土器土器体育祭
焼肉!!
先生が教室から出てすぐにバッグを持って出ていく奴ら。治らない興奮を分かち合う奴とそれぞれだった。すぐに教室から出ていった奴は大方焼肉までの空き時間に街で遊ぼうとでも考えてんだろうな。
ルンルンな上野が立ち上がった。
「やーきにくっ!やーきにくっ!あっみんな行くよね?」
みんな、と言って小森、俺、遠坂とグルっと顔を見回していく上野。
「うん、勿論!」
「折角だしね」
小森と遠坂が返事した。
俺は、ちょっと迷っていた。
だって集団で飯食べに行くのって、なんか、気が引ける。
そうだよ陰キャだよ!!
「柴?」
ウッ。
「タダ飯だよ…?」
ウッ…!!!
覗き込んで言ってくる上野の言葉に大きく心の天秤が傾く。
「柴君行かないの?」
鞄を手に持って寂しそうな雰囲気を纏う遠坂。
「来るよな」
立ち上がって上野の隣に並んだ小森。
腕を組んでいるが上野の隣だと、より圧無いぞ。
スネ夫ポジションだし。
「来るって!上野くん!」
「おい」
おれは まだ なにも いっていない。
突っ込んだ俺を小森が睨んだ。
「何。来るんでしょ。」
「……………行きますけど…。」
タダ飯だし…。
なんか無駄に引っ張ったみたいな空気感だったし…。
3人が立ち上がるのを見てそれに倣う。
焼肉までの間、先に出て行った奴と同じように街で遊ぶことにする話をして教室から出た。
一旦着替えてから門に集合することになって各自寮に戻る。
「ただいまー…。」
扉を開けてから呟くように声を出したが、やっぱりまだ惶は帰ってきていなかった。
自室に入り、Tシャツジーパンとラフな格好に着替えて体操着を洗濯機に放り込みに行った。
そのまま寮部屋から出ようとして立ち止まる。
そうだ。惶に伝えとくか。
ケツポケットに突っ込んでいた携帯を操作してトーク画面を開く。
タプタプと文字を打ち込む。
『晩飯クラスで食べてくる』
……。
なんか、簡素過ぎ…?
『晩飯クラスで食べてくるから、昨日の残り全部食べてていいぜ』
………。
惶そんな食いしん坊キャラか?
『晩飯クラスで食べてくるから好きに食ってて』
…………。
それくらいあいつも分かるわ。
数分悩み、結局最初のシンプルな文を送信してすぐにまたポケットに携帯を仕舞って玄関を開けた。
門に行くと、上野と遠坂が先に着いていた。
新入生歓迎会の時と同じような格好の2人と、街に着いたらどこに行くか話しているとすぐに小森も来た。
4人でバスを待つために送迎場所に向かう。
送迎場所には既にクラスメイトが数人居て、お前らはどこ行く?などと軽く話しているうちにバスが来て乗り込んだ。
自然と席が分かれ、どこに行くか続きを話す。
「俺ゲーセン行きてえ」
「はぁ?上野くん連れてそんなとこに行くつもり?」
小森の中のゲーセンってどんなだよ。
「ん?おれゲーセン好きだよ〜」
「上野くんが言うなら1番に行こう」
おい。
「僕は…本屋に行きたいかなぁ」
フリーダムな会話から、行く場所はゲーセン、本屋、余ったらショッピングモールで服を見ることになり、バスを降りてから順に行くことになった。
うろうろしている内に、服を見る間もなく、あっという間に時間が経ち駅前に向かう。
「にしても本当に遠坂くんマリカー初めて?」
「うん。振動があるの面白いねあれ」
「遠坂はまだしも、なんで柴が2位なわけ?」
「お前マジであれはひどかったからな?」
マリカー初めてなのに1位を取った遠坂と、アイテムが甲羅しか出なかったと、ひたすら俺の邪魔してくる小森の話で盛り上がっていると、駅前に集団が見えた。
時間は17:25。
先生はまだ来ていないようだった。
集団はクラスメイトで間違い無かった。端に混じって面々を見ていくと、ほとんどが来ていた。
