土器土器体育祭

土器土器体育祭DAY2



朝になり、朝食を共にした惶と行く先どうせ同じだし、と人目につかないように早めに寮を2人で出た。
だからと言って特に話すこともなく、昨夜集合場所として指定された場所に到着。寮を出る時同様にいつもよりだいぶテンションの低い惶を横目に扉をノックすると、「どうぞ」と返事が。
流石、早いな。

中に入ると、室内は会議室のような机の設置がされており、返事をした当人である塩島委員長はその1番奥の席に座って携帯を触っていた。
無表情で画面をタップし、時折考えるように手を止めていた。
ゲーム…ではないよな。
塩島委員長がソシャゲしてる想像がつかない。やってもパズルゲームってイメージ。

勝手な想像をしつつ恐る恐る机に寄る俺とは反対に、勝手知ったると適当な席に惶が座るのを見て俺もその隣に座った。

「残りの方々もそろそろ着く頃だと思いますので、適当に時間を潰しておいてください」
携帯から目を離さず塩島委員長が言ってすぐ扉が開いた。
「おーはよ!うーたん!!と他!」
入ってきたのは加賀屋先輩。
「相変わらずノックを知らない様で…。」
顔をあげた塩島委員長が白けた目で呟いた。
俺は兎も角、他とまとめられた惶はそれに反応することなく腕を組んで目を閉じていた。
寝てんの?

加賀屋先輩が満面の笑みで俺の隣に来ようとするのを両手で静止の合図を送る。そのまま反対側に指差した。それを受けて何やら悶えると、そのままブツブツ言いながら俺と惶が座っている場所と反対の位置に大人しく席に着くのを見届けた。

相変わらず気持ち悪いな。
俺の正面に座り、ゲンドウポーズで見てくるのを見てしみじみ思った。

携帯の液晶を暗くし、腕時計を見た塩島委員長に釣られて俺も携帯の画面で時間を見る。

あと数分で伝えられた集合の時間だ。

塩島委員長の様子を見るに、まだ呼んでる人が居るようだった。
加賀屋先輩のうるさい呼吸音だけが響く空間が暫し続き、ついに集合時間となった。

と、同時に扉が音を立てて開き、元気に登場したのは

「おはよー!諸君!!!」

夏目副委員長。

扉を開けたまま部屋を見回して「あれ?僕で最後なの?みんな朝から勤勉だねぇ」と目を瞬かせながら言った。
大きい独り言に塩島委員長が、「そうです。時間通りで何より。さっさと済ませるので早く席に着いてください」と皮肉を交えて返したことに夏目副委員長が緩く敬礼を送ると、入ってすぐの席に座った。

言葉通り、夏目副委員長でこの秘密裏の作戦会議の参加者は最後だったらしい。

全員が席に着いたのを見回して塩島委員長が口を開いた。
「それでは、体育祭2日目の問題対処における皆さんの動きをお伝えします」
「はーい」
「はい」
「いぇーい」
それぞれの返事を返すなか、静かな隣を見る。
「……。」
おい。

席に着いた時と変わらず目を瞑っている惶の腕を軽くはたいた。
ハッと顔を上げて目を見開いた惶がそのままこっちを見たから、呆れたまま口パクで「おはよう」と言った。
惶が反応を返す前に、間髪入れずにそれに反応した奴が一名。
めざとい。

「は?!ズルい!!!うーたんにボクもおはようって言って欲しすぎる!!!」
うるせえ。

「あ…?うー…たん?」
あーあーあーあー。
加賀屋先輩が立ち上がって大声を上げたのに惶が反応した。

そういや惶はこのストーカーを知らなかったんだ。
頭が痛くなってきた。
帰ろうかな。

「…皆さん朝から元気なことで。」
額に手をやった塩島委員長が溜息をついた。



「うーたん…?」
「…俺を見ないで」
「目覚めにうーたんの挨拶とかなに??同室者権限????」
「あはは!相変わらずだ〜」
「はぁ……。」
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