140字ss
【重ねて天日を見る】
「もう逃げちゃおっか、一緒に」
そう言って私の手を取りきゅっと握る。目を丸くする私を貴方は目を細めて見つめた。繰り返すこの酷い夢を、終わらないあの白い夜を、知らないはずの貴方が言う。それはそれは泣きたくなるくらい愛しくて恋しい音色。私がその手を握り返すのには、もう充分すぎる程だった。
「もう逃げちゃおっか、一緒に」
そう言って私の手を取りきゅっと握る。目を丸くする私を貴方は目を細めて見つめた。繰り返すこの酷い夢を、終わらないあの白い夜を、知らないはずの貴方が言う。それはそれは泣きたくなるくらい愛しくて恋しい音色。私がその手を握り返すのには、もう充分すぎる程だった。