刻を馳せる

03



 約束の前提であった『話を聞く』という部分は数ヶ月で終わってしまったが、祖は毎日本丸を訪れる。約束による縛りが一生続くのだから当然だ。
 この本丸は他の審神者から隔離されているとは言え、出陣などの任務は変わらず課せられている。日々それをこなしているわけだが、祖はそういう日々の営みも楽しげに眺めていたりした。
「審神者さま。やはり演練は許可が下りないようです。申し訳ございません。このこんのすけ、力及ばず…」
「いいよいいよ。ダメ元で聞いてみただけだから。万屋も行く時間を限られてるし、徹底して他の審神者に会わせないようにしてるよね。」
 そのやり取りを見て、祖は「すまぬな」と言う。
「別にいいよー。色々お話聞けたしさ。」
「とは言え、もうおぬしも年頃だろう?…相手を見繕って連れてこようか。」
 どうも祖には結婚が感情に関わるということが分からないらしい。
「見繕わなくていいから!」
「好みがあるからか?美しい方がいいか?」
「リサーチすな!」
「難しいな、人間の番を決めるのは。」
「だから、キミが決める必要は無いから!誰を連れてきても招かないからね!」
 彼女は元来恋愛に疎く、全くそういうことを求めていないのが不幸中の幸いではある。そして話し相手なら沢山居るのだ。人間と関わらなくても特に問題は感じていなかった。
「そうだ、話は変わるが、ここに薬研を連れてきたいのだが、招いては貰えないだろうか。」
 祖がそう言うと、近くに居たこんのすけの目がチラリと光った。
「審神者さま、ではこんのすけはこれで。」
 しずしずと下がっていくこんのすけを祖は目の端で確認しながら、笑みは審神者に向ける。
「おぬしたちの話をしたら興味を持っていたのでな、連れてきてやりたいのだ。」
「…うーん、お話ししたことないからなぁ…」
「ダメか?…まあ、仕方ないか。」
 おや?と審神者は思う。まだ考え中の彼女の思考を遮って言ったことを引っ込めるのは珍しかった。諦めが良すぎる。
 そういう駆け引きかと条件を出してみようとすると、祖はこんのすけの立ち去った方向にチラリと目線を送って唇の前に人差し指を立てた。
「…えっと…祖の薬研は、どんな感じ?うちの薬研と結構違う?」
「あやつは俺の世話係みたいなものでな、いつも文句を言われる。我が儘だのちゃんとしろだのと。」
 そう言えば一度だけ会ったあの時も、そんなことを言っていた。
「また気が向いたら言ってみてよ。私の気が変わってるかもしれないし。」
「あいわかった。期待せずに待っておこう。」
 当たり障りの無いことを言って会話を終える。




「こんのすけ?」
 審神者の部屋の隣に、こんのすけの常駐する部屋がある。声を掛けてみると、すぐに返事が返った。
「何でしょう、審神者さま。」
 ふすまを開けて主を招き入れる。
「祖って時々寂しそうなんだけど、あの薬研とはどういう感じなのかな?何か知ってる?仲がぎくしゃくしてるとかない?」
「そういう話は聞いておりません。とても仲がお宜しいようですよ?」
「そっか。よかった。」
「どうかなさいましたか?」
「ほら、薬研呼びたいって言ってたじゃん?あれがどういうことなのかなって気になって。もし、仲がこじれてて、それを修復したくて私に助け求めてるなら、何とかしてあげたいじゃない?」
「審神者さまはとてもお優しいのですね。きっと祖はそんなところを気に入っているのでしょう。だから身近な薬研さまに紹介したいのではないでしょうか。」
「そう?だったらいいんだけど、どう思う?招くこと。」
「審神者さまが即答なさらなかったのは賢明だと思いますよ。祖に悪意がないにしても、結界や縛りにはまだ分からないこともありますから、あまり部外者を入れるべきではありません。」
「そっか。そうだよね。ありがとう。ちょっとすっきりした。」
「いえ。わたくしが役に立ったのならこの上ない喜びでございます。」
 うふふ、と笑って審神者はこんのすけを撫でた。ついでに抱き上げると、こんのすけは嬉しそうににっこりと笑う。
「わたくしは審神者さまの一番の味方です。もちろん刀剣たちは忠臣ですが、わたくしの忠義心は誰よりも強いと自負しております。」
 抱きかかえて撫で繰り回し、審神者は言う。
「前から思ってたんだけどさ、こんのすけって動物?…にしては喋るのはおかしいからロボット?」
「そ、それは、企業秘密です。」
「おーい、忠義心どこ行ったー?」
「お許しください!それは、こんのすけにとっては丸裸にされるようなもの。恥ずかしいのです。」
「恥ずかしいのかー。よーし、恥ずかしくしちゃうぞー。」
 さらにこんのすけの身体中をくすぐるように触りまくると、手に何か堅いものが当たった。
「あー!おやめください審神者さま!」
「ん?何コレ。」
 見てみると首のふさふさな毛の中にタグがあり、数字の羅列が刻まれていた。
「あ、それは、個体識別番号です。審神者さまに最初に渡した書類にも書いてありますよ。もしわたくしに何かあったら政府に知らせていただかなくてはなりませんから。」
 どれどれ、とよく読んで、こんのすけを抱えたまま自分の部屋の資料棚を探って最初の書類から同じ番号を見つける。
「ホントだ。何かあったらって、こんのすけが怪我したり、倒れたりしたらってことだよね。そんなことないと起こらないと良いな。危ないことしないでよ?」
 またゆっくり撫でて愛でるように抱きしめる。と、もふもふの背中側で、微かに堅いものが指に触れた。
 気付かないふりをして背中を撫でながらもう片方の手でそっと毛を除けてみると、毛の根元にさっきの番号とは別の、文字の羅列を見つけた。
「審神者さま?」
「こんのすけ、いつもありがとね。連絡役とか面倒ごと引き受けてくれて。」
「わたくしは審神者さまの忠実な管狐ですから。」
「大好きだよー。このもふもふ!」
 言って、もふもふをバサバサとかき回して揺らした。
「もふもふがですか!?このこんのすけの魅力はそれだけですか!?」
「あはは。冗談だよ。もふもふが無くたって大好きだよ。」
 もう一度抱きしめてから片膝を付いて床に降ろした。
「では、政府に定時連絡がありますから、これで。」
「うん。夕餉に油揚げ追加してもらっとくね。今日は特別。」
「大好きですよ!審神者さま!」
 こんのすけに手を振って、部屋から出た。