動画を見た、駄弁っていたりと好きに過ごしていると、集合時間を少し過ぎたくらいに「全員揃ってるか〜?」と近くから担任の声が。
まとまっているようで散らばった集団の間から声の方を見ると、髪を下ろして、黒のTシャツに黒の七分袖の大きめセットアップシャツを羽織った美月先生が。
いつに無くラフな格好の先生に声が上がる。
「焼肉ってホストクラブの中すか?」
「よーし、お前は置いていく」
歩き出す先生に笑い声があがる。
慌ててさっきの言葉を撤回して褒めちぎり出す陽キャに、知ってる、と返すと、焼肉店まで先導し出した。
ぞろぞろと着いていくと、暫く歩いて立ち止まった先生。立ち止まった前にある店を見上げると、見たことのない店の名前だった。
「チェーン店…じゃ…ない…!?」
呟く声に、俺も同じ気持ちだと店の看板を見たまま頷いた。
てっきりチェーン店かと思ってたが、個人経営店ぽい。
立ち止まったのは肩透かし等では無かったらしく、そのまま先生が扉を開けて中に入るように皆を促した。
恐る恐るといったように中に入っていくクラスメイトに続く。
入って内装を見ると、めちゃめちゃ高級、といったわけでもなく安心した。
ただ、店内には店員を除き誰も居なかった。
2階まであるらしいが、俺達が案内されたのは1階で、座敷に皿が並んだ大きな焼肉テーブルが幾つかに分かれてあった。
「えっ先生、もしかして貸切ですか?!」
「おー、しかも食べ放題だぞーしっかり食え」
委員長が聞くと、店長らしきおじさんの前のカウンター席に腰掛けた先生からそう返事を返され、クラスメイトが盛り上がる。
これが大人の財力。
上野に着いて行って10人掛けのテーブルに座る。
それぞれのテーブルに店員が注文を聞きに来て、まとめ役を買って出てくれたクラスメイトが口々に注文するメニューをまとめて伝えた。
それからは、焼いて食って焼いて食ってを繰り返した。
テンポよく皆が肉を振り分けてくれる恩恵に預かり程良く腹が膨れたあたりで、そう言えばと携帯を見た。
通知が1件。
開くと、予想通り惶からだった。
『了解』
と、一言だけ。
スタンプを送ろうか悩んでいると、口を動かしながら上野が覗き込んできた。
「あ、ヤンキーの人」
ヤンキーの人て。
「ヤンキーって…同室者の?ラインしてるわけ?」
俺と反対の上野の隣に座っている小森が上野の言葉に反応して怪訝そうに見てくる。
「晩飯大体一緒に食ってるから連絡入れただけだって」
「晩ご飯一緒に食べてるんだ〜」
遠坂も話に入ってきた。
「普通だろ?」
同意を求めて見回すと、同じテーブルのクラスメイトが俺を見ていたのに気付き固まる。
「普通か??」
「えっ普通じゃないの?俺も一緒に食ってる!」
「いや〜?俺は食堂で済ませるし寮のキッチンとかカップ麺食う時くらい」
「分かる」
勝手に盛り上がり出すクラスメイトにホッとしていると、上野が思い出すように首を捻りながら口を開いた。
「おれもー…たまに?」
「僕の同室者は自室にほとんど篭ってて顔を合わせること自体少ないし、一緒に食べたことないね」
遠坂は?と見た。
「僕のところは時間が合ったら、かな?だから上野君と同じ感じだね〜」
へえ。他はそんな感じなのか。
結構自由なんだな。
初めて知った同室者事情に軽く驚いた。
話している最中にふと先生の方を見ると、カウンターを挟んだ正面にいる店長らしきおじさんと談笑していた。
いつの間に作ってもらっていたのか、カウンターにはいくつかの小皿が並んでいる。
軽口を叩き合っている姿は元々の知り合いの様に見えた。
だから貸し切りしてくれたってことか…?
考えていると、少し残っている俺の皿に次々と肉が放り込まれて行くのが見えてクラスメイトを慌てて止めた。
「なんだよもっと食えよ、食べ放題だぜ」
「いやいやいや、もう腹8分目来てるから」
「12まで行こう」
分数知らんのか?
