土器土器体育祭
in1年Bクラス
食堂は休み。
だから今日のために弁当屋が校内に車で出張に来ている。
つまり、今日明日の昼は弁当を買うか、各自で用意するかだった。鮎の教室に向かう途中で小森だけ弁当を買い、他は一旦教室に戻り、持参したそれぞれの食事を手に抱えていた。
小森や上野が後輩らしい生徒と挨拶などを交わしながら目的地目前。廊下を歩くも生徒がちらほらとしか見えないことが意外だった。
お。1年Bクラス。
教室の表示が見え、目的に到着したのが分かった。
先頭を歩いていた小森が扉をノックした後、開いたままの教室に入るのに続く。
「こんにちわ。天海くん、来たよ」
「あれ?…あぁ、あの時の先輩だ?!こんにちは!」
入る拍子に教室内を見渡すと、鮎と手を振り合う小森以外に人は居らず、鮎の事前告知通りのようだ。ただ友達とやらは見当たらなかった。後で聞くか。
「あ、ユズくんさっきぶり…オワイケメン、えっ前髪長っ!!?」
次々と入る俺達に鮎の素晴らしい反応を見せてくれた。視線が忙しい。
最終的に視線は俺に落ち着き、早く紹介しろと言わんばかりにソワソワと見つめられた。
流石、小森が気にいるだけある綺麗な顔をしてるよな。これがいとこか…。視線を受けて苦笑いしてからご希望通り順に紹介することにした。
その前に。
「俺らも席借りて良い?」
「あっそうだった!」
自分の席らしい教室の窓辺から立ち上がり、近くの席を指差した。
全員が椅子に座ったのを見てから口を開いた。
「えーと、それで、この黄緑頭の小さいのはご存知小森」
「ご希望とあれば僕と同じ身長になる様に足を削ってあげるけど?」
「すいませんでした」
「ご存知っていうか、小森先輩あれからライン無かったけどユズくんの友達だったんじゃないですかー!」
俺らの会話をスルーして非難する鮎。
小森がしれっと「ごめんね。でも嘘はついてないし、友達だからといって全員の下の名前を覚えているわけじゃないよ」顔が良い人なら兎も角。と返した。
流石っす。
小森砲をぶっ込まれてピンと来ていない鮎に続ける。
「この前髪長い奴は遠坂」
「はじめまして〜」
「はじめまして!なんで前髪長いんですか?」
直球。
「実はめっちゃ美形でこの学校の風習的に顔を隠す様にしてる設定とかですか!?実は有名人とか!?」
一息に設定とか言うな。
ヲタク特有の早口を見せ鼻息の荒い鮎に、まあ、大体思うことは一緒だよなって思った。
ただ、現実をお知らせすることにした。
「残念でした。遠坂は有名人とか超美形とかじゃないぜ。確かに普通よりは綺麗寄りだけど」
「照れちゃうな」
首を傾けて微笑む遠坂に鮎は、「なんだ〜」と残念そうに机にもたれかかった。
さて、そんなお前に本題だ。
「で、最後に、イケメンのこいつは上野」
紹介した直後にガバッと身を起こす鮎は目を輝かせている。
「やっぱり、もしかして理沙さんの言ってた"上野くん"って!?」
「こんにちわ〜!お姉さんと仲良いんだね。おれも会ったことあるよ!」
「義姉さん?!挨拶?!!」
やめろ。
その反応文字変換させてるだろ。
俺ん家に遊びに来た時にちょっと話してた程度だからな。
興奮して両手を口元に持っていく鮎。
「やややっぱり、彼氏なん」
「違うからな」
「…かれ」
「違う」
嘘だぁ…。と眉を寄せて見てくるのに表情筋を無にして首を振った。
「おれ柴の彼氏?」
にこにこと嬉しそうに俺を見てくる上野の肩を叩く。悪ノリすんな。
「俺ノーマルだから。おっぱいでかいお姉さんが良いから」
「そう言って受けはみんな攻めに落ちていくんだよユズくん」
「現実を見ろ」
ドヤ顔の鮎を一蹴した。
受け…?攻め…?と内容を理解できていない様子で会話を置いて行かれた3人に、「なんでもない」と流した。
頼むからお前らはそのままでいて。
「え〜〜〜じゃああの良い匂いした美人は?」
食い下がる鮎。
に、反応したのは上野。
「良い匂いした美人?!誰?!!柴おれがいながら浮気?!」
「夏目!風紀!副委員長!!!!」
お前そういうこと言うと鮎が興奮するだろうが!
