新入生歓迎会するんだってよ
逃走と再会
驚きすぎて受け身もろくに取れないまま窓から着地。というより落下。
草の生い茂る庭の落ちた場所は、教室からは植木で見えない様になっていて助かった。見つからないようにそんな素早く動ける自信がなかったからな。
ほふく前進で裏庭からセンサー内に入った後立ち上がると、生い茂る木々を這うように進んで隠していた携帯を回収。携帯を探られる様なことはなかったが、ゲームのデータとかあるし万一でも置いててよかった。
服を着ながらぐちゃぐちゃになっている頭を少しでも落ち着かせようと動かす。
体痛ってぇ〜……徹底的に嬲りやがって…覚えてろよ…。
ええと…、話を信じると、あいつらは恐らくZクラス3年だろ……Zクラス
………ロリショタ腑抜けのリーダー…
って、弟妹のこと………
…見間違い………
いやいやいやいやいや
あんな変わったトレーナー着た高身長、惶ぐらいしか(ド偏見である)
………惶は、風紀………………?
「!…っン………チッ…はぁぁあ〜〜くそっ」
服を着替えTシャツが時折胸を掠めるのに引き攣った声をあげてしまい、思考を邪魔する未だ収まらない熱に視界がジワりと滲み、泣きそうになって舌打ちを打つ。木に背中を預けて俯くと、ズルズルとしゃがみ込んだ。
何か癒し…そうだ、癒しが欲しい…。
でも推しの画像フォルダ見る気にならないし、ツイッターで犬猫検索するのも面倒だ。うだうだ無意味に携帯を触っているとメッセージが来ていたことに気づいた。
上野からは、パーティーでもやってんのか?みたいな戦況写真と、何故か泥だらけな写真、何回も手錠貰いに行って今20人目捕まえた所って写真。
どれも写真がブレてる。
撮るの下手だよなぁあいつ。くすりと笑って遠坂のも見る。
遠坂は罠にハマって動けない人をスナップのようにアルバムを作って載せていた。
こわい。
でもまだ捕まってないのか、すげぇな。
最新の写真の位置的に俺から近い。
会えたらいいな。
ちょっとSAN値回復。
今は10時39分…あと21分で終わり…もうそろそろ戻って適当に罠で怪我したとか言って保健室に行くか。
ってか俺どんだけここまで来んのに時間かかってんだよ全く…。あー…靴もどうしようか。立ち上がって服の埃を払い、痛む腹を押さえ移動しようとしていると前方から声が。
「君…大丈夫?」
どなた?
顔を上げると胸上辺りまである艶やかな黒髪をさらりと揺らして心配そうにこちらを伺う美青年が。
「…………。」
「あっごめんね、不審だったかな…?僕は風紀副委員長をさせてもらってる夏目(ナツメ)です」ほら、と腕の腕章を見せてくれる。
「あぁいえ、わざわざ!」
「暴行があった後だもんね、しょうがないよ」
顔痛そうだよ、と自身の頬を指差しながら眉を寄せている。可愛い………いややめてくれ俺はまだノーマルでいたい。俺はおっぱいがすきだ俺はおっぱいがすきだ俺はおっぱいがすきだ
「どうしたの?」
「いえ、ちょっと自己暗示を」
美形の不審げな顔は色々とクるものがある事を学んだ。学びたくなかったが。
「頭を強く打っちゃったのかな…?取り敢えず保健室、一緒に行こっか」
にこりと微笑むと周囲にラベンダーや薔薇やロベリエなどの花々が咲き乱れる様な幻覚が見える。俺強く頭打ったかもしれない。心なしか芳醇な緑の良い匂いもする…。天然の癒し生命体なのか風紀副委員長は。
肩貸そっか?と、風紀か疑う程細い腕を出してきたのを丁重に断っていると、聞き親しんだ神の声が。
「柴君?」
とっ
「とっ!!」
「と?」
「遠坂様〜〜〜!!!!」
動きづらい身体でへろへろ近付くと遠坂は驚きつつ肩を貸してくれた。
やっと会えた見知った顔!いやフォルム?見た目?
副委員長と同じような細い見た目なのに体幹がしっかりしてるのか安定した支え!
安心する〜〜〜!!!
