刀剣乱舞
ポッキーの日
よくあるあの部屋、である。
蜂須賀虎徹と長曽祢虎徹は部屋の扉に掲げられているお題を見て唖然とした。
「ポッキーゲームをしないと出られない?」
「…ポッキーゲーム…」
ちらっと互いを見やり、気まずそうにどちらからともなく呟く。
「…とは、なんだ?」
「知らないのか。」
「お前こそ。」
お題の内容が分からなくてはクリアのしようが無い。
「ゲーム…というのは遊戯、とか遊興とかの意味だったか?」
「何か勝敗の付く遊びだったような…主が将棋や囲碁のことをゲームと呼んでいた。」
出口の手前には何やら小さな箱が置いてあった。
それを手に取った長曽祢が、ふむ、と納得するような声を出す。
「どうやらこの菓子が『ポッキー』らしい。」
「とにかく開けてみろ。どこかに説明が書いてあるかもしれん。」
箱も小袋もくまなく見てみたが、ゲームの説明はない。
「勝敗の付く遊び、なら例えばじゃんけんをして勝った方が一本食べる、というのはどうだろう。」
「それではじゃんけんの賞品がこの菓子ということになる。そんなものをポッキーゲームと呼ぶだろうか。」
うーん、と唸ってもう一度菓子を覗き込む。
蜂須賀が一本取りだして、おい、と長曽祢に見せた。
「この菓子を剣に見立てるのではないか?」
「確かに柄のような部分があるな。」
「これが剣なら、やることはひとつだろう。」
「打ち合うのか。…勝敗は?」
「折れた方が負け、だ。」
長曽祢は苦虫を噛みつぶしたような顔をする。
「俺たち刀剣にとっては寒気のする遊びだな。」
「だが、それ以外やりようがあるか?」
「いや。仕方がない…やるか。」
ポッキーを親指と人差し指で持ち、身体の前に差し出す。
「いざ!」
「おう!」
ガッ!と打ち付けた途端、双方のポッキーが折れた。
「ああ!」
「おおぅっと!」
二人は崩れるようになりながら、菓子が床に落ちるのを阻止する。食べ物を粗末にするなど言語道断。
「…これは…」
「折れた方が落としたら負け、ということか。」
「なるほど。なかなか難しい勝負のようだ。」
「ああ、力のいれ具合、折られたときの判断力、瞬発力、それなりの鍛錬になりそうだな。」
何回か打ち合うと、徐々にコツが掴めてきた。
勝つには力の入れる瞬間と相手の武器のもろい部分の見極めが必要だ。
「なら、これはどうだ!」
蜂須賀が振り抜くように軌道を描くと、長曽祢のポッキーは折れて大きく飛ばされた。
「くっ!あんなところに!」
とっさに床を蹴り、落ちる寸前を捕まえる。
「良く取った。だが、次で決めてやる。」
「ふん、お前の武器は今の衝撃で脆くなっている。次に折るのは俺の方だ。」
「甘いな。がさつな贋作には分からないだろうが、俺はもうこの武器を使いこなしている。しばらくは折れないよ。」
「どうだかな。」
新しいポッキーを取り出して、長曽祢が構えた。
扉が開いて長曽祢が外に出ると、そこには数人が心配して集まっていた。
「長曽祢兄ちゃん!良かった。開け方が分からなくて、壊そうかって言ってたんだ。…お題、クリア出来たの?」
「ああ、良い運動になった。」
「運動?」
浦島とその周りにいた仲間たちが首を傾げる。
見れば長曽祢に続いて出てきた蜂須賀は、どんよりと沈んだ表情だ。
「…贋作に…負けた…俺としたことが…食べ物を床に落としてしまうなど…」
「最後の一本まで使ってしまったからな、あのまま勝敗が付かなかったらどうしようかと思ったが、あの一撃はなかなかのもんだったろう?」
ニッと向けられた勝ち誇った笑みを、蜂須賀は睨み付けた。
「今度は手合わせで勝負だ!」
「お、まだやるか?わかった、付き合おう。」
二人はそのまま道場に行ってしまった。
「…ねえ、兄ちゃんたち、中で何やってたのかな…」
「俺たちが知ってるポッキーゲームじゃないことだけは確かだな。」
fin.
