね……うん。会った時に理沙さんがはしゃいでたから、整ってると思うよ」
「…そうですか…」
そうですよね…。
お義兄さんの親戚ですものね……。

「あっそうだ、それとなんで姉貴には言わないんですか?」
絶対大喜びするのに。
「え?うーん…」

どうしたんだ?
言い淀むお義兄さんを不思議に思う。

「恥ずかしいんだけど、……いつも僕そっちのけで彼と2人で分からないことを楽しそうにお喋りするから…ちょっと意地悪しようと思って……」

なんだ

この

可愛い人は

「ゴチソウサマでした」
「なっなんで?!…っあ、理沙さんおかえり」

遠くの方で物音がした。そこからはスピーカーにしたらしく、音声が荒くなった。

「ただいま〜、ノリ君のコーヒーはここ置いとくね。飲むでしょ?」「ありがとう!」「ところで何ヒソヒソいちゃいちゃしてたのユズと2人で。浮気か?もっとやれ」
「してねえよなんでだよ公認すんな」

一応聞こえてなかったようだ。

そこから暫く3人で20分くらい雑談をした。
久々に家族と話すのは、会った気持ちにもなれて楽しかった。





「あ、そういやあのDVD見た?感想聞か」
「アーーーッちょっと来客が来ましたのでまた今度!!良い休日を!!」
「お休みにごめんねぇ。じゃあ、またね柚木くん」
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