期末試験 後章-芽吹き-
2
家族のことを思っていたより淡々と話せたことに我ながら驚いた。
話したことがない、そのことに不安があった。
言葉に詰まったら、呆れられるんじゃ無いか、とか。
けど、ちゃんと俺は乗り越えていたらしい。
良かった。
俺はもう、大丈夫。
目を伏せていると目の前に影が落ちたことに気が付いた。
見上げると、いつの間にか惶が椅子に座った俺の横に立っていた。
何かを我慢するように口を結んで。
なんでそんな顔してんだよ。
笑ってそう言いそうになったが、視界が真っ暗になり言葉が出なくなった。
背中に熱が2つあり、前の温もりに押し付けられてようやく、抱き締められたのに気付いた。
「………大変だったな。……聞いて悪かった」
「…ふはっ。…思ったよりそんなだって。
今時よくある話だし」
何かと思えば。
深刻に言う惶が笑えた。
「え、うわっ」
背中の熱がひとつ消え、後頭部の髪をぐしゃぐしゃにかき回されて思わず驚いた声が出た。
「よくある話だとしてもだ。
お前は、お前だろうが」
「っ、」
「頑張ったな。お前も、お前の姉貴も」
何で返そうか悩んで、ありがとう。そう言おうとした。
なのに、上手く声が出せないことに気が付いた。
喉が、震えて。
なんでだよ、さっきまで何とも無かっただろうが。
優しく髪を掻き混ぜる手と温もりに、胸が詰まる。
じわじわと目の奥が水が溢れ出て、勝手に小刻みに揺れる唇を噛み締めた。
何も言えなくなった俺はコップから手を離して、温もりにそっと手を回してTシャツに顔を押し付けた。
フラッシュバックしていく濁った映像の最後に、優しい惶の声が聞こえた。
そうだった。
姉ちゃんには到底及ばないけど、それでも、俺、頑張ったんだ。
頑張ってたよな。
家族のことを思っていたより淡々と話せたことに我ながら驚いた。
話したことがない、そのことに不安があった。
言葉に詰まったら、呆れられるんじゃ無いか、とか。
けど、ちゃんと俺は乗り越えていたらしい。
良かった。
俺はもう、大丈夫。
目を伏せていると目の前に影が落ちたことに気が付いた。
見上げると、いつの間にか惶が椅子に座った俺の横に立っていた。
何かを我慢するように口を結んで。
なんでそんな顔してんだよ。
笑ってそう言いそうになったが、視界が真っ暗になり言葉が出なくなった。
背中に熱が2つあり、前の温もりに押し付けられてようやく、抱き締められたのに気付いた。
「………大変だったな。……聞いて悪かった」
「…ふはっ。…思ったよりそんなだって。
今時よくある話だし」
何かと思えば。
深刻に言う惶が笑えた。
「え、うわっ」
背中の熱がひとつ消え、後頭部の髪をぐしゃぐしゃにかき回されて思わず驚いた声が出た。
「よくある話だとしてもだ。
お前は、お前だろうが」
「っ、」
「頑張ったな。お前も、お前の姉貴も」
何で返そうか悩んで、ありがとう。そう言おうとした。
なのに、上手く声が出せないことに気が付いた。
喉が、震えて。
なんでだよ、さっきまで何とも無かっただろうが。
優しく髪を掻き混ぜる手と温もりに、胸が詰まる。
じわじわと目の奥が水が溢れ出て、勝手に小刻みに揺れる唇を噛み締めた。
何も言えなくなった俺はコップから手を離して、温もりにそっと手を回してTシャツに顔を押し付けた。
フラッシュバックしていく濁った映像の最後に、優しい惶の声が聞こえた。
そうだった。
姉ちゃんには到底及ばないけど、それでも、俺、頑張ったんだ。
頑張ってたよな。