新入生歓迎会するんだってよ

発見


このまま中庭を彷徨ってまた同じようなことに遭遇するのも勘弁願いたかったから、取り敢えず1番ここから近い旧館に向かうことにした。

2人は今どんな感じなのかな〜とか考えながらゲームのイベ周回をぽちぽち。おっラッキー、レアアイテムドロップ。フルボイスのストーリーだからイヤホンでも持ってくれば良かったな。あとで読み返すからいいけど。
ゲームしながらだとあっという間に旧校舎に着き、入ろうとしたら、足が動かない。


えっ。


恐怖心が這い上がってきて足元を見た


ら………Gが頭文字の黒いアイツのホイホイハウスに着いてるような、強力な粘着テープが入り口一体に貼られていた。

なんて嫌な罠を…。でも大股で飛び越えればかわせるものだった。歩きスマホは駄目と学んだ。一つ賢く…いや当たり前ではあるんだが。

しょうがない。
取れない靴を捨てて靴下のまま校内に入る。
一年ここにいたがこの旧校舎には入ったことがなかったから間取りが全然分かんねぇや。見たところ、人影も足音もない。バングルがチカチカし始めてちょいビビりしつつ、突き当たりの教室に行くまでの2つの空き教室を素通りする。

皆、人の集まる本校にいるみたいだな。捕まえたく、捕まりたい。それ程良い景品とかあったか?まぁ見た目麗しい方々に捕まりたいって奴はそこそこいるんだろうが。
あとは…ここまで来るのが億劫だったか。


とりあえず突き当たりの教室まで行くと閉まっている教室の中から物音がした。

誰か隠れて…?

古い校舎の窓の下半分は磨りガラスなので上半分から中を見ようと背伸びをしかけた時。旧館と本館を繋ぐ廊下の方から数人の足音が。
咄嗟に廊下にあった掃除用のロッカーに隠れた。
いや別に俺悪いことしてねぇんだけど。
近づいてくる足音。耳を立てていると会話が聞こえる。

「……そ…してももうアイツ捕まるなんてな」
「しゃーねーって!アイツバカだから!」
「にしてもわざわざ連絡の度に本館に行くのダリィ〜〜。ま、やっとこれからラチったヤツで遊んで終わりだからいーんだけど〜」
ゲラゲラと笑いながら、3人の声は教室の中に入り扉をガラガラと閉めた音がした。


……厄日か?

ど う し て こ う な っ た 
行く先々こんなんばっかじゃねぇか!!


って、頭を抱えている暇無かった。

物音を立てないように慎重に扉を開ける。
ひとまず付近を見回って一旦窓から庭に出た。

足音無し。
つけられて無い。
見つかって無い。
はい、深呼吸。


ふぅ……よし。

まず駄目元で風紀に連絡。
コール音が続いた後に無機質なアナウンスが流れた。出ないか。

はぁ〜…………。
ため息をついて頭を掻きむしった。
このままだと夢見が悪くなるのは確実だった。

……しょーーがねぇーなーーもーー!!
腹を括る。

最短時間で今の俺に出来ることは、風紀が来るまで時間稼ぎくらいだろう。

えーと。手元にあるのは、煙幕、網……。

迷ってる猶予はない。




さ、行動開始といきますか。
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