 厨に向かう途中、平野と出会い、目配せして手を繋ぐ。
 周りに見えぬように手のひらに文字を書き、「あとでね」と別れた。



 次の日、朝の着替えのときに平野が畳まれた洗濯物を持ってきた。
「主さま、すみません。昨日の洗濯物があちらに残っていました。こちらに置きますね。」
「あ、それ今着るからちょうだい。」
「はい。どうぞ。」
 服の中に小さな紙切れを見つけ、気付いたことを知らせるための目配せをする。
「ありがと。」
「いえ。朝餉も準備出来ていますから、着替えていらしてくださいね。」



 祖はこの日もいつものようにやってきた。
「薬研のことだが、やはりやめておこう。あやつは研究に忙しいらしい。」
「そう。研究って薬系?機械系?」
「いろいろだな。今は機械にハマっているようだ。」
「じゃあ、機械にも強いんだね。ウチの機器が壊れたら見てもらいたいな。…ってそれには招かなきゃいけないのか。ちょっとそれはできないから。祖の薬研さんに言付けを…ちょっと耳貸して。」
 そう言って耳に口を近づけながら、袖口に紙切れを入れる。
「研究に役立つと良いんだけど。うちの機器の情報。」
「あいわかった。言っておこう。」



「薬研。」
 施設に帰ると、祖の三日月はその足で薬研のところに向かった。薬研は案の定、コンピュータの前だ。
「戻ったのか。楽しかったかい?」
「ああ、いつも通りな。おぬしもいつも通りか?」
「プログラムが上手くいかなくてな。あとひといきだと思うんだが。」
 その言に三日月は袖を探って小さな紙切れを出した。
「土産だ。『うちの機器の情報』だそうだ。」
「へー。随分とすんなり。」
「存外勘が良い。」
「ありがたくいただこう。」



 その頃かの本丸では、近侍がむくれていた。
「主は随分と祖に絆されたようだな。」
「友達なんだから内緒話ぐらいいいでしょ!?」
「そうかそうか。友達か。それは良かったな。」
「いや、ちょっと三日月。キミ近侍でしょ?」
「そうだが?」
「私、キミのこと大事にしてるよね?」
「どうですか。」
「信頼してるんだよ?」
「それはありがたい。では、俺が少々自由にしていても、問題は無いな。」
 そう言って立ち上がって部屋から出て行ってしまった。
「近侍どのはご機嫌斜めですねぇ。やはり祖との距離はある程度保った方が宜しいと思いますよ?」
「…ごめん。こんのすけにまで心配掛けて…」
「いえいえ。近侍どのがお近くに居ないときは、わたくしを頼っていただければ何でもお引き受けいたします。」
「ありがと。」
 審神者はこんのすけの頭を撫で、ジッと目を見た。
「こんのすけは私の味方だよね。」
 こんのすけは胸を張って答える。
「もちろんでございますとも!」
「ずっとここに居てくれる?」
「はい。政府の許す限り。」
「…あ、ずっとじゃないんだ。」
 しょんぼりしてみせると、こんのすけは焦って弁解をした。
「こればかりは、政府から異動を申し渡されてしまえば従うしかありませんゆえ…。もちろん、わたくしとしてはここに骨をうずめたいと思っておりますとも!」
「ホントに?…政府に、審神者におべんちゃら使うようにプログラムされてたりして…」
「そんな!この気持ちはわたくし個体のものです!わたくしたち管狐には、きちんと個性があり、心がありますゆえ!天に誓って…いえ、天のみならず審神者さまにも誓って、あなたさまというひとりの人にお仕えしたいと思っております!」
 しばらくジーッと目を見つめて、彼女はにっこり笑う。
「うん、信じる。キミはいつも私のことに心砕いてくれるもんね。」
「はい!政府の指示がなくとも、わたくしめは審神者さまの忠犬ならぬ忠狐としてお仕えいたします!」
 一人と一匹は、また『大好き』と言い合って抱擁をした。



