ウォロセキ140字ssまとめ


【手中に収める】

「ねぇ、いいでしょう?」
手に触れる。彼が一瞬びくついたのはその言葉の意味と此方の熱に気が付いたからか。だがもう遅い。逃れようとした身体をなぞるように引き寄せ、腕の中へと収めた。身動ぎすら封じ込めてしまえば、もう此方のもの。
「……オレは高いぜ?」
こぼれた虚勢も紡ぐ唇ごと塞いでしまえ。 



参考 診断メーカー お題ひねり出してみた



【据え膳喰わぬは】

ころん、手にした杯が転ぶように押し倒せば、いとも容易く組み敷いてしまった。瞬いた瞳は潤んで揺れている。…酒は強くないとは言っていたがこれは。
「いくら何でも無防備すぎでは」
呆れ半分溜息をついて窘める。
「アンタだからに決まってるだろ」
呂律の回りきらない口元がにやりと笑った。
…喰われる覚悟はおありのようで。



【丹花を食む】

顎を掬い上げ唇を食む。大袈裟な音を立てるように吸い付き、僅か開いたそこを舌先で抉じ開け咥内に侵入した。たじろぐ舌を絡め取れば甘い吐息が漏れる。それをも奪うように幾度も喰らい付いた。きゅっと閉じられた目尻には少し涙が滲み、見る間に頬は紅を差していく。
ようやく唇を解放してやれば、乱れた息を整えるように大きく肩で息をした。
「ちゃんと息継ぎはしてくださいね」
「っ、るせ、」
「まだ、これからなんですから」



丹花の唇…赤い花のように魅力的な美人の唇





【あさぼらけ】

「おはようさん」
穏やかな声色で目が覚めると、こちらを覗き込む声の主と目が合う。覚醒しきる前の頭でぼんやりと眺めたその姿は、朝日を受けて一層綺麗だった。
「……結婚してください」
「なーに言ってんだ、寝坊助め」
そう笑いながら、額をピンと弾いた。


***


「……結婚してください」
起こせと言われたから起こしに行ったのに、寝惚けたウォロから返ってきたのは挨拶の代わりの拍子抜けた言葉だった。
「なーに言ってんだ、寝坊助め」
そうして彼の額を弾いてから、仕掛かりになっている朝食の準備に戻る。
……はて、アイツさっきなんて言ったか、と先程流した言葉を思い返してみると、意味を理解するのと同時にカッと顔が赤くなるのが分かった。





【乱れ初めにし我ならなくに】

「なぁウォロ!」
彼が無邪気に名を呼ぶ。その大きな瞳にジブンを映して笑う。感情のままに移り変わる彼の表情に、その度この胸を打つ鐘が鬱陶しい。
嗚呼、ジブンが求める『唯一』をも揺るがしかねないというのに、容認し難いこの感情は好奇心を強く掻き立てている。さて、どうしたものか。

(全部、アナタのせいですよ)


参考 診断メーカー 140字で書くお題ったー






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