ティエ×ライ
本心
嫌われているのは知っている。
こちらが何か言えば、返ってくる言葉は嫌味か批判だ。
おまけにどうやら兄さんと比べられているらしいから、お手上げ状態。
なのに…。
何で俺はこんなに気になっているのだろう。
あの、ティエリア・アーデという人物が。
俺ってそんな面食いだったっけか?
まあ確かに見目いい方がいいけど…、だからって…顔を合わせばしかめっ面で、口を開けば嫌味が出て、失敗でもしようもんなら罵倒されるんじゃないかって相手に惚れちまうなんて…。
…決してマゾではないからな。
そこだけは絶対に。
なのに…何だって言うんだ…。
はぁ、と溜め息一つ。
ミッションが終わり、いつの間にか更衣室にはティエリアと二人きりになっていた。
あ、…目が合っちまった…。
…気まずい…
ぷい。
しまった!
あからさまに視線を避けちまった…。
また生意気だとか思われてんじゃねーかな…ってか…俺の方が明らかに年上だよな…。
まあ、いろいろ教えてもらってる立場だから仕方ねーけど…普通もうちょっと敬意を表すよな、年上にはさ…。
…ここは特別か…。
あの刹那ってのも態度は横柄だったな。おもっきり年下のくせして…。
はぁ、と溜め息もう一つ。
それに重なってティエリアも溜め息をついた。
「ライル・ディランディ。」
ロックオンとは呼ぶ気なしかよ。
「何だい?」
なるべく明るい声で返した。
「顔を貸せ。」
「…は?」
一瞬呆ける。
「説教ならここで聞くぜ? 他に人居ないんだし。…それとも何か? わざわざ人前で説教しようって腹か?」
どこまでサディスティックなんだよ、コイツ。
つい睨むように見てしまう。
「言葉をそのまま受け取れ。私は顔を貸せと言った。」
ん?
「顔貸せってのは…つまりどっか別んとこで話があるってこったろ? 普通。」
「違う。『顔』を『貸せ』」
意味分かんねー…。
返答に困っていると、いきなり胸ぐらを掴まれた。
グイッと引っ張られて、まさか殴られるのか、と思ったら間近にティエリアの顔が迫って…。
うわっ!?
頭突きでもされるのかとギュッと目を瞑った。
イテッ!!
痛みを感じたのは額じゃない。
…唇だ。
…今のは…キス…だよな…。
かなり勢いよくてぶつかるように当たったけど…。
ティエリアも痛かったのか唇を押さえてるし…。
「…あ…れ?」
頭が混乱している。
何でキスされたんだ?
嫌われてるのに…。
ティエリアは何も無かったかのように脱いだパイロットスーツを片付けている。
嫌われて…ないのか?
むしろ…好かれてたり…。
「…あのさ…」
「言っておくが、君の事が好きなわけではない。」
「…え…?」
とたん兄さんの顔が浮かんだ。
そういうことかよっ!!
思いっきり睨みつけてやると、ティエリアは声を立てて笑いだした。
そんな様子を見るのは初めてだ。
「何が可笑しいんだよっ!」
人を代用品みたいに扱いやがって!
ティエリアはククッと笑いをこらえて答えた。
「君が予想通りの反応を示したから…。申し訳ない。」
「予想通りって…」
…って事は…先刻のは揶揄ったって事か?
ん?
「じゃあ…さっき言ったのは…嘘?か?」
ホントは俺のことをどう思っているんだ。
本心を聞きたくて質問してるってのに、ティエリアは背中を向けると横目でこっちを見た。
妖艶にも見えるその表情に俺はたじろいで…。
「さあ、どうだろうな。君の想像に任せることにしよう。」
「え…」
あっさりと出ていくティエリアの背中を、俺は呆然と見詰めた。
…分かんねー…
…わけ分かんねー…
俺、今日は眠れそうにねーな…。
嫌われているのは知っている。
こちらが何か言えば、返ってくる言葉は嫌味か批判だ。
おまけにどうやら兄さんと比べられているらしいから、お手上げ状態。
なのに…。
何で俺はこんなに気になっているのだろう。
あの、ティエリア・アーデという人物が。
俺ってそんな面食いだったっけか?
まあ確かに見目いい方がいいけど…、だからって…顔を合わせばしかめっ面で、口を開けば嫌味が出て、失敗でもしようもんなら罵倒されるんじゃないかって相手に惚れちまうなんて…。
…決してマゾではないからな。
そこだけは絶対に。
なのに…何だって言うんだ…。
はぁ、と溜め息一つ。
ミッションが終わり、いつの間にか更衣室にはティエリアと二人きりになっていた。
あ、…目が合っちまった…。
…気まずい…
ぷい。
しまった!
あからさまに視線を避けちまった…。
また生意気だとか思われてんじゃねーかな…ってか…俺の方が明らかに年上だよな…。
まあ、いろいろ教えてもらってる立場だから仕方ねーけど…普通もうちょっと敬意を表すよな、年上にはさ…。
…ここは特別か…。
あの刹那ってのも態度は横柄だったな。おもっきり年下のくせして…。
はぁ、と溜め息もう一つ。
それに重なってティエリアも溜め息をついた。
「ライル・ディランディ。」
ロックオンとは呼ぶ気なしかよ。
「何だい?」
なるべく明るい声で返した。
「顔を貸せ。」
「…は?」
一瞬呆ける。
「説教ならここで聞くぜ? 他に人居ないんだし。…それとも何か? わざわざ人前で説教しようって腹か?」
どこまでサディスティックなんだよ、コイツ。
つい睨むように見てしまう。
「言葉をそのまま受け取れ。私は顔を貸せと言った。」
ん?
「顔貸せってのは…つまりどっか別んとこで話があるってこったろ? 普通。」
「違う。『顔』を『貸せ』」
意味分かんねー…。
返答に困っていると、いきなり胸ぐらを掴まれた。
グイッと引っ張られて、まさか殴られるのか、と思ったら間近にティエリアの顔が迫って…。
うわっ!?
頭突きでもされるのかとギュッと目を瞑った。
イテッ!!
痛みを感じたのは額じゃない。
…唇だ。
…今のは…キス…だよな…。
かなり勢いよくてぶつかるように当たったけど…。
ティエリアも痛かったのか唇を押さえてるし…。
「…あ…れ?」
頭が混乱している。
何でキスされたんだ?
嫌われてるのに…。
ティエリアは何も無かったかのように脱いだパイロットスーツを片付けている。
嫌われて…ないのか?
むしろ…好かれてたり…。
「…あのさ…」
「言っておくが、君の事が好きなわけではない。」
「…え…?」
とたん兄さんの顔が浮かんだ。
そういうことかよっ!!
思いっきり睨みつけてやると、ティエリアは声を立てて笑いだした。
そんな様子を見るのは初めてだ。
「何が可笑しいんだよっ!」
人を代用品みたいに扱いやがって!
ティエリアはククッと笑いをこらえて答えた。
「君が予想通りの反応を示したから…。申し訳ない。」
「予想通りって…」
…って事は…先刻のは揶揄ったって事か?
ん?
「じゃあ…さっき言ったのは…嘘?か?」
ホントは俺のことをどう思っているんだ。
本心を聞きたくて質問してるってのに、ティエリアは背中を向けると横目でこっちを見た。
妖艶にも見えるその表情に俺はたじろいで…。
「さあ、どうだろうな。君の想像に任せることにしよう。」
「え…」
あっさりと出ていくティエリアの背中を、俺は呆然と見詰めた。
…分かんねー…
…わけ分かんねー…
俺、今日は眠れそうにねーな…。
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