「なあ、三日月。ままごとを終える気にならないか?」
「…すまんな、薬研。…もう疲れたなら、俺を置いていけ。」
「…前に言ったはずだ。アンタは俺にとっては主のようなもんだってな。捨てていけるはずがないだろう?」
 フフッと三日月は笑った。
「皆は、出て行ったがな。」
「何を言う。あれはあんたがそう仕向けたんじゃねーか。」
 皆を救うために。そう言いかけて、口を噤んだ。あまり長話をするわけにはいかない。聞かれているかもしれないのだから。
 それを察してか、三日月は背を向けた。
「ではな、薬研。また明日見に来る。」
「見舞いみたいに言うなよ。プログラムは、まだ、当分、じっくりいじる必要がある。」
「楽しそうでなによりだ。」



 それから数日後、庭を散歩しながら祖は審神者の袖口にこっそりと紙切れを忍ばせた。
 すぐ側にこんのすけがいるが、それは見えていないはずだ。
「私、キミのことは好きだけど、あまり踏み越えてこないでね。…ペットじゃないんで。」
「…残念だ。もっと可愛がりたいというのに。」
「もう少しゆっくりしていくでしょ?ちょっと厨に行ってくる。おやつに甘いものをお願いしてくるね。こんのすけ、一緒に行って油揚げお願いしてみる?」
 こんのすけはパッと嬉しそうな顔になり、「もちろん!」と返事をして後ろについて行った。
 その姿を見送って、祖はキョロキョロと辺りを見回す。
「そういえばここ数日、近侍殿と顔を合わせていないような気がするな。」
「三日月さんはあるじさまと喧嘩してるんです。」
 そう言ったのは五虎退だった。すぐ近くの木の陰に控えていたようだ。
「喧嘩?」
「そう、喧嘩、です。」と言いながら、彼は人差し指を唇の前に立てる。そして「だから」と続けた。
「あるじさまはこんのすけと仲良しなんですよ、最近。」
「ほお?」
「それで、祖の三日月さま。いつまでお続けになるおつもりで?」
「…おぬしまでそれを言うのか。…薬研が来たわけではあるまいに。」
「三日月さまはおかしなお方です。人間なんてお嫌いなはずなのに、何故人間にこだわるんですか?」
 祖はふいっと視線を五虎退とは別の方向に流す。
 五虎退は少々不機嫌な空気を纏って、言葉を出した。
「三日月さま、あなたはあるじさまのことを未だに、アレだのコレだのと仰います。あんなに仲良くなさっているあるじさまでさえ、です。政府の人間にいたっては『あやつら』と言っているのしか聞いたことがありません。どう見たって人間が好きには見受けられません。…もう、捨てたいんじゃないんですか?」
「…それは己を捨てるに等しい。」
「そうでしょうか。祖の刀たちは、どこかであなたを待っているのではないですか?…五百年、でしたっけ?」
 五虎退は近くに咲いている花を一本手折り、それに口づけするようにしながら祖の前から立ち去った。
「きっと待ちわびてますよ。」
 やっと聞き取れるぐらいの声でそう言い残して。



 こんのすけを連れて、審神者は厨に向かう。
 途中、秋田に出くわすと、嬉しそうに抱きついた。
「秋田~今日も元気?」
「はい、主君!」
 秋田も抱きつき返し、離れ際に袖から紙切れを受け取る。
「ぼく、今日は馬当番なんです。このあと、少し遠駆けするんですが、ご一緒にいかがですか?」
「いいね。祖も誘ってみようかな。」
「じゃ、厩で待ってますね。」
 厨から厩に向かい、こんのすけにどうする?と聞くと、流石に馬には乗る気にならなかったようだ。
「わたくしは部屋に戻って今日提出の書類を準備いたします。」
「じゃあ、あとでね。おやつのときに。」
「はい!油揚げ、楽しみです。」



