はじめまして

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そんなに言うなら暖簾分けしてやろう。
ってなわけで、

がっつりキューティクル満点な前髪を掴み、左右に暖簾分け。








「「いや普通!!!!!!」」
「どうも平凡です!」

御察しの通り上野と一緒にツッコんでますので今休み時間です。

転校生って質問責めに合うイメージがあると思うが、この学校では見た目が麗しいやつ限定だ。今では遠巻きに薄気味悪そうにこっちを見ているチワワ達。
いやまぁ、俺だって前髪おばけとわざわざ仲良くなりに行こうとは思わないけど、ノリが良いやつだと分かったし仲良くなれたらいいなとは思う。

にしてもまじでこいつ面白い。
俺の机に軽く腰掛けている上野と話している遠坂の顔を改めて観察してみる。

確かに普通とは言ったけど、全体的に綺麗……?なんか、パーツは整ってるっていうか……?育ちはいい感じあるよなぁ……。
ううん……普通っていうより地味目な美人的な…?姉ちゃんが見たらコスプレさせたがりそうな薄い顔してる、気がする。

ぐいっ

遠坂を見ていたはずの視界が急に右側の上野に。

〜〜〜っいっった、い!!!!!!!

「何見てんのー」
「ちょ、口で聞けばよくない?!?その手いらなくない???!今はお前で視界いっぱいだよ!!!!手ぇ離せゴリエもん!!!!!」

上野の手をはたき落として、変な音を立てた可哀想な首を優しく撫でる。

「えっ、何?もしかして……僕に一目惚れ…?」
「えぇ〜〜おれという者がいながら浮気するのー?」
「誰がするか前髪おばけ!!!上野は聞き耳立ててるチワワが鬱陶しいからそういうのやめろ!!!」
「もしかして前髪お化けって僕?!」
「待ってよ柴ネーミングセンス可愛いんだけど……!」

それぞれ自由すぎやしませんかね。
2人してそんなに前髪お化けが気になる?うっかり失言っキラッなのは分かるけどそんな変?

「あれ、そういえば2人の名前聞いてなかったね」

上野の言葉に引っかかったようで、そう言ってきた。
そういえば俺ら自己紹介してなかったな。上野と顔を見合わせて、お前からどうぞの意を込めて顔で促す。

「じゃあ俺から。おれは上野 誠(ウエノ マコト)。バスト99.9、ウエスト55.5、ヒップ88.8よ。好きなものは運動と柴と犬。よろしく」
華麗にウインク。残念ながら両目で。

「柴犬じゃなくて?」
「柴と、犬。」
「犬と柴…。」
「もういいから黙れって高校生の不二子ちゃん。ってか遠坂のツッコミそこかよ」
「ちょっと分からなくて……」
「草」

申し訳無さそうにしなくて良いんだよ凛ちゃん…。そらそーだわ。峰不◯子のスリーサイズって誰が分かるんだよ馬鹿。草を生やすな馬鹿。

「俺は柴 柚木(シバ ユズキ)。好きに呼んで」

「あれ?もしかして
「好きなのは日常系アニメとおっぱい」
柴って
「と、スマホの中のsiri」
柴と犬
「と、ジャ◯ヌオルタサン◯リリィ
「と、うえのー!」
…は除外」
の柴の方?」
「そー」

何という執念…最後まで言い切ったなこいつ。上野は横でロリ好きなんていけないんだ〜と騒いでる。
喧しいわ。ロリだから良いのではない、あのピュアの化身とも言える守りたくなる存在だから良いんだよ。これからどう成長していくのか見守っていける醍醐味もあってだな。例えば要点をイベントから抜粋していくとだな……え、ここまで?そんなー。

「そこうるせーぞー、まだ騒ぐなら廊下に立たせんぞお前ら」
「「「すいません」」」

なんと息ぴったり。

いつの間にかチャイムが鳴っていたようだ。我らAクラスの担任の顔の良いチンピラがスクリーンの前に立っていた。
本来は黒板がある場所にうちはスクリーンを置いている。流石金持ち校は違うよな。
自分の席に帰る上野を見ながら、今年も暇しないって思ったけど、なんか、思ってたより今年は楽しくなりそうだと思わず笑みが浮かぶ。

「おい、そこの地味犬。顔がうるさいから今日は当てまくんぞ。覚悟しろー」
「はぁ?!!!顔がうるさ、だから犬じゃなくて柴です!!!!!」

前言修正このクソ教師がいなければな!!!






「次P216の問2ー、宿題で出してたよな。柴。」
「わからないでーす」
「答えなきゃ減点しちゃうぞー」
「……yx3/8+yC1+C2」
「正解。これはー……」
「ありえねえ。まじで四問連続当ててきやがった……。」
「zzzzz……」
「柴君、が、頑張って…!」
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