土器土器体育祭

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振り返った顔が背後からのモニターの光で照らされて見える。
その表情は困ったと言う様に眉を八の字にしていた。

「ごめんねぇ…。てっきり南部くんがターゲットなのかと思って神庭くんの人数削っちゃって」
携帯をズボンに仕舞って翠に近付いた。
「それは私達の連携不足なのでお互い様ですよ」
「そう言ってくれると助かっちゃうな…」
苦笑いする翠に現状について聞く。
「他に問題はありますか」
「すぐに挙げるとすれば、このモニターで見てたカメラがいくつか見えなくなったことかな」
モニターに向き直るのに倣って正面を見回すと、立ち並ぶモニターの内の6つの画面が黒く落とされていた。

「5分くらい前にこうなって、委員長の携帯にも掛けたんだけど通話中ってなってて…知らせるのが遅くなってごめんね?」
振り返った翠が申し訳無さそうに言った。

確かに、加賀屋との電話を切った際にロック画面に不在通知が入っていたことは確認していた。

「いえ、そのことは加賀屋さんから聞いていたので大丈夫ですよ」
「そうなの?」
驚いた顔を見せる翠に頷いた。
それより…とモニターを改めて見ていく。

「映像が消されたのは計画の内と思って良いでしょうね」
「そうだね、映像は遠隔で止められないだろうし、カメラを直接止めたんだろうね」

つまり、止められた6つの画面の内のいずれかに神庭、もしくは南部が居る。
または計画において不都合な所が映るということだ。
腕を組んで少し考え、口を開いた。

「消されたのはどこの場所かすぐに分かりますか?」
「増築した時にバラバラにモニター置いちゃってるからちょっとかかるかも。設置場所のメモ探すね!」
「頼みます」

扉に向かう俺に翠が「どこ行くの?」と聞いて来たが、足を止めずに「捜索班への連携と……応援が必要かもしれないので柴さんを呼びます」と答えた。

「お!柴くん〜!百人力だね!」
「そうですね」
明るく言った翠に頬を緩ませて返し、扉を閉めた。



「急がねェと」

「…ふふっ」
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