 秋田が馬を二頭引き、審神者は前を歩く。祖が待っている場所に行くと、彼は一人遠くを見て佇んでいた。
「ごめんなさい。待たせちゃったね。」
「馬に乗るのか?」
「うん、付き合ってよ。」
「あいわかった。俺と乗るか?」
「いや、秋田と。これで頼りになるんだよ。」
「そうか。」
 一頭を祖に渡し、秋田とともに馬にまたがる。
 走り出すと、祖は後ろからゆっくりと付いてきた。
「ちょっと先を見てきますね。」
 秋田がそう声を掛け、スピードを上げる。
 木々の間を抜け、開けた場所に出ると、周りの気配を気にしながら、秋田は後ろに乗る審神者の耳に口を近づけた。
「『準備完了。いつでも来てくれ』だそうです。」
「了解。…問題はその方法だな。」
 くるっと馬の向きを変え、少し戻る。祖と合流すると、今度はゆっくりと馬を歩かせた。
「よい馬だな。手入れが行き届いている。」
「みんな何だかんだ言ってもちゃんと当番こなしてるよね。」
「良い刀たちだ。この敷地も、きちんと目が配られているようだ。」
「自慢の刀だからねー」
 先刻、先に行く二人を見送った祖は、辺りを見て監視がないか確認していたのだが、監視の目はありながら、それをきちんと把握した整備の仕方をしてあるのがわかった。そしておそらく、把握されていること自体はこんのすけには分かっていないだろう。



 それからまた数日が経ったある日、審神者は近侍と口論中に大事にしていた置き時計を落として壊してしまった。
 振り向いて立ち去ろうとした瞬間に袖に引っかけて飛ばしたため、部屋の外の縁側の縁やら庭石にもぶつかったようで、簡単には直りそうにない状態になってしまった。
「マジで…最悪…」
 速攻でこんのすけのところに掛けていく審神者。
「こんのすけー!」
 こんのすけの部屋のふすまを勢いよく開ける。
 通信中だったこんのすけは慌てたが、審神者は「丁度良かった!」と言う。
「こんのすけ!お願い!祖の薬研に会わせてって政府にお願いして!」
「ど、どうされたのですか?」
「これ!壊れちゃったんだよー!直してほしい!」
「直るかどうか分かりませんが、会う必要はないのでは?その時計を送ってしまえば…」
「やだよ!大事なもの手元から離すの心配じゃん!目の前で、直るかどうかの診断して欲しいの!」
「ですが、祖の薬研さまである必要は…」
「私が、政府の人間信用できると思う?」
 そう言って画面をジトッと見やる。
 筒抜けだが、それは既にあちらも把握しているであろうことだから気にしない。
「祖から薬研の話は聞いてるから、一応信用できそうって思って。あ、それに今日は私があっち行けば、祖の三日月は出かけてこなくて済むわけだし。一石二鳥?じゃん?」
「そ…そうは仰いましても…」
 渋るこんのすけに、通信の相手から声が掛かる。
『条件次第では許可することも出来るが。』
 一人と一匹が同時に顔を向けた。
「ホント!?」
「本当でございますか?」
『こんのすけを同席させること。祖の薬研と祖の三日月には別々で会うこと。それを守るなら許可ができる。』
 条件を飲むことを即答し、通信を切った。



「三日月さま、お伴に付かれるのですか?」
「近侍だからな。」
「近侍だからね。」
 ぷいっと互いに反対の方向を向いて、審神者と近侍が返事をした。
「なにも近侍でなくても他の方でも良いのでは?」
「俺が行っては不都合があると?」
 近侍が不機嫌にそう言ったため、こんのすけはぶんぶんと首を横に振る。
「い、いえ、お二人が気まずいのではないかと気になっただけでございます。」
「そうか。では参ろう。」
「そうだね。行こっか。」
 政府施設に到着すると、まず薬研のところに向かう。
 その途中で審神者は「そうだ」と立ち止まった。
「三日月さん、退屈してるかもしれないから、三日月先に行っててよ。」
「…俺とは行動したくないと?」
「そんなこと言ってないでしょ?」
「選りに選って祖の暇つぶしの相手になれと。」
「だったら、自分が原因で壊れた時計を薬研に直してもらう方がいい?」
 ムッとして三日月が言い返す。
「壊したのは主ではなかったか?」
「三日月のせいだもん。」
「主の動きがガサツなのが原因だろう?」
「私が!ガサツ!?」
「着物を着たときくらい、しとやかになっていただきたいものだ。」
「悪かったね!しとやかじゃなくて!」
 また喧嘩が始まってしまい、こんのすけが慌てて止める。
「お二人とも!やめてください!とにかく、一緒に居ると喧嘩してしまうのなら別行動が良いと思いますよ。」
「…致し方ない。では俺はあちらに。」
 近侍は渋々、祖の三日月の方へ向かった。