よくあるあの部屋、である。
蜂須賀虎徹と長曽祢虎徹は部屋の扉に掲げられているお題を見て唖然とした。
「ポッキーゲームをしないと出られない?」
「…ポッキーゲーム…」
ちらっと互いを見やり、気まずそうにどちらからともなく呟く。
「…とは、なんだ?」
「知らないのか。」
「お前こそ。」
お題の内容が分からなくてはクリアのしようが無い。
「ゲーム…というのは遊戯、とか遊興とかの意味だったか?」
「何か勝敗の付く遊びだったような…主が将棋や囲碁のことをゲームと呼んでいた。」
出口の手前には何やら小さな箱が置いてあった。
それを手に取った長曽祢が、ふむ、と納得するような声を出す。
「どうやらこの菓子が『ポッキー』らしい。」
「とにかく開けてみろ。どこかに説明が書いてあるかもしれん。」
箱も小袋もくまなく見てみたが、ゲームの説明はない。
「勝敗の付く遊び、なら例えばじゃんけんをして勝った方が一本食べる、というのはどうだろう。」
「それではじゃんけんの賞品がこの菓子ということになる。そんなものをポッキーゲームと呼ぶだろうか。」
うーん、と唸ってもう一度菓子を覗き込む。
蜂須賀が一本取りだして、おい、と長曽祢に見せた。
「この菓子を剣に見立てるのではないか?」
「確かに柄のような部分があるな。」
「これが剣なら、やることはひとつだろう。」
「打ち合うのか。…勝敗は?」
「折れた方が負け、だ。」
長曽祢は苦虫を噛みつぶしたような顔をする。
「俺たち刀剣にとっては寒気のする遊びだな。」
「だが、それ以外やりようがあるか?」
「いや。仕方がない…やるか。」
ポッキーを親指と人差し指で持ち、身体の前に差し出す。
「いざ!」
「おう!」
ガッ!と打ち付けた途端、双方のポッキーが折れた。
「ああ!」
「おおぅっと!」
二人は崩れるようになりながら、菓子が床に落ちるのを阻止する。食べ物を粗末にするなど言語道断。
「…これは…」
「折れた方が落としたら負け、ということか。」
「なるほど。なかなか難しい勝負のようだ。」
「ああ、力のいれ具合、折られたときの判断力、瞬発力、それなりの鍛錬になりそうだな。」
何回か打ち合うと、徐々にコツが掴めてきた。
勝つには力の入れる瞬間と相手の武器のもろい部分の見極めが必要だ。
「なら、これはどうだ!」
蜂須賀が振り抜くように軌道を描くと、長曽祢のポッキーは折れて大きく飛ばされた。
「くっ!あんなところに!」
とっさに床を蹴り、落ちる寸前を捕まえる。
「良く取った。だが、次で決めてやる。」
「ふん、お前の武器は今の衝撃で脆くなっている。次に折るのは俺の方だ。」
「甘いな。がさつな贋作には分からないだろうが、俺はもうこの武器を使いこなしている。しばらくは折れないよ。」
「どうだかな。」
新しいポッキーを取り出して、長曽祢が構えた。
扉が開いて長曽祢が外に出ると、そこには数人が心配して集まっていた。
「長曽祢兄ちゃん!良かった。開け方が分からなくて、壊そうかって言ってたんだ。…お題、クリア出来たの?」
「ああ、良い運動になった。」
「運動?」
浦島とその周りにいた仲間たちが首を傾げる。
見れば長曽祢に続いて出てきた蜂須賀は、どんよりと沈んだ表情だ。
「…贋作に…負けた…俺としたことが…食べ物を床に落としてしまうなど…」
「最後の一本まで使ってしまったからな、あのまま勝敗が付かなかったらどうしようかと思ったが、あの一撃はなかなかのもんだったろう?」
ニッと向けられた勝ち誇った笑みを、蜂須賀は睨み付けた。
「今度は手合わせで勝負だ!」
「お、まだやるか?わかった、付き合おう。」
二人はそのまま道場に行ってしまった。
「…ねえ、兄ちゃんたち、中で何やってたのかな…」
「俺たちが知ってるポッキーゲームじゃないことだけは確かだな。」
fin.
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