まどマギ
その一瞬の為に
結局、この世界は滅びる運命だったらしい。
ワルプルギスの夜を倒せなくても、倒してまどかが魔女化しても。
そして、最強だと思えた彼女の願いでさえ、この世界の終焉を止めることは出来なかった。
もしかしたら、と一つの可能性を思いつく。
最初の時間軸で私が契約をしなければ、世界は壊れなかったのかもしれない。
でも、あの時間軸だったからこそ私は契約したのだし、それはつまり、この世界は滅びる運命だったということ。
魔女がいないこの世界には、魔獣が存在した。
魔法少女がその魔獣を倒すことで、インキュベーターはエネルギーを得る。
魔法少女は魔女に変わることはなく、円環の理に導かれて最期を迎える。
魔女のいる世界より、穏やかに事が運ぶ筈だった。
それなのに、ワルプルギスの夜が現れたあの時に近づくにつれ、魔獣の動きが活発化した。
「何故だか今夜は魔獣達が騒がしい。」
キュウべえの言葉に嫌な予感が沸いたのは、気の所為じゃなかった。
魔獣を知らない普通の人たちは、世界の異変に依って滅んだ。
魔法少女たちは、世界の異変を引き起こす魔獣と戦い疲れて、ソウルジェムを黒く染めた。
皆、逝ってしまった。
「キミはまだ戦うのかい?ほむら。僕には意味があるように思えないんだけど。」
キュウべえの言葉に、私はフンと小さく息を吐いた。
「前に話したでしょう?魔女がいた時間軸の話。」
「ああ、キミの夢物語だね。…まどか…とか言ったっけ?」
夢物語じゃないわ、と吐き捨てて歩きだす。
もう、疲労で真っ直ぐに歩くことさえ難しい。
その後ろからまたキュウべえが言った。
「じゃあ、僕は行くね。この星での仕事は終わったんだ。必要量のエネルギーは回収できたからね。みんな、頑張ってくれて助かったよ。」
「馬鹿言わないで。自分が契約した魔法少女を最後まで見届けて行きなさい。あなたの義務だわ。」
「そうかい?」
「義務じゃないというのなら…そうね…」
心を持たないインキュベーターの引き止め方なんて思い付かない。
もうなんでもいい、それでも、こいつは見届けるべきだと私は思っている。それだけ。
「別に急いで帰らなくてもいいんでしょう?エネルギーは回収したのだから。最後の魔法少女の死にざまを見ていくのも一興じゃないかしら。」
ここに居る間は、私がなけなしのエネルギーをあげるんだから、いいじゃない。
いなさいよ。
見ていきなさいよ。
振り向いてじっと見ていると、キュウべえはその姿に似つかわしい、愛らしい姿で首を傾げた。
「…それは、『寂しい』ということかい?僕がいなくなると一人になってしまうから。」
キュウべえなりに私の心を慮ったらしい。
的外れだけどそれでもいい。
「そうね。そういうことにしておいてあげるわ。私の最期を見届けて。」
私がそう言うと、キュウべえは今度は反対側に首を傾げて思案している風を見せた。
「わかったよ。ほむら。見届けてから帰ることにしよう。」
キュウべえには永遠に解らない。
何故私がこうまでして闘い続けるのか。
もう諦めて魔獣に殺されてしまっても、世界に変わりはないだろう。
もう人がいないのだから。
それでも、私は殺されるわけにはいかない。
何があっても。
そう、このソウルジェムを黒く染め上げるまで、死ぬわけにはいかないのだ。
目の前でソウルジェムが最期の時を迎えた。
ああ、やっと…。
この瞬間の為に、私はしがみついていたの。
やっと、
逢える。
『迎えに来たよ、ほむらちゃん。御苦労さま、頑張ったね。』
この刹那が、私にとっての永遠。
結局、この世界は滅びる運命だったらしい。
ワルプルギスの夜を倒せなくても、倒してまどかが魔女化しても。
そして、最強だと思えた彼女の願いでさえ、この世界の終焉を止めることは出来なかった。
もしかしたら、と一つの可能性を思いつく。
最初の時間軸で私が契約をしなければ、世界は壊れなかったのかもしれない。
でも、あの時間軸だったからこそ私は契約したのだし、それはつまり、この世界は滅びる運命だったということ。
魔女がいないこの世界には、魔獣が存在した。
魔法少女がその魔獣を倒すことで、インキュベーターはエネルギーを得る。
魔法少女は魔女に変わることはなく、円環の理に導かれて最期を迎える。
魔女のいる世界より、穏やかに事が運ぶ筈だった。
それなのに、ワルプルギスの夜が現れたあの時に近づくにつれ、魔獣の動きが活発化した。
「何故だか今夜は魔獣達が騒がしい。」
キュウべえの言葉に嫌な予感が沸いたのは、気の所為じゃなかった。
魔獣を知らない普通の人たちは、世界の異変に依って滅んだ。
魔法少女たちは、世界の異変を引き起こす魔獣と戦い疲れて、ソウルジェムを黒く染めた。
皆、逝ってしまった。
「キミはまだ戦うのかい?ほむら。僕には意味があるように思えないんだけど。」
キュウべえの言葉に、私はフンと小さく息を吐いた。
「前に話したでしょう?魔女がいた時間軸の話。」
「ああ、キミの夢物語だね。…まどか…とか言ったっけ?」
夢物語じゃないわ、と吐き捨てて歩きだす。
もう、疲労で真っ直ぐに歩くことさえ難しい。
その後ろからまたキュウべえが言った。
「じゃあ、僕は行くね。この星での仕事は終わったんだ。必要量のエネルギーは回収できたからね。みんな、頑張ってくれて助かったよ。」
「馬鹿言わないで。自分が契約した魔法少女を最後まで見届けて行きなさい。あなたの義務だわ。」
「そうかい?」
「義務じゃないというのなら…そうね…」
心を持たないインキュベーターの引き止め方なんて思い付かない。
もうなんでもいい、それでも、こいつは見届けるべきだと私は思っている。それだけ。
「別に急いで帰らなくてもいいんでしょう?エネルギーは回収したのだから。最後の魔法少女の死にざまを見ていくのも一興じゃないかしら。」
ここに居る間は、私がなけなしのエネルギーをあげるんだから、いいじゃない。
いなさいよ。
見ていきなさいよ。
振り向いてじっと見ていると、キュウべえはその姿に似つかわしい、愛らしい姿で首を傾げた。
「…それは、『寂しい』ということかい?僕がいなくなると一人になってしまうから。」
キュウべえなりに私の心を慮ったらしい。
的外れだけどそれでもいい。
「そうね。そういうことにしておいてあげるわ。私の最期を見届けて。」
私がそう言うと、キュウべえは今度は反対側に首を傾げて思案している風を見せた。
「わかったよ。ほむら。見届けてから帰ることにしよう。」
キュウべえには永遠に解らない。
何故私がこうまでして闘い続けるのか。
もう諦めて魔獣に殺されてしまっても、世界に変わりはないだろう。
もう人がいないのだから。
それでも、私は殺されるわけにはいかない。
何があっても。
そう、このソウルジェムを黒く染め上げるまで、死ぬわけにはいかないのだ。
目の前でソウルジェムが最期の時を迎えた。
ああ、やっと…。
この瞬間の為に、私はしがみついていたの。
やっと、
逢える。
『迎えに来たよ、ほむらちゃん。御苦労さま、頑張ったね。』
この刹那が、私にとっての永遠。
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