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【逸らさず見ていてよ】

彼が私の名前を呼ぶ。甘い声、頬から輪郭をなぞる指、ゆっくりとした瞬きの音。あぁ、これは。思わずきゅっと目を瞑り肩が強張った。さぁいつでもどうぞ、あ!いや、出来れば…早めに。そんなことを考えていたら、ふいに彼が笑う。「目閉じないで」えっ、と目を開いたところで目が合う。…逸らせない。彼は満足そうにそのままキスをした。
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