「遠坂ぁ〜〜!」
「僕だね〜」
「遠坂だ〜!!!」
「はーい
ところでその顔どうしたの」
おっと。
遠坂botと化していた俺はうっかり自分の惨状を忘れてた。覗いてくる遠坂から目を逸らす。
「えっと…うっかり罠で」
「うっかり、罠で、ね」
「そ、そうです……………」
口元は笑っているが読めない雰囲気を纏った遠坂。何故…?これしくじったかな人選ミスったかなこれ。
遠坂はため息をひとつ付くと、副委員長の方に体を向けた。
「その腕章…風紀の方ですよね?友人がお世話になりました。保健室には僕が連れて行くので大丈夫です。ありがとうございました〜」
「あぁ、うん。そっか、友達が来たなら安心だね!お大事に!」
「あっはい、ありがとうございます」
頭を下げ、天然の癒し生命体である副委員長の朗らかな見送りを受けた後、本館の方に2人で歩みを進める。
付近に誰の影も見当たらなくなり、遠坂が口を開いた。
「で、柴君?」
「はい…」
「あのメッセージ、何」
「えっと……」
説明しよう。
あのメッセージとは。
実は副委員長が声を掛けてきた時点で、1番俺から近いと思われた遠坂にラインで、『旧校舎近い中庭 範囲ギリギリ』って送ったメッセージである。
だって声を掛けられた時は誰か分かんなかったし…つって…。
………なんて言おう。
「…さっきの人と関係ある人にその怪我、負わされた訳じゃ無いんだよね?」
「そりゃ勿論。全然違うやつ」あの人はただの癒し生命体なだけで。
「そう。やっぱり罠じゃなかったんだね」
「しまった、誘導尋問…!」
「柴君?」
威圧のある声で嗜められた。
すいません。
居心地悪くなっていると遠坂がしょうがないなぁ、と言って妙に刺さる雰囲気を和らげた。
「取り敢えず、保健室に行ってその怪我の手当てをしてからにしよっか。バイ菌が入る前にさ。
あと身体も骨折れてたりしないかちゃんと見ようね」
「アイアイサ…」
バレてらぁ。汚れは払ったんだけどな。
なんて肩貸してもらってる時点でバレバレか。
驚きすぎて受け身もろくに取れないまま窓から着地。というより落下。
草の生い茂る庭の落ちた場所は、教室からは植木で見えない様になっていて助かった。見つからないようにそんな素早く動ける自信がなかったからな。
ほふく前進で裏庭からセンサー内に入った後立ち上がると、生い茂る木々を這うように進んで隠していた携帯を回収。携帯を探られる様なことはなかったが、ゲームのデータとかあるし万一でも置いててよかった。
服を着ながらぐちゃぐちゃになっている頭を少しでも落ち着かせようと動かす。
体痛ってぇ〜……徹底的に嬲りやがって…覚えてろよ…。
ええと…、話を信じると、あいつらは恐らくZクラス3年だろ……Zクラス
………ロリショタ腑抜けのリーダー…
って、弟妹のこと………
…見間違い………
いやいやいやいやいや
あんな変わったトレーナー着た高身長、惶ぐらいしか(ド偏見である)
………惶は、風紀………………?
「!…っン………チッ…はぁぁあ〜〜くそっ」
服を着替えTシャツが時折胸を掠めるのに引き攣った声をあげてしまい、思考を邪魔する未だ収まらない熱に視界がジワりと滲み、泣きそうになって舌打ちを打つ。木に背中を預けて俯くと、ズルズルとしゃがみ込んだ。
何か癒し…そうだ、癒しが欲しい…。
でも推しの画像フォルダ見る気にならないし、ツイッターで犬猫検索するのも面倒だ。うだうだ無意味に携帯を触っているとメッセージが来ていたことに気づいた。
上野からは、パーティーでもやってんのか?みたいな戦況写真と、何故か泥だらけな写真、何回も手錠貰いに行って今20人目捕まえた所って写真。
どれも写真がブレてる。
撮るの下手だよなぁあいつ。くすりと笑って遠坂のも見る。
遠坂は罠にハマって動けない人をスナップのようにアルバムを作って載せていた。
こわい。
でもまだ捕まってないのか、すげぇな。
最新の写真の位置的に俺から近い。
会えたらいいな。
ちょっとSAN値回復。
今は10時39分…あと21分で終わり…もうそろそろ戻って適当に罠で怪我したとか言って保健室に行くか。
ってか俺どんだけここまで来んのに時間かかってんだよ全く…。あー…靴もどうしようか。立ち上がって服の埃を払い、痛む腹を押さえ移動しようとしていると前方から声が。
「君…大丈夫?」
どなた?
