土器土器体育祭
体育祭2日目開幕
作戦会議を終え、惶と別れた俺は教室に足早に向かい、到着と同時に予鈴が鳴ったのを聞いて安心する。席に向かう俺に続いて廊下に居た生徒がそれぞれの教室に戻るのを目の端に映った。
「寝坊か」
席に着いたと同時に断定してくる小森に苦笑いする。
言い訳が特に思いつかず相槌を打って誤魔化した。
「まあちょっと」
「俺は昨日早く寝たから今日早起きできたよ!」
小森の言葉で俺が来たことに気付いた上野が振り向いて元気に言ってくるのに、そうか偉い偉い、と適当に返した。
それから隣の席で座っている遠坂も交えて今日のことを話していると本鈴が鳴り、担任が教室に入ってきた。
途端に焼肉コールをするクラスメイトに苦く笑う先生。
「俺は焼肉じゃないぞー」
先生はトイレじゃありません。ならぬ、先生は焼肉じゃありません。をした後、昨日の朝礼と同じような内容を教卓に立ち形式的に話すのを大人しく聞くクラスメイト。
話し終え、読み上げていた紙を机に置いた先生が教室を見回す。
「…やる気満々だな」
「そりゃそうだろ!」
即レスで突っ込むクラスメイトに教室が湧いた。
朝から元気なのは上野や作戦会議の一部メンバーだけではないらしい。
そりゃそうだが。
口々に言葉をかけられた先生が手を前にして落ち着かせるように上下に振った。
「分かった分かった。お前らの頑張りに期待してるって。それから、くれぐれも怪我には注意してくれよー。特に昨日捻挫した保坂、お前は無理せず応援しとけよ」
部活もあるんだから。と言われた、陸上部のクラスメイトに注目が集まる。
当人は不服そうに口を尖らせ不満げだが、異論は無いようで頷くのが見えた。
連絡事項を伝え終えたらしく、先生が移動を促した。
廊下に出て既に移動を始めている他のクラスに混じって運動場に向かう。
テントに着き、椅子に座ってすぐしおりを開いて念の為今日の流れを確認していく。
今日の俺が出場する競技は全部で3つ。
棒引き、玉入れ、それから借り物競走。
委員長が昨日調整していた通り、どの競技も時間に間があるようだった。
そして、プログラムを見ながら思い出すのは、今朝の作戦会議のことだ。
主犯が親衛隊なら、一体いつ動きを見せるのか…。
「むずかしい顔してるね」
ハッと顔を上げて声の方を見ると、遠坂が立ち上がって俺を覗き込んでいた。額を指差しているのを見て自然と自身の眉間に手をやった。力が入っていたらしい。
「開会式だよ」
「あ、あぁ、そうだった」
周りを見るとほとんどが校庭の真ん中に集まっているのが見えた。テントのすぐ前で上野がこっちを振り向いていた。
しおりを適当に折り畳んでポケットに突っ込んで立ち上がった。
遠坂と並んで歩きだす。
「何かあった?あ、借り物競走?」
それもあるんだよな〜〜。
渋い顔をする俺を見て笑う遠坂。
上野と遠坂が前で話しているのを見て、そういえば皆は何の競技に出るんだっけ、と思い返す。
確か、小森は『玉入れ、綱引き』で、
上野が『スウェーデンリレー、学年別リレー、クラブ対抗リレー』、
遠坂は『障害物競走、騎馬戦』だったか。
見事にほとんどバラけてんな。
と、いうことは。もし俺が出られないことになっても誰かに代打してもらうことができそうだな。万が一に考えを巡らせた。
そうならないようには祈ってるけど、な。
いや障害物競走だけは代打してほしい。
校庭に生徒が集まり、昨日と同様に放送がかかって開会式が始まった。
選手宣誓を省いたそれは昨日よりは盛り上がりに欠けたものの、点数を引き継いだボードを再び読み上げられたことによりそれぞれのやる気が見えた。
スムーズに開会式が終わり、それぞれのテントに戻る際に目に映ったのは、腕章を付けた風紀とZクラス。
あの作戦会議の内容は、"可能性の話"じゃない。
"対処の話"だ。
俺の出番があるのかは分からないが、今日が大変になることだけは確かだった。
いよいよ体育祭2日目がはじまる。