「聞いたぞ。派手に壊した時計を直して欲しいって?」
「コレなんだけど…直る?…直…ります?」
「直らなくはないと思うが…」
 時計を手に取ってそう言ってから、ちら、とコンピュータの方を振り返る。
「今ちょっとな…あ、そうだ、こんのすけ少し手伝ってくれないか。」
「わたくしめですか?」
「ああ、ここに座ってくれるだけでいいんだが。」
「座るだけ?」
「今そのコンピュータはお前さんのお仲間のデータ解析の演算中なんだが、なかなか厄介でな。同類の波長が近くにあった方がスムーズに進むんだ。何、居てくれるだけでいい。何の労力も要らねーから、頼まれてくれないか。」
「はあ、構いませんが。」
「お、助かるぜ。その間にこっちやってみるから、気になったらそこから眺めててくれよ。あ、あと、そのデータ解析だが、覗いても構わないが間違ってもデータ改ざんしちまわないように気を付けてくれよ?」
「はい、了解いたしました。」

 時計は部品の交換もあり、その調達も含めて二時間ほどで元通りになった。
「ありがとーやげ…コホン、ありがとうございます、薬研さん。」
「かしこまらなくて結構だ。三日月が迷惑を掛けてるしな。」
「今から話しに行きます。」
「あいつも、アンタにちょっとは懐いたか?」
「あはは。懐いた、ですか?」
「ジーサンだが、中身は子供みたいでな。まだ迷惑をかけるかもしれん。」
 子供、と聞いてふと隼太のことを思い出す。
「あの…隼太…さんのお墓ってこの施設内にあるんですか?」
「ああ、あるぜ?…でもなんで。」
「三日月さんには、隼太さんが必要なんだと思います。お守り、作って貰えないかと思って。」
 審神者の作るお守りは、刀が折れるのを防ぐ効力がある。とは言え、
「…死者じゃ作りたくても作れねーだろ。」
「これ。」
 彼女がポケットから出したのは、ツルッとした小ぶりの綺麗な白い石だった。
「何かの物語で、骨が残らないほど昔に亡くなった人の、骨の代わりに石を使うっていうのがあって、これに隼太さんの魂が宿らないかなって。それをお守り袋に入れれば、三日月さんの身を守るお守りになるんじゃないかって。」
 薬研は驚いた顔をして、しばらく考え込んだ。
「隼太が俺たちの主じゃないってのは分かってるんだよな?…なら、やってみるといい。次来たとき、時間を作ろう。事前にその石に隼太の名前を書いておいてくれ。」
「え!でも、私の字じゃ…下手だから…。」
 字にはトコトン自信が無い。そんな下手な字で名を書いてしまったら、逆に入ってくれないんじゃないだろうか、と彼女は心配する。
「アンタじゃなきゃ意味がねーんだよ。アンタが儀式をするんだから。」
 いいな?と念を押され、頷く。
 こんのすけはいつの間にか眠ってしまっていた。
「おい、こんのすけ。ごくろうさん。演算おわったから、もうのいていいぞ?」
「…ふわぁ…。うーん、なんだか、スッキリした気がします。」
「そいつは良かった。疲れが溜まってたんじゃねえのか?」
「そうかもしれません。眠ってしまって申し訳ありません。」
 審神者は小さく笑って、「政府の人たちには内緒にしてあげる」と約束した。



同胞はらからか。しばらくぶりだな。」
「はい。ご無沙汰しております。」
「拗ねてあちこちで愚痴っていたと聞いたぞ?」
 また口元を扇子で隠している。案外ただの癖なのかもしれない。
「本丸内で友好を深めていただけの話。人聞きの悪い物言いはやめていただきたい。」
「友は出来たか?」
「それなりに。」
 祖は柔らかい笑顔で「ならよい」と頷いて見せた。
「よい刀が揃っておるようだな。」
「ええ、皆聞き分けが良く、それなりに勘も良く、気の利かせ方も心得ている刀たちです。」
「申し分ない。」
「お暇つぶしに、何をお話致しましょう?」
「では、おぬしの友の配役についてでも」



「遅くなってごめんなさい。」
 審神者がそう言って部屋に入ると、微妙な雰囲気を醸し出している二人の三日月が振り返った。
「遅いぞ。近侍殿の話は面白みに欠けてな、結局退屈だった。」
「それは申し訳ない。突然仰せつかった大役に緊張して上手く喋れなかったようです。」
「時計は直ったのか?」
 もう近侍の相手はする気がなくなったらしく、審神者に会話を向ける。
「うん。直してもらった。薬研すごいね。」
「そうだろう?昔から打ち込み始めると何でも身につけてしまってな、俺など足元にも及ばぬくらい各分野に長けている。」
 祖は審神者を手で促し、自分の座るソファの近くに招いた。
「たまにはこっちに来るのもいいね。本丸は気楽だけど。」
「そうか。ではたまにはこちらで話すか。」
 審神者はにっこりと笑って首をかしげるように頷いた。



