‪「乱数くんお誕生日おめでとう…あとバレンタインも…」‬
おめでとう…、と呟く彼女。
なんだかちょっぴり悲しそう。
「何？どーしてそんな顔してんの？」
「これ、あげる」
すぐ近くのコンビニのビニール袋を渡されて、受け取ると中身はおせんべい。
「はぁ⁉︎何これ？バレンタインのつもり？」
「だって、乱数くんお姉さん達からいっぱいチョコ貰ってたじゃん…甘い物ばっかじゃ気持ち悪くなっちゃうんじゃないかなぁと思って…」
ぽつぽつと悲しそうに呟く彼女。
いつも超鈍感な癖に、何故か変な所に気を回す癖がある。

「も〜〜、馬鹿じゃないの？あれは義理チョコ‼︎」
「そんなの分かんないじゃん！」
キッとこちらを睨む彼女。
涙目で睨まれたって全然怖くないんだから。
「はぁ…これはちゃんと『ねぇそれって義理チョコ？僕本命のコが居るから本命だったら貰えないんだ〜ゴメンね☆』ってわざわざ可愛く言って牽制してから貰ってんの‼︎義理チョコだって帝統にあげちゃうし他のお姉さんには申し訳ないけど今年は本命以外興味ないの‼︎」
「えっ、それってどういう…？」
「はぁ…」
鈍感過ぎて言葉が出ない。
おもわず本日何度目かの溜め息を吐く。
咳払いをして目の前の鈍感ちゃんの為に最大級に可愛い顔と声で喋り出す。
「お姉さん、背後に隠してるそれって本命？僕本命にしか興味ないから義理だと受け取れないなぁ〜〜？…ここまで言えば分かるでしょ？」
「え、な…ッ⁉︎」
僕の言葉を聞いてどんどん赤くなる彼女。
流石の鈍感ちゃんだってここまで言われれば分かるでしょ？


ほら、早く。君の気持ちを全部ちょーだい？