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【ゆきのはて】

今朝から外を白く染めるのは季節遅れの雪だ。未練がましいこの空はまだ冬を手放したくないらしい。
「でもきっとこれは最後の雪よね」そう言って彼女は雪を掌に掬う。それは彼女の体温で見る間に溶けほんの小さな水溜まりが出来た。あぁ冷えてしまう、急いでその小さな掌を私のそれで包み込んだ。
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