 それから度々、審神者の方が出向くようになったが、薬研に会う条件は変わらなかったため集まって話す機会は一度も無いままだった。
 そんな中、審神者が施設内を歩いているときに、何やら物々しい雰囲気で武装集団が取り囲んだ。
「…何か…ご用ですか?」
「少々問題が起きまして、今後のあなたの行動に制限を付けさせていただくことになりました。」
 口調は丁寧だが、態度は不遜。銃などの武器を向けられた状態だ。
「…制限、とは?」
「政府施設立ち入り禁止。今すぐ本丸へご帰還ください。」
 それを聞いて、近侍が一歩前に出て毅然と言う。
「理由をお聞かせ願いたい。」
「言っただろう。『少々問題が起きた』と。お前たちの存在が問題の原因だ。」
 どういう問題かは言う気がないらしい。
 しばらく考えて、審神者は方向転換をしようと足を外に向ける。
「わかりまし…」
「待て!おぬしら何をしている。」
 祖の三日月が怒りの籠もった声を、彼らの後ろから掛けた。
 先程言葉を交わした隊長らしき人物が、ギョッとした顔をして振り向いた。
「み…三日月様…」
「我が友に武器を向けるなら、俺はあちらに付いて刀を抜くが、それで良いか。」
「い、いえ…」
 隊長の指示で周りの武装集団は武器を降ろす。よく見ると彼らは同じ顔かたちをしていた。
 以前聞いたことがあるアンドロイドだろうか、と審神者は舐めるようにそのうちの一人を眺めた。
「道を空けろ。」
 それを言ったのは薬研だった。
 アンドロイドたちはササッと脇に寄った。今度は隊長の指示は無かった。
 隊長が食い下がる。
「ですが、これは議会の決定で…」
「俺に知らせもせず実行に移した理由は?」
「…反対なさるでしょう…」
「当たり前だ。俺とコレが会うのは縛りによるものだ。それを阻害することは許されん。」
「以前のようにあちらの本丸でお会いになるなら問題はありませんから。」
「ならそう言えば良いだろう。こんなやり方をするからには、それなりの災厄を受ける覚悟があるということだな?」
 また驚愕の表情を見せ、隊長はひれ伏した。
「滅相もございません!どうか、お許しください!」
 祖の三日月は軽く笑んで審神者に手を差し出した。
「さあ、あちらへ。薬研、そやつらの起動条件を厳しくしてくれるか。」
「まあ、やっとくが、あんま意味は無いぞ?」
「意思表示だ。」
「了解。」



 ゆったりと歩く祖の三日月は、確実に急いていた。まずいつもの部屋に行き、何やら部屋の端末を弄って監視カメラを気にしている。
「あの…」
 声を掛けようとすると、監視カメラに背を向けた状態でごく小さく、唇の前に人差し指を立てて見せる。
「おぬし、今日は薬研に用があっただろう?以前約束をしたと聞いたぞ?行ってくると良い。俺はあとでも構わんからな。」
「今日はこんのすけを連れていなくて…」
「なら呼び出すが良い。」
 そのまま部屋から追い出されてしまった。
「主、急ごう。よく分からんが、政府が次の行動を決定する前にできる限りのことをやらぬと。」
「うん。わかった。」
 おおっぴらに走るわけにはいかず、大げさにならない程度の早足で転送室に向かう。
「こんのすけ、こっち来て。あと第五部隊まで出陣待機!」
 程なくこんのすけが現れ、審神者に飛びついた。
「どうなさったのです?」
「武装集団に銃を向けられた。状況が良くない。政府が、私を消そうとしているかもしれない。…こんのすけ、味方に付いてくれる?」
「…せ、政府と…敵対するのですか?」
「可能性はある。」
「で、…ですが…」
「…なんてね。」
「え?」
「試してごめん。キミは政府の管狐だもんね。」
「審神者さま?嘘ですか?敵対はしないですか?」
「うん。大丈夫だよ。とにかく、薬研のところに行こう?」
 不安そうな管狐を抱えたまま、薬研の研究室を目指す。