顔を上げると胸上辺りまである艶やかな黒髪をさらりと揺らして心配そうにこちらを伺う美青年が。
「…………。」
「あっごめんね、不審だったかな…?僕は風紀副委員長をさせてもらってる夏目(ナツメ)です」ほら、と腕の腕章を見せてくれる。
「あぁいえ、わざわざ!」
「暴行があった後だもんね、しょうがないよ」
顔痛そうだよ、と自身の頬を指差しながら眉を寄せている。可愛い………いややめてくれ俺はまだノーマルでいたい。俺はおっぱいがすきだ俺はおっぱいがすきだ俺はおっぱいがすきだ
「どうしたの?」
「いえ、ちょっと自己暗示を」
美形の不審げな顔は色々とクるものがある事を学んだ。学びたくなかったが。
「頭を強く打っちゃったのかな…?取り敢えず保健室、一緒に行こっか」
にこりと微笑むと周囲にラベンダーや薔薇やロベリエなどの花々が咲き乱れる様な幻覚が見える。俺強く頭打ったかもしれない。心なしか芳醇な緑の良い匂いもする…。天然の癒し生命体なのか風紀副委員長は。
肩貸そっか?と、風紀か疑う程細い腕を出してきたのを丁重に断っていると、聞き親しんだ神の声が。
「柴君?」
とっ
「とっ!!」
「と?」
「遠坂様〜〜〜!!!!」
動きづらい身体でへろへろ近付くと遠坂は驚きつつ肩を貸してくれた。
やっと会えた見知った顔!いやフォルム?見た目?
副委員長と同じような細い見た目なのに体幹がしっかりしてるのか安定した支え!
安心する〜〜〜!!!
「遠坂ぁ〜〜!」
「僕だね〜」
「遠坂だ〜!!!」
「はーい
ところでその顔どうしたの」
おっと。
遠坂botと化していた俺はうっかり自分の惨状を忘れてた。覗いてくる遠坂から目を逸らす。
「えっと…うっかり罠で」
「うっかり、罠で、ね」
「そ、そうです……………」
口元は笑っているが読めない雰囲気を纏った遠坂。何故…?これしくじったかな人選ミスったかなこれ。
遠坂はため息をひとつ付くと、副委員長の方に体を向けた。
「その腕章…風紀の方ですよね?友人がお世話になりました。保健室には僕が連れて行くので大丈夫です。ありがとうございました〜」
「あぁ、うん。そっか、友達が来たなら安心だね!お大事に!」
「あっはい、ありがとうございます」
頭を下げ、天然の癒し生命体である副委員長の朗らかな見送りを受けた後、本館の方に2人で歩みを進める。
付近に誰の影も見当たらなくなり、遠坂が口を開いた。
「で、柴君?」
「はい…」
「あのメッセージ、何」
「えっと……」
説明しよう。
あのメッセージとは。
実は副委員長が声を掛けてきた時点で、1番俺から近いと思われた遠坂にラインで、『旧校舎近い中庭 範囲ギリギリ』って送ったメッセージである。
だって声を掛けられた時は誰か分かんなかったし…つって…。
………なんて言おう。
「…さっきの人と関係ある人にその怪我、負わされた訳じゃ無いんだよね?」
「そりゃ勿論。全然違うやつ」あの人はただの癒し生命体なだけで。
「そう。やっぱり罠じゃなかったんだね」
「しまった、誘導尋問…!」
「柴君?」
威圧のある声で嗜められた。
すいません。
居心地悪くなっていると遠坂がしょうがないなぁ、と言って妙に刺さる雰囲気を和らげた。
「取り敢えず、保健室に行ってその怪我の手当てをしてからにしよっか。バイ菌が入る前にさ。
あと身体も骨折れてたりしないかちゃんと見ようね」
「アイアイサ…」
バレてらぁ。汚れは払ったんだけどな。
なんて肩貸してもらってる時点でバレバレか。