「(……い、胃が痛い…。)」
作戦会議を終え、惶と別れた俺は教室に足早に向かい、到着と同時に予鈴が鳴ったのを聞いて安心する。席に向かう俺に続いて廊下に居た生徒がそれぞれの教室に戻るのを目の端に映った。
「寝坊か」
席に着いたと同時に断定してくる小森に苦笑いする。
言い訳が特に思いつかず相槌を打って誤魔化した。
「まあちょっと」
「俺は昨日早く寝たから今日早起きできたよ!」
小森の言葉で俺が来たことに気付いた上野が振り向いて元気に言ってくるのに、そうか偉い偉い、と適当に返した。
それから隣の席で座っている遠坂も交えて今日のことを話していると本鈴が鳴り、担任が教室に入ってきた。
途端に焼肉コールをするクラスメイトに苦く笑う先生。
「俺は焼肉じゃないぞー」
先生はトイレじゃありません。ならぬ、先生は焼肉じゃありません。をした後、昨日の朝礼と同じような内容を教卓に立ち形式的に話すのを大人しく聞くクラスメイト。
話し終え、読み上げていた紙を机に置いた先生が教室を見回す。
「…やる気満々だな」
「そりゃそうだろ!」
即レスで突っ込むクラスメイトに教室が湧いた。
朝から元気なのは上野や作戦会議の一部メンバーだけではないらしい。
そりゃそうだが。
口々に言葉をかけられた先生が手を前にして落ち着かせるように上下に振った。
「分かった分かった。お前らの頑張りに期待してるって。それから、くれぐれも怪我には注意してくれよー。特に昨日捻挫した保坂、お前は無理せず応援しとけよ」
部活もあるんだから。と言われた、陸上部のクラスメイトに注目が集まる。
当人は不服そうに口を尖らせ不満げだが、異論は無いようで頷くのが見えた。
連絡事項を伝え終えたらしく、先生が移動を促した。
廊下に出て既に移動を始めている他のクラスに混じって運動場に向かう。
テントに着き、椅子に座ってすぐしおりを開いて念の為今日の流れを確認していく。
今日の俺が出場する競技は全部で3つ。
棒引き、玉入れ、それから借り物競走。
委員長が昨日調整していた通り、どの競技も時間に間があるようだった。
そして、プログラムを見ながら思い出すのは、今朝の作戦会議のことだ。
主犯が親衛隊なら、一体いつ動きを見せるのか…。
「むずかしい顔してるね」
ハッと顔を上げて声の方を見ると、遠坂が立ち上がって俺を覗き込んでいた。額を指差しているのを見て自然と自身の眉間に手をやった。力が入っていたらしい。
「開会式だよ」
「あ、あぁ、そうだった」
周りを見るとほとんどが校庭の真ん中に集まっているのが見えた。テントのすぐ前で上野がこっちを振り向いていた。
しおりを適当に折り畳んでポケットに突っ込んで立ち上がった。
遠坂と並んで歩きだす。
「何かあった?あ、借り物競走?」
それもあるんだよな〜〜。
渋い顔をする俺を見て笑う遠坂。
上野と遠坂が前で話しているのを見て、そういえば皆は何の競技に出るんだっけ、と思い返す。
確か、小森は『玉入れ、綱引き』で、
上野が『スウェーデンリレー、学年別リレー、クラブ対抗リレー』、
遠坂は『障害物競走、騎馬戦』だったか。
見事にほとんどバラけてんな。
と、いうことは。もし俺が出られないことになっても誰かに代打してもらうことができそうだな。万が一に考えを巡らせた。
そうならないようには祈ってるけど、な。
いや障害物競走だけは代打してほしい。
校庭に生徒が集まり、昨日と同様に放送がかかって開会式が始まった。
選手宣誓を省いたそれは昨日よりは盛り上がりに欠けたものの、点数を引き継いだボードを再び読み上げられたことによりそれぞれのやる気が見えた。
スムーズに開会式が終わり、それぞれのテントに戻る際に目に映ったのは、腕章を付けた風紀とZクラス。
あの作戦会議の内容は、"可能性の話"じゃない。
"対処の話"だ。
俺の出番があるのかは分からないが、今日が大変になることだけは確かだった。
いよいよ体育祭2日目がはじまる。
「(……い、胃が痛い…。)」