「薬研!」
 焦りを隠せず、息を切らすように部屋に入る。
「お、嬢ちゃん。こっち来たか。管狐をこっちに。」
「な、何をするのです?薬研さま…」
 すんなり渡されてしまったこんのすけは困惑顔を見せる。
 部屋の隅の端末からケーブルを出し、薬研は管狐の首にそれを刺した。
「型式番号OQT2964LKT、接続開始。」
 フッとこんのすけの目の輝きが消える。
 薬研は手慣れた様子でキーボードを叩き、画面内を確認しながら、あれこれと設定を変えていく。
 もう一度型式番号を読み上げ、「再起動」と命令を出すと、こんのすけの瞳にチラチラと不規則に光が点滅した。
「こんのすけ。起きろ。」
「…おはようございます、…薬研さま?主さまはどちらに…」
「心配すんな。ここに居るぞ。」
 こんのすけは何度か瞬きをして、周りを見回して審神者の姿を確認すると、安心したように笑った。
「こんのすけ、大丈夫?」
「政府のネットワークとの繋がりを完全に切った状態だ。しばらくはこのコンピュータがダミーになってくれる。行くぞ。」
 薬研がまだボーッとしている管狐を審神者に渡し、外に促した。
「行くって?」
「俺との約束、忘れたのか?石を持ってきてるだろうな。」
「あ、はい!持ってます!」
 薬研に案内されるまま、審神者と近侍、そして管狐は墓地に向かった。
 地下の一室、大昔からの沢山の遺骨が安置された墓地。その際奥に、かの名前が刻まれた碑があった。
「隼太…さん…。」
「石をここに置いて。いいか、ここからはお前の霊力の勝負だ。祝詞なんてなくて良い。とにかく、想いを霊力に込めて伝えろ。ここに入るように祈れ。」
「は、はい!」
 石を前に、碑に祈る。

 どうか、どうか三日月を、あなたの三日月を助けに来て。守ってあげて。あなたをずっと想っている三日月に、あなたの存在を教えてあげて。彼は未だ、あなたを必要としている。この石に入って、三日月の身守りになってあげて。

 ジッと目を瞑っていると、真っ暗な中に光るものが見えた。徐々に近付いてくる。

 隼太さん、どうか、この石に入って。守ってあげて。

 しゅっと石に向かって光が吸い込まれていった。
 審神者はパチクリと瞬きをする。
「入った…と思う。」
「ああ、感じた。成功…だ。多分。」
 薬研も同意はしたものの、自信はなさげだった。
「よし、行くぞ。そろそろ頃合いだ。お前んとこ、出陣できるか?」
「はい!」
「こんのすけで直接お前の本丸に通信できる。しかも、政府の干渉はない。ここぞというときに、その地点に呼び出せ。」



 さらに地下に潜る。目指しているのは、勿論かの刀が安置されている場所。
「三日月さん!」
「遅いぞ。」
 祖の三日月のいつもの口調、ゆったりしたものだ。
「薬研、頼む。」
「ああ、すぐ開ける。」
 そう言って近くの扉の前の操作パネルを触り始める。
 今のうち、と審神者は祖の三日月の前に行き、お守りを出した。
「これ、三日月さんの主のお守りだから。キミを守ってくれる。きっと守ってくれるから、絶対身に付けてて。」
 祖はキョトンとして、返事に窮した。
「…俺には主は…」
「キミの主のお守りなの。信じて。絶対守ってくれる。」
 つまりは気休めか、と判断して、祖は笑みを向けた。
「…ああ、わかった。感謝する。」
「落とさないように、ほら。」
 半ば強制的に、着物の内側によさげな場所を探して審神者が結びつける。
「ははは。いつもは近付くなと言うくせに。」
「緊急事態だからいいの!」
「開くぞ!」
 薬研の声に、皆反応して駆け込む。
「セキュリティーは!?」
「全部切った!だが、すぐ来るぞ!」
 その刀はすぐに手にすることが出来た。が、薬研の言ったとおり敵は来た。出入り口は塞がれてしまっている。
 薬研がパッと床に何かを投げつけると、転送陣が現れた。
「この先が難関だ。」
 簡易な使い捨ての転送陣は、簡単な座標移動しか出来ない。敷地内の一階、先程居た場所の真上だ。ここから、転移室を目指すという。
 そこは吹き抜けのロビー。転送陣を使ったことはもう知られていてすぐに見つかってしまった。四方八方から狙われている。
「抵抗は無駄だ。祖よ、愚かなことはやめていただきたい。」
 上階から声が降ってきた。
 祖の三日月は本体が入っている箱を抱えていて、戦える状態ではない。それでも表情は崩さなかった。
「愚か、とな。はっはっは。これまでおぬしらに付き合ってきたが、今日はほとほと愛想が尽きた。だから教えてやるが、お前たちの施している縛り、な。あれは縛りになっておらぬ。俺は自由だ。ずっと自由だった。残念だったな。」
 しばしの沈黙が流れた。縛りが効いていなかったことに対する驚きは少なからずあったようだが、相手の行動を変えるほどの衝撃ではなかった。
「従わないならその手の中のものを折るまで。この包囲網を簡単に突破できると思うな?御身は自由でも、その刀とその人間は、そうそう自由に移動できるものではないだろう?捨てていくならどうぞご自由に。」
「嬢ちゃん、刀持てるか?」
 薬研が刀の入った箱を指さした。
「はい!持ちます!」
 三日月から奪うように箱を受け取る。
「重いだろう。走れるか?」
「走ります!」
 気合いはあるが、やはり自信は無い。ただでさえ足手まといだ。何とかしなくてはと思っても、ここを抜けるには圧倒的に戦力が足りない。
「こんのすけ。第一部隊と第二部隊、…呼んで。」
 こんなところに呼んでいいのか。折れてしまわないか。敵は本気で折りに来るかもしれない。彼女は迷いながら管狐に指示を出した。
 先程のやり取りからは付喪神に対して敬意が感じられなかった。特に、この審神者の刀剣たちに対してはそんなものは微塵も無いかもしれない。
 程なく二部隊が現れた。
「さて、こんな状況だが、頼むぞ?」
 近侍が事も無げに言うのを苦笑する隊員たち。
「あっちは飛び道具持ってるから気を付けて!戦闘員はアンドロイドだから切ってよし!第二部隊道を切り開いて!第一部隊!後ろを守って!」
「主直々のお達しだ!行くぞ!」
「祖の薬研さん!道案内お願い!」
「はいよ。嬢ちゃんは守り切りたいからなぁ。」
 ニッと笑って、薬研が先陣を切った。