次のターゲットに移ったのを見ていそいそと隣に肉の横流しをした。
「いいの?」
「たんと食え」
「僕も…もう…いいかな…。」
「フンッ。上野くんに比べて全く。脆弱な胃袋共め」
先生が教室から出てすぐにバッグを持って出ていく奴ら。治らない興奮を分かち合う奴とそれぞれだった。すぐに教室から出ていった奴は大方焼肉までの空き時間に街で遊ぼうとでも考えてんだろうな。
ルンルンな上野が立ち上がった。
「やーきにくっ!やーきにくっ!あっみんな行くよね?」
みんな、と言って小森、俺、遠坂とグルっと顔を見回していく上野。
「うん、勿論!」
「折角だしね」
小森と遠坂が返事した。
俺は、ちょっと迷っていた。
だって集団で飯食べに行くのって、なんか、気が引ける。
そうだよ陰キャだよ!!
「柴?」
ウッ。
「タダ飯だよ…?」
ウッ…!!!
覗き込んで言ってくる上野の言葉に大きく心の天秤が傾く。
「柴君行かないの?」
鞄を手に持って寂しそうな雰囲気を纏う遠坂。
「来るよな」
立ち上がって上野の隣に並んだ小森。
腕を組んでいるが上野の隣だと、より圧無いぞ。
スネ夫ポジションだし。
「来るって!上野くん!」
「おい」
おれは まだ なにも いっていない。
突っ込んだ俺を小森が睨んだ。
「何。来るんでしょ。」
「……………行きますけど…。」
タダ飯だし…。
なんか無駄に引っ張ったみたいな空気感だったし…。
3人が立ち上がるのを見てそれに倣う。
焼肉までの間、先に出て行った奴と同じように街で遊ぶことにする話をして教室から出た。
一旦着替えてから門に集合することになって各自寮に戻る。
「ただいまー…。」
扉を開けてから呟くように声を出したが、やっぱりまだ惶は帰ってきていなかった。
自室に入り、Tシャツジーパンとラフな格好に着替えて体操着を洗濯機に放り込みに行った。
そのまま寮部屋から出ようとして立ち止まる。
そうだ。惶に伝えとくか。
ケツポケットに突っ込んでいた携帯を操作してトーク画面を開く。
タプタプと文字を打ち込む。
『晩飯クラスで食べてくる』
……。
なんか、簡素過ぎ…?
『晩飯クラスで食べてくるから、昨日の残り全部食べてていいぜ』
………。
惶そんな食いしん坊キャラか?
『晩飯クラスで食べてくるから好きに食ってて』
…………。
それくらいあいつも分かるわ。
数分悩み、結局最初のシンプルな文を送信してすぐにまたポケットに携帯を仕舞って玄関を開けた。
門に行くと、上野と遠坂が先に着いていた。
新入生歓迎会の時と同じような格好の2人と、街に着いたらどこに行くか話しているとすぐに小森も来た。
4人でバスを待つために送迎場所に向かう。
送迎場所には既にクラスメイトが数人居て、お前らはどこ行く?などと軽く話しているうちにバスが来て乗り込んだ。
自然と席が分かれ、どこに行くか続きを話す。
「俺ゲーセン行きてえ」
「はぁ?上野くん連れてそんなとこに行くつもり?」
小森の中のゲーセンってどんなだよ。
「ん?おれゲーセン好きだよ〜」
「上野くんが言うなら1番に行こう」
おい。
「僕は…本屋に行きたいかなぁ」
フリーダムな会話から、行く場所はゲーセン、本屋、余ったらショッピングモールで服を見ることになり、バスを降りてから順に行くことになった。
うろうろしている内に、服を見る間もなく、あっという間に時間が経ち駅前に向かう。
「にしても本当に遠坂くんマリカー初めて?」
「うん。振動があるの面白いねあれ」
「遠坂はまだしも、なんで柴が2位なわけ?」
「お前マジであれはひどかったからな?」
マリカー初めてなのに1位を取った遠坂と、アイテムが甲羅しか出なかったと、ひたすら俺の邪魔してくる小森の話で盛り上がっていると、駅前に集団が見えた。
時間は17:25。
先生はまだ来ていないようだった。
集団はクラスメイトで間違い無かった。端に混じって面々を見ていくと、ほとんどが来ていた。
動画を見た、駄弁っていたりと好きに過ごしていると、集合時間を少し過ぎたくらいに「全員揃ってるか〜?」と近くから担任の声が。
