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幻寂SS

僕ってさ、結構勘が良いって言うか、ちょっとばかし人のことをよく見てるみたいなんだよね。そう思われるのが嫌でいつも空気読めませんーって顔して生活してるけど、ついつい他人が何を考えてるのかとか何を感じてるのかとか考えちゃうわけ。
「だからさ、幻太郎、あいつはやめときなよ」
「だから、というのは接続詞ですから突然言い出すセリフではありますまい」
「も〜細かいよ!」
わかってるくせに。あ〜あ、なんだってあんなジジイに恋したんだろ。わかんないからこその恋なんだけどさ。わかりたくもないし。
いそいそと、普段僕が提案しても絶対に着ない生成のローゲージニットなんて着ちゃってさ。可愛いんだよ、悔しいけど。顔がいいんだもん。寂雷はそう言うの好きだよね、清楚でキレイな感じ。
「いってきます」
「はいはい、そんなるんるんデートあいつに出来るとは思えないけど。どうせ途中で緊急呼び出しで大事なクランケの元へ飛んでっちゃうよ」
「おや、それがいいのではありませんか。とにもかくにも恋人優先と言うよりはイキイキと働いていて欲しいですから。貴方も、そうでしょう?」
何か言いたげに目を細めた幻太郎を、僕は見送るしか出来なかった。
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