土器土器体育祭
4
「ゲホッ、ゴホッゴホッ!!」
水面に浮かんですぐ、息苦しさから体内に入った水を出そうと咳き込みながらプールの足場に身を預けた。
そう。
3階から落ちた先はプールだったらしい。
髪からポタ、ポタ、と水が水面を跳ねる音が鳴っていた。
湿った咳をしたまま周りを見渡すと、少し離れたところで同じように足場に上半身を預けて咳き込んでいる遠坂が。
良かった。
水分を含んだ着衣が重く、地を這うようにズルズルと身体をプールサイドに身を起こし、四つん這いで咳き込んだ。
盛大に俺達は落ちたらしく、大粒の水飛沫がプールサイドまで飛んでいたが、今日の天気ではすぐに蒸発しそうだった。
俺がまとっていた水が辺りに水溜まりをつくっている。
これはすぐには蒸発しそうになかった。
ゼェゼェと呼吸をしながら遠坂の方に再び目を向ける。
同じようにプールサイドに上った遠坂は、俺よりも呼吸を整えるのが早く、少し咳き込むくらいでプールに背を向けて座っていた。
水面の反射を受けた遠坂の背中が鮮やかに光っている。
すぐに髪は乾きそうな程の熱射に、かえってプールに入れてラッキーだったかもな、と思考に余裕が出てきたところで塩島委員長がプールサイドに駆け寄ってきた。
両手には白く大きいタオルがあり、すぐ手前から遠坂の頭から背中を覆うように被せ、俺にも同じように被せてくれたことに咳き込みながら礼を言った。
「ゲホッ…ありが…う、ござ…ゴホッ、ます、ゴホッ」
「礼は後でこの拝借したバスタオルの持ち主である水泳部に」
通りで用意が良いと。
「それよりお二人共大丈夫ですか」
「フー……うん、ケホッ、僕は大丈夫だよ。柴君大丈夫?」
深呼吸を繰り返し、ようやく咳が落ち着いてきて頷く。
「ゴホッ…はぁ…俺も、大丈夫、です」
ジャージを脱いで落とす。
水分を含んだそれはベシャッとプールサイドを広範囲に濡らした。
「全く…。凛さんは無茶するんですから…。」
視線をあげると、腕を組んだ塩島委員長は眉を顰めて髪を掻き上げる遠坂をじっと見ていた。
その表情は心配そうで、これまで見てきた中でも1番年相応に見えた。
視線を受けた遠坂はなんでもないようにいつも通りの笑みを浮かべていた。
「これくらいなら無茶に入らないよ」
入るだろ。
塩島委員長と合わせていた目を俺に向けてきた遠坂。
普段見えていない瞳がしっかりと俺のことを捉えるのにどきっとする。
「柴君が無事で良かったよ」
「…いや、それは遠坂のおかげだから。ありがとな」
すげえよ、ほんと。
あくまでいつも通りである遠坂に参った俺は力が抜けて笑いかけた。
「それでは落ち着いたところで保健室に向かいましょうか。体操着の着替えも必要ですし」
塩島委員長が声を掛けてきたのに重い体に力を入れて立ち上がった。
ぐしょぐしょの靴で何度か地を踏むと、水溜りが小さく音を鳴らした。
うん。
やっぱ、地面っていいもんだわ。
「それにしてもタオルふわふわだね〜」
「思った。流石金かけてる」
「着替えたら回収しますので」
「ゲホッ、ゴホッゴホッ!!」
水面に浮かんですぐ、息苦しさから体内に入った水を出そうと咳き込みながらプールの足場に身を預けた。
そう。
3階から落ちた先はプールだったらしい。
髪からポタ、ポタ、と水が水面を跳ねる音が鳴っていた。
湿った咳をしたまま周りを見渡すと、少し離れたところで同じように足場に上半身を預けて咳き込んでいる遠坂が。
良かった。
水分を含んだ着衣が重く、地を這うようにズルズルと身体をプールサイドに身を起こし、四つん這いで咳き込んだ。
盛大に俺達は落ちたらしく、大粒の水飛沫がプールサイドまで飛んでいたが、今日の天気ではすぐに蒸発しそうだった。
俺がまとっていた水が辺りに水溜まりをつくっている。
これはすぐには蒸発しそうになかった。
ゼェゼェと呼吸をしながら遠坂の方に再び目を向ける。
同じようにプールサイドに上った遠坂は、俺よりも呼吸を整えるのが早く、少し咳き込むくらいでプールに背を向けて座っていた。
水面の反射を受けた遠坂の背中が鮮やかに光っている。
すぐに髪は乾きそうな程の熱射に、かえってプールに入れてラッキーだったかもな、と思考に余裕が出てきたところで塩島委員長がプールサイドに駆け寄ってきた。
両手には白く大きいタオルがあり、すぐ手前から遠坂の頭から背中を覆うように被せ、俺にも同じように被せてくれたことに咳き込みながら礼を言った。
「ゲホッ…ありが…う、ござ…ゴホッ、ます、ゴホッ」
「礼は後でこの拝借したバスタオルの持ち主である水泳部に」
通りで用意が良いと。
「それよりお二人共大丈夫ですか」
「フー……うん、ケホッ、僕は大丈夫だよ。柴君大丈夫?」
深呼吸を繰り返し、ようやく咳が落ち着いてきて頷く。
「ゴホッ…はぁ…俺も、大丈夫、です」
ジャージを脱いで落とす。
水分を含んだそれはベシャッとプールサイドを広範囲に濡らした。
「全く…。凛さんは無茶するんですから…。」
視線をあげると、腕を組んだ塩島委員長は眉を顰めて髪を掻き上げる遠坂をじっと見ていた。
その表情は心配そうで、これまで見てきた中でも1番年相応に見えた。
視線を受けた遠坂はなんでもないようにいつも通りの笑みを浮かべていた。
「これくらいなら無茶に入らないよ」
入るだろ。
塩島委員長と合わせていた目を俺に向けてきた遠坂。
普段見えていない瞳がしっかりと俺のことを捉えるのにどきっとする。
「柴君が無事で良かったよ」
「…いや、それは遠坂のおかげだから。ありがとな」
すげえよ、ほんと。
あくまでいつも通りである遠坂に参った俺は力が抜けて笑いかけた。
「それでは落ち着いたところで保健室に向かいましょうか。体操着の着替えも必要ですし」
塩島委員長が声を掛けてきたのに重い体に力を入れて立ち上がった。
ぐしょぐしょの靴で何度か地を踏むと、水溜りが小さく音を鳴らした。
うん。
やっぱ、地面っていいもんだわ。
「それにしてもタオルふわふわだね〜」
「思った。流石金かけてる」
「着替えたら回収しますので」