新入生歓迎会するんだってよ

ケイドロ開始


これはあくまで授業であり、風紀と先生が見張ってたので流石に体育館内で携帯を触ることが出来なかった。から、泥棒側より20分後の警察側開始の合図で体育館から出た後にやっと遠坂にメッセージを送ることができ、準備完了していたのかすぐに返信が返ってきた。


『遠坂〜 放送聞いた?罠ってなんか知ってる?』

『ごめん、詳しくはちょっと…冊子には、
警察泥棒関係なく発動
校舎内外の行動可能範囲全てに設置
怪我はしないようなもの
位置と内容を知っているのは風紀と生徒会のみ"』
『くらい』

ときた。
そうか…じゃあ、まぁ、大丈夫か。俺のサボる予定のところにあるかどうかが問題だったから。

つまり……そう。恐らくあそこは範囲ギリギリだったはず!!罠を仕掛けられるスペースはない!きっと!

律儀に謝ってくる遠坂に"ありがとう助かった"の一言とスタンプを添えて画面を閉じた。


上野?あいつは「何かあったらすぐ呼んでね…!!」という言葉を置き手紙に、僕たちもお手伝いしますぅキャピキャピハートキラキラ‼︎な群れから校内に押し流されて行ってしまわれた。
シュールで面白かったから勿論写真を撮った。腰下ろしたら上野に煽りの文面と…遠坂にも送っとこ。


大半がスタートダッシュを決めていて、体育館周囲にはあまり生徒はいない。
俺みたいな陰キャや、やる気のなさそうな奴らが駄弁りながらダラダラと校舎に向かうのを見て俺も目的地に向かうか、と留めていた足を動かせることにした。


本館の校舎から1番遠い中庭の方に向かうにつれ楽しそうで賑やかな音は遠退く。
静かな方が落ち着くという気持ちと、祭りから遠ざかるような寂しさも覚えたり。


サボることは違反じゃないが、良く思われる事でもない。
風紀や先生に会ったら絶対注意されることは分かっている。
周囲をそこはかとなく警戒しながら、手入れがあまりされていない木々の生い茂る中庭に足を踏み入れた。


バングルから範囲ギリギリを伝える赤い点滅が薄暗い木々を照らす。
行動範囲外に近づく程にこの点滅が徐々に速くなり、最終的に範囲を出たら甲高いピピピッという音が継続して鳴ると同時に風紀にGPSの位置が飛ばされることになっている。
らしい。


ゆっくりとした点滅だから、まだまだ余裕がありそうだ。


校舎の方からは時折誰かが通るパタパタという音が聞こえてくる。


警察側で楽なのは、逃げなくて良いことだな。



お、良い場所がある。


日が遮られ、良い感じに木陰になっている木の根に腰を下ろした。
しかも座っていると校舎から死角になる。取り敢えず2人に上野の写真を送り、上野にgood luckって送った。

あ、英語読めるかなあいつ。
まぁいいか、これくらい読めるだろ。


さーて、何のゲームしようかなっと。アニメでも良いな。校内Wi-Fi繋がってるし。


ホームとツイッターを何気なしに行き来していると、
「なんや、捕まえにきたんとちゃうんか」
そう言って真横に人影が降り立った。

「ッ!」
心臓が飛び跳ねる。


「サボりはあかんよ」

にっこり。

降ってきた謎の関西弁のイケメンはそうのたまった。





「ゴメンナサイ」
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