ウォロセキ140字ssまとめ

【いたつき】

ズキリズキリと鋭い痛みが走る。繰り返し刻まれる頭痛に思考が奪われていく。思わず顔をしかめた。
「セキさん体調悪いですか?」
ウォロがこちらを覗き込む。言葉を返す間もなく伸ばされた両の手が頬を覆い、こちらの額に彼のそれを当てた。
「あぁ、少し熱がありますね」
触れた手は少し冷えていて心地好い。自ずと近付いた彼の顔をぼんやり眺めた。
「アンタいい顔だなぁ」
「……これは重症だ」



【うわごと】

体調不良の時、彼はやたらジブンの顔を褒める。
褒められて悪い気はしないが、何せ病人の譫言だ。先程まで薬を飲むのも床に就くのも渋っていたその人から聞いても、今は苦笑しかない。
「ウォロ、」
薬が効いてきたのか、先程の譫言よりさらにゆるい音で名を呼んだ。
「顔だけで好いたんじゃないからな」
それだけ言って眠りに落ちていった。
……えぇ、知ってますよ。



【ねがお】

静かな寝息だけが聞こえる。眠る前よりは幾分か顔色もよくなったか。まだ時折顔をしかめることもあるが、寄せた眉間を指でほどいてやれば、すぐ穏やかな寝顔に戻った。それをじっと眺める。いつも忙しない彼も眠った姿は平らかで、どこかあどけなさを感じさせる。
こみ上げてくるこの感情を愛おしさというのだろうか。
「おやすみなさい、よい夢を」
紺碧の髪を撫で、瞼に口付けを落とした。



【確かにそう言ったが】

「ここ切れてますよ」
ウォロはセキの手を取って言う。視線を向ければ彼の薬指の側面には本人が知らぬ間に小さな傷が出来ていたらしい。
「本当だ。まぁ舐めときゃ治る…って、おい」
そう言い終わらないうちに、ちゅ、と大袈裟な音を立ててから少し滲む赤を拭うように傷を舌でなぞった。
「おや、ここにもしてほしかったですか?」
わざとらしく微笑みながらセキの下唇を摘まむ。
「ばかやろ」
そう言うことじゃねーよ、と脇腹を小突いた。




【相合傘】(現パロ)

先程から降り出した雨はまだ止まないが今日は傘なんて持ってきていない。諦めて濡れて帰ろうとすると、アナタこの間それで風邪引いたでしょう、と呆れたウォロが自分の傘へ入っていくように誘った。
とは言え二人で差せば流石に狭いですね、斜め上から聞こえる声は確かにいつもより近くで聞こえる。その距離に胸が弾むのが分かった。

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