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【ゆびきりげんまん】

楽しい時間というのはあっという間に過ぎていく。またすぐ逢えるのに名残惜しくて。この時間が永遠に続けばいいのに、思わず溢れた子供じみた言葉はそのまま彼女の耳に届いた。一瞬目を見開いたがすぐ孤を描く。
「私も同じこと思ってた」なんて彼女は眉を下げて言う。
「じゃあ指切りしよう、また逢う約束!」そう言って私の手をとり、右の小指をすくって得意気に笑った。
(……指切り以上の約束、もう貰ってるけどね)
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