「うわ、うわき」
見ると机をバシバシ叩いて興奮で顔を赤く大喜びする鮎が居た。
ほら〜〜〜〜。
疲れて机に項垂れた。
めんどくせ〜〜この腐男子〜〜。
そのまま夏目副委員長のことを話して話題を逸らそうとしたが、廊下からの袋が擦り合うガサっとした音で鮎が教室の扉の方を見たことにより話が中断したのが分かった。
扉の方から「天海声でかい。廊下まで聞こえてた。もう先輩方来たのか?」と聞こえ、同じ様に皆が扉に振り返る。
そうだ友達。
この鮎と友達とはどんな奴なんだ。そう、姉ちゃんと仲が良いと鮎のことを聞いた時と同じ様な事を考えた。
見ると、扉に手をかけ、反対の手には何か買ってきたらしい袋が。
そして、体操着のその人物は、さっぱりとした短い髪に、垂れ目、顔立ちは幼いその顔はイケメン…で、見覚えが。
ってか、見覚えあるどころじゃない。
子犬丸だった。
「エッ、丸君…?!」
「お疲れ様です、柴先輩!」
驚く俺とは違い、落ち着いた様子の丸君は人懐っこい笑顔を見せた。同じ様に驚く上野にも挨拶を交わしてこちらに来ると、鮎の前の机に袋を置いた。
「皆さん人と会うのは中間テスト以来ですね!」
「そう、だな…?!」
「だね!」
「ユズくんと知り合いってマジだったんだ」
「(図書室でよく見かける子だ〜)」
「(それにしても、なんで柴は面倒が多い生徒と交流が多いんだ全く…。)」
食堂は休み。
だから今日のために弁当屋が校内に車で出張に来ている。
つまり、今日明日の昼は弁当を買うか、各自で用意するかだった。鮎の教室に向かう途中で小森だけ弁当を買い、他は一旦教室に戻り、持参したそれぞれの食事を手に抱えていた。
小森や上野が後輩らしい生徒と挨拶などを交わしながら目的地目前。廊下を歩くも生徒がちらほらとしか見えないことが意外だった。
お。1年Bクラス。
教室の表示が見え、目的に到着したのが分かった。
先頭を歩いていた小森が扉をノックした後、開いたままの教室に入るのに続く。
「こんにちわ。天海くん、来たよ」
「あれ?…あぁ、あの時の先輩だ?!こんにちは!」
入る拍子に教室内を見渡すと、鮎と手を振り合う小森以外に人は居らず、鮎の事前告知通りのようだ。ただ友達とやらは見当たらなかった。後で聞くか。
「あ、ユズくんさっきぶり…オワイケメン、えっ前髪長っ!!?」
次々と入る俺達に鮎の素晴らしい反応を見せてくれた。視線が忙しい。
最終的に視線は俺に落ち着き、早く紹介しろと言わんばかりにソワソワと見つめられた。
流石、小森が気にいるだけある綺麗な顔をしてるよな。これがいとこか…。視線を受けて苦笑いしてからご希望通り順に紹介することにした。
その前に。
「俺らも席借りて良い?」
「あっそうだった!」
自分の席らしい教室の窓辺から立ち上がり、近くの席を指差した。
全員が椅子に座ったのを見てから口を開いた。
「えーと、それで、この黄緑頭の小さいのはご存知小森」
「ご希望とあれば僕と同じ身長になる様に足を削ってあげるけど?」
「すいませんでした」
「ご存知っていうか、小森先輩あれからライン無かったけどユズくんの友達だったんじゃないですかー!」
俺らの会話をスルーして非難する鮎。
小森がしれっと「ごめんね。でも嘘はついてないし、友達だからといって全員の下の名前を覚えているわけじゃないよ」顔が良い人なら兎も角。と返した。
流石っす。
小森砲をぶっ込まれてピンと来ていない鮎に続ける。
「この前髪長い奴は遠坂」
「はじめまして〜」
「はじめまして!なんで前髪長いんですか?」
直球。
「実はめっちゃ美形でこの学校の風習的に顔を隠す様にしてる設定とかですか!?実は有名人とか!?」
一息に設定とか言うな。
ヲタク特有の早口を見せ鼻息の荒い鮎に、まあ、大体思うことは一緒だよなって思った。
ただ、現実をお知らせすることにした。
「残念でした。遠坂は有名人とか超美形とかじゃないぜ。確かに普通よりは綺麗寄りだけど」
「照れちゃうな」
首を傾けて微笑む遠坂に鮎は、「なんだ〜」と残念そうに机にもたれかかった。
さて、そんなお前に本題だ。
「で、最後に、イケメンのこいつは上野」
紹介した直後にガバッと身を起こす鮎は目を輝かせている。
「やっぱり、もしかして理沙さんの言ってた"上野くん"って!?」
「こんにちわ〜!お姉さんと仲良いんだね。おれも会ったことあるよ!」
「義姉さん?!挨拶?!!」
やめろ。
その反応文字変換させてるだろ。
俺ん家に遊びに来た時にちょっと話してた程度だからな。
興奮して両手を口元に持っていく鮎。
「やややっぱり、彼氏なん」
「違うからな」
「…かれ」
「違う」
嘘だぁ…。と眉を寄せて見てくるのに表情筋を無にして首を振った。
「おれ柴の彼氏?」
にこにこと嬉しそうに俺を見てくる上野の肩を叩く。悪ノリすんな。
「俺ノーマルだから。おっぱいでかいお姉さんが良いから」
「そう言って受けはみんな攻めに落ちていくんだよユズくん」
「現実を見ろ」
ドヤ顔の鮎を一蹴した。
受け…?攻め…?と内容を理解できていない様子で会話を置いて行かれた3人に、「なんでもない」と流した。
頼むからお前らはそのままでいて。
「え〜〜〜じゃああの良い匂いした美人は?」
食い下がる鮎。
に、反応したのは上野。
「良い匂いした美人?!誰?!!柴おれがいながら浮気?!」
「夏目!風紀!副委員長!!!!」
お前そういうこと言うと鮎が興奮するだろうが!
「うわ、うわき」
見ると机をバシバシ叩いて興奮で顔を赤く大喜びする鮎が居た。
ほら〜〜〜〜。
疲れて机に項垂れた。
めんどくせ〜〜この腐男子〜〜。
そのまま夏目副委員長のことを話して話題を逸らそうとしたが、廊下からの袋が擦り合うガサっとした音で鮎が教室の扉の方を見たことにより話が中断したのが分かった。
扉の方から「天海声でかい。廊下まで聞こえてた。もう先輩方来たのか?」と聞こえ、同じ様に皆が扉に振り返る。
そうだ友達。
この鮎と友達とはどんな奴なんだ。そう、姉ちゃんと仲が良いと鮎のことを聞いた時と同じ様な事を考えた。
見ると、扉に手をかけ、反対の手には何か買ってきたらしい袋が。
そして、体操着のその人物は、さっぱりとした短い髪に、垂れ目、顔立ちは幼いその顔はイケメン…で、見覚えが。
ってか、見覚えあるどころじゃない。
子犬丸だった。
「エッ、丸君…?!」
「お疲れ様です、柴先輩!」
驚く俺とは違い、落ち着いた様子の丸君は人懐っこい笑顔を見せた。同じ様に驚く上野にも挨拶を交わしてこちらに来ると、鮎の前の机に袋を置いた。
「皆さん人と会うのは中間テスト以来ですね!」
「そう、だな…?!」
「だね!」
「ユズくんと知り合いってマジだったんだ」
「(図書室でよく見かける子だ〜)」
「(それにしても、なんで柴は面倒が多い生徒と交流が多いんだ全く…。)」