まとまっているようで散らばった集団の間から声の方を見ると、髪を下ろして、黒のTシャツに黒の七分袖の大きめセットアップシャツを羽織った美月先生が。
いつに無くラフな格好の先生に声が上がる。
「焼肉ってホストクラブの中すか?」
「よーし、お前は置いていく」
歩き出す先生に笑い声があがる。
慌ててさっきの言葉を撤回して褒めちぎり出す陽キャに、知ってる、と返すと、焼肉店まで先導し出した。
ぞろぞろと着いていくと、暫く歩いて立ち止まった先生。立ち止まった前にある店を見上げると、見たことのない店の名前だった。
「チェーン店…じゃ…ない…!?」
呟く声に、俺も同じ気持ちだと店の看板を見たまま頷いた。
てっきりチェーン店かと思ってたが、個人経営店ぽい。
立ち止まったのは肩透かし等では無かったらしく、そのまま先生が扉を開けて中に入るように皆を促した。
恐る恐るといったように中に入っていくクラスメイトに続く。
入って内装を見ると、めちゃめちゃ高級、といったわけでもなく安心した。
ただ、店内には店員を除き誰も居なかった。
2階まであるらしいが、俺達が案内されたのは1階で、座敷に皿が並んだ大きな焼肉テーブルが幾つかに分かれてあった。
「えっ先生、もしかして貸切ですか?!」
「おー、しかも食べ放題だぞーしっかり食え」
委員長が聞くと、店長らしきおじさんの前のカウンター席に腰掛けた先生からそう返事を返され、クラスメイトが盛り上がる。
これが大人の財力。
上野に着いて行って10人掛けのテーブルに座る。
それぞれのテーブルに店員が注文を聞きに来て、まとめ役を買って出てくれたクラスメイトが口々に注文するメニューをまとめて伝えた。
それからは、焼いて食って焼いて食ってを繰り返した。
テンポよく皆が肉を振り分けてくれる恩恵に預かり程良く腹が膨れたあたりで、そう言えばと携帯を見た。
通知が1件。
開くと、予想通り惶からだった。
『了解』
と、一言だけ。
スタンプを送ろうか悩んでいると、口を動かしながら上野が覗き込んできた。
「あ、ヤンキーの人」
ヤンキーの人て。
「ヤンキーって…同室者の?ラインしてるわけ?」
俺と反対の上野の隣に座っている小森が上野の言葉に反応して怪訝そうに見てくる。
「晩飯大体一緒に食ってるから連絡入れただけだって」
「晩ご飯一緒に食べてるんだ〜」
遠坂も話に入ってきた。
「普通だろ?」
同意を求めて見回すと、同じテーブルのクラスメイトが俺を見ていたのに気付き固まる。
「普通か??」
「えっ普通じゃないの?俺も一緒に食ってる!」
「いや〜?俺は食堂で済ませるし寮のキッチンとかカップ麺食う時くらい」
「分かる」
勝手に盛り上がり出すクラスメイトにホッとしていると、上野が思い出すように首を捻りながら口を開いた。
「おれもー…たまに?」
「僕の同室者は自室にほとんど篭ってて顔を合わせること自体少ないし、一緒に食べたことないね」
遠坂は?と見た。
「僕のところは時間が合ったら、かな?だから上野君と同じ感じだね〜」
へえ。他はそんな感じなのか。
結構自由なんだな。
初めて知った同室者事情に軽く驚いた。
話している最中にふと先生の方を見ると、カウンターを挟んだ正面にいる店長らしきおじさんと談笑していた。
いつの間に作ってもらっていたのか、カウンターにはいくつかの小皿が並んでいる。
軽口を叩き合っている姿は元々の知り合いの様に見えた。
だから貸し切りしてくれたってことか…?
考えていると、少し残っている俺の皿に次々と肉が放り込まれて行くのが見えてクラスメイトを慌てて止めた。
「なんだよもっと食えよ、食べ放題だぜ」
「いやいやいや、もう腹8分目来てるから」
「12まで行こう」
分数知らんのか?
次のターゲットに移ったのを見ていそいそと隣に肉の横流しをした。
「いいの?」
「たんと食え」
「僕も…もう…いいかな…。」
「フンッ。上野くんに比べて全く。脆弱な胃袋共め」