 アンドロイドの総数はどれくらいなのか。無限に湧いているように思えた。
「ちくしょう!かったいなー。」
「ぼやくな。」
「刃こぼれ心配してるんだよ。」
「気合いだ気合い。」
「お前ら、心臓狙え。重要な機関がある。」
「一番堅そうじゃん!」
「あー、十センチ下から斜め上に向けて。」
「十センチ?センチってどのくらいだっけ?」
「あー、ここ!こっから斜め上に向けて刺せ!」
「こっちは短刀じゃないっての。」
「刺せるだろう!?」
 どこか気楽な会話が聞こえてくるが、相変わらずピンチだ。
 祖の薬研が道案内をしながら敵の急所を教えているが、敵が堅いことには変わりない。
「目を潰してもいい。同士討ちを避けるために動きが遅くなる。」
 ギリギリ捌きながら、徐々に進んではいた。
 しかし、開けた場所に出たところで、先行の第二部隊と審神者の間に入り込まれ分断されてしまった。
「その女を狙え!刀を回収しろ!」
 容赦なく、銃口が向けられた。恐怖に足がすくみ、箱を抱えたまま座り込んでしまう。
「撃て!」
「主!」
 第二部隊も、後ろの敵を相手にしていた第一部隊も、駆け寄ろうとするがままならず、声を上げることしかできない。
 撃たれる──
 そう思い、審神者はギュッと目を瞑った。
 発射音に気が遠くなりながら、何の衝撃も受けてない事に気付く。
 不思議に思って目を開けると、目の前には、三日月が立ちはだかっていた。
 一瞬どちらの三日月か分からなかったが、後ろから三日月の声が自分を主と呼んだことで、目の前の彼が祖であることを理解する。
「…三日月…さん…?」
 咳とともに血が口から零れる。多くの弾丸を受けた身体は力を失い、膝を付いた。
「祖よ!」
「すまぬな…」
 祖の視線は同胞に向いていた。
「…俺が…盾になっては…いけなかったな……どうか…おぬしの物語で…生き延びて…くれ…」
 たった数年、と言ったその物語で、存在を支えろと。
「三日月!!」
 薬研が駆け寄ることができたのは、敵が祖を撃ってしまったことに困惑したからだ。敵の攻撃の手は止まり、指揮官も次の命令を出せずにいる。
 薬研が触れようとしたその時、三日月の身体が発光して光の粒になった。
「待って!隼太さん!お願い!」
 審神者が指を組んで祈る。待って、待って、と繰り返し呟く。
「お願い!守って!」
 ピシッと割れる音がした。
 刀剣たちは血の気が引き、視線が祖に集まる。
 三日月の装束が消える。その瞬間。
 今度はパチンと別の音が聞こえ、消えかけた祖の身体が実体化した。
「三日月!」
「三日月さん!」
 呼ばれて意識が回復した祖は、倒れそうになりながらもすんでの所で身体を支えた。
「…これは…」
 不思議そうに自分の手のひらを見つめる。
「お守りが効いたんです!」
 審神者がそう言うと、やっと皆もわかった様子で、目的を思い出す。
「行くぞ!」
 停滞している今がチャンスだ。
 一気に突破し、転移室に辿り着いた。



 本丸に飛ぶから招けと言われ、審神者と近侍は顔を見合わせた。
「あの…本丸は、あの亜空間は政府の手の内では?」
 すると薬研がウインクをした。
「嬢ちゃんの本丸は、今頃現世のある島に移動してるぜ?」
「え!?」
「本丸をまるごと転移してやった。」
 いつの間に、と驚愕していると、薬研が急かす。
「ほら、俺が行けないと困るから、招いてくれ。」
「は、はい!本丸にお招きします!」




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