土器土器体育祭
満面の笑みキラキラ
時は残酷で、無慈悲にも2年の番がまわってきてしまった。
現場リポーターの放送部と放送席のヒラニシさんの手腕で場は温まったままだ。
冷めろ。
いや冷められてもやりづらいけど!
注目が集まり動悸が治らないなか、俺の番が回ってきた。白線の前に立つ。拓けた視界にクラスメイトが待機してるテントが見えた。応援するようにそれぞれが手を振っているその最前線で応援するように拳を挙げる上野と、腕を組んで笑ってこっちを見ている小森、宣言通りポンポンを横に降っている遠坂が居た。
遠坂それ手を振ってるだけだろ。
思わず気が抜けて笑ってしまった。
小さく息を吐いて気付く。あいつらのお陰でさっきより緊張がマシになっていた。
よしっ。気合いを入れ直す。
言うてただの運ゲーだ。
なるようになれーッだよな、ハチワレぱいせん。…ちいかわだったか?にわかな俺はどっちでも良いかと思い直した。
そして。
乾いた音がパンッと響き、足を大きく前に踏み出した。
足の速い同級生から遅れ、3番目に箱を持った先生の前に到着。紙を引く前に放送部がすぐに近付いてきた。
『さてさて君はホサカ…ん?違う?』
放送部のテントの方から内線が来たらしい。耳に手を当ててすぐにまた口を開く。
『元々の走者のホサカくんは怪我をしているようです!お大事にねホサカくん!では気を取り直して代走のシバユズキくん!君は何を引くのか〜!?』
仕事が早い放送部の連携を恨みながら箱に手を突っ込む。カサカサと小さな紙が手に当たる。
簡単なやつ…!
簡単なやつ…!!
願いを込めて箱の中の手前で手が当たった紙を引き抜いた。
二つ折りの白い紙を広げて文字を認識する。
放送部が覗き込む。
綺麗な字で書いてあったのは、たった2文字。
『…親戚!』
「親戚?」
た、助かった!?
面白系じゃないことに安堵したが、親戚って…。
姉ちゃん達は帰ってるじゃねえか!
『ラッキーだね〜!すぐに見つかるんじゃない?』
そう呑気に言う放送部の人に「あの、親戚帰ったんですけど、どうすれば…」と焦りそのままに聞く。
『え?そうなの?うちだと兄弟が同じ学校ってこともよくあるけどそれも難しそうか〜、じゃあ君に似てる人でいいよ!』
似てる人?!
似た人ってなんだ?!!
じゃあ頑張って!と肩を叩かれて次に到着した走者の元にさっさと行ってしまったのを見つめて数秒。
…はぁ、しょうがない。
とりあえずそれっぽい人探してみるか…。
切り替えて保護者スペースの方に向かおうと振り返ろうとした時だった。
後ろから、ポンっと肩を叩かれたのは。
驚きより何よりも、嫌な予感がした。
ブリキのようにぎこちなく首を後ろに向ける。
順に目に映ったのは、日に焼けたことのないような白い手。
ジャージ。
黒髪にインナーカラー。
薄い唇は弧を描いていて。
整った綺麗な顔に付いた瞳は輝かんばかりに陽の光を受けてキラキラしていた。
そう。
俺の肩に手を置いたのは
満面の笑みを浮かべる
天海 鮎君だった。
「………嘘だろ」
「(満面の笑みキラキラ)」
時は残酷で、無慈悲にも2年の番がまわってきてしまった。
現場リポーターの放送部と放送席のヒラニシさんの手腕で場は温まったままだ。
冷めろ。
いや冷められてもやりづらいけど!
注目が集まり動悸が治らないなか、俺の番が回ってきた。白線の前に立つ。拓けた視界にクラスメイトが待機してるテントが見えた。応援するようにそれぞれが手を振っているその最前線で応援するように拳を挙げる上野と、腕を組んで笑ってこっちを見ている小森、宣言通りポンポンを横に降っている遠坂が居た。
遠坂それ手を振ってるだけだろ。
思わず気が抜けて笑ってしまった。
小さく息を吐いて気付く。あいつらのお陰でさっきより緊張がマシになっていた。
よしっ。気合いを入れ直す。
言うてただの運ゲーだ。
なるようになれーッだよな、ハチワレぱいせん。…ちいかわだったか?にわかな俺はどっちでも良いかと思い直した。
そして。
乾いた音がパンッと響き、足を大きく前に踏み出した。
足の速い同級生から遅れ、3番目に箱を持った先生の前に到着。紙を引く前に放送部がすぐに近付いてきた。
『さてさて君はホサカ…ん?違う?』
放送部のテントの方から内線が来たらしい。耳に手を当ててすぐにまた口を開く。
『元々の走者のホサカくんは怪我をしているようです!お大事にねホサカくん!では気を取り直して代走のシバユズキくん!君は何を引くのか〜!?』
仕事が早い放送部の連携を恨みながら箱に手を突っ込む。カサカサと小さな紙が手に当たる。
簡単なやつ…!
簡単なやつ…!!
願いを込めて箱の中の手前で手が当たった紙を引き抜いた。
二つ折りの白い紙を広げて文字を認識する。
放送部が覗き込む。
綺麗な字で書いてあったのは、たった2文字。
『…親戚!』
「親戚?」
た、助かった!?
面白系じゃないことに安堵したが、親戚って…。
姉ちゃん達は帰ってるじゃねえか!
『ラッキーだね〜!すぐに見つかるんじゃない?』
そう呑気に言う放送部の人に「あの、親戚帰ったんですけど、どうすれば…」と焦りそのままに聞く。
『え?そうなの?うちだと兄弟が同じ学校ってこともよくあるけどそれも難しそうか〜、じゃあ君に似てる人でいいよ!』
似てる人?!
似た人ってなんだ?!!
じゃあ頑張って!と肩を叩かれて次に到着した走者の元にさっさと行ってしまったのを見つめて数秒。
…はぁ、しょうがない。
とりあえずそれっぽい人探してみるか…。
切り替えて保護者スペースの方に向かおうと振り返ろうとした時だった。
後ろから、ポンっと肩を叩かれたのは。
驚きより何よりも、嫌な予感がした。
ブリキのようにぎこちなく首を後ろに向ける。
順に目に映ったのは、日に焼けたことのないような白い手。
ジャージ。
黒髪にインナーカラー。
薄い唇は弧を描いていて。
整った綺麗な顔に付いた瞳は輝かんばかりに陽の光を受けてキラキラしていた。
そう。
俺の肩に手を置いたのは
満面の笑みを浮かべる
天海 鮎君だった。
「………嘘だろ」
「(満面の